住宅金融公庫が発表した平成14年度の不良債権(住宅ローン破綻)は、全体の融資額の3.45%、2兆3194億円。平成13年度に比べて約6000億円の増加。返済の特例措置の利用が前年度比約60%増と急増し、その総額は1兆2304億円にのぼります。原因は景気動向(低迷)によるものとされていますが、取得時の資金計画や返済計画に無理があったケースが多く含まれていたとも言えます。
住宅や不動産取得について一事取得者の方は始めての経験ですし、何をどれからどうして良 いのか分らない方も多いでしょう。なかには土地を見つけてから資金計画をなさる方もいらっ しゃるようですが、まず資金計画を先にしておかないと購入や新築計画が成り立ちません。
建物については、取り合えず、知り合いや身内からの紹介、TVでよく聞く社名の展示場へ行く などして、それぞれの会社の建物の特徴を勉強をされたり、平行して資金計画をたてられること が一般的なようです。
住宅会社(営業マン)は、お客様に少しでも購入意思があると判断した場合は、とことん対象物件の販売または受注に一生懸命になります。たとえ、資金計画上合わない、または資金計画が厳しいお客様であっても、希望の場所や広さ、建物の内容等の調整で、何とか成約に持ち込むことは営業マンの腕とも言えるでしょうし、“夢と現実 とのギャップをどのようにして埋めてあげるか”という意味では、お客様に対し必要かつ親切なことかもしれません。
しかし、営業マンが契約を優先する余り購入者や建築主の先々予測できる事柄や支出についての分析を怠り、返済計画書に故意に折り込まなかったりしている場合も多いようです。
営業マンにとってローン提案は、商談を進める上で営業のカギになることは確かですが、資金計画で後になって必要になる費用をあえて告げなかったり、商談がある程度進み、契約間近になった時点でそれらを告げて、親などの身内から資金を出させる等いろいろな手段があるものです。
なかには購入や受注をさせてしまえば、後の支払いは『最終的にはお客が自分達で判断をして決めたことだし、先のことは誰にも判らないものだから自分には関係ない(責任はない)』という営業マンの言葉を聞いたことがあります。
また、ある業者さんが言っているように「3,500万円の物件を購入するのに、330万円の頭金が有るのでしたら全く大丈夫ですよ」または、極端な場合「頭金や諸費用が無くても買えます」と言っている例もあるようですが、確かにケースによっては購入可能かもしれません。
しかし、購入価格は自己資金と月々、年間の返済可能な借入れ額によって決まるものです。先に、現在と将来の所得見込み、教育費、退職後の返済計画など、そのお客様のライフプランを基に的確に把握分析し、予測できることを考慮して資金計画(返済計画)を組み立てて、購入に踏み切るのか、延期した方が良いのか、適切な判断ができるアドバイスをすることこそが本当の信頼に繋がるのです。 |