営業マンにとって お客様の心を掴む ことは、契約を結ぶための絶対条件です。そのお客様の心を掴むことが例えば土地の条件だったり、予算的なこと、建物の内容や外観内観設備機器、会社のネームバリュー、メンテナンスや保証体制だったり様々ですが、やはり営業マンの第一印象や誠実さ等で、8割が決定されると言っても過言ではないくらいです。
しかし、お客様との最初の出会いがどんな形であれ、有能な営業マンほどお客様に鋭い質問をしてくるものです。そうしてお客様の購入意思や購入意欲、総予算やふところ具合もしっかり見抜いて、方向性を判断します。
具体的には
このお客様は本当に買う(建てる)気があるのか?予算的に自社の商品に合うのか、合わせることができるのか?実際に買うことができるのか?他社と競合の可能性はないか?競合であれば相手はどこの会社でどういう特徴(工法)なのか?一番に把握しておきたいところです。
というのは、受注に向けての戦略と利益率に影響があるからです。
その次にやっとお客様がイメージしている建物外観や間取り、設備・・・の聞き取りに入っていきます。これらの事にギャップがあった場合、いかに早く解決(判断)し、建物のプレゼンテーションができるかによって他社との勝敗が決まる場合があるのです。
営業マンは最初にそのお客様の状況(予算や競合相手、仕様イメージ、建築に対する認識度、性格)を図り見極め対処していきます。
《建築会社にとって良い営業マンとは?》
お客様の状況を早く把握し、適切な判断の上、会社で決められた方針や枠(いわゆる企画住宅)の中で、利益率は最大限に確保しつつ、お客様を誘引し、うまく早く契約に結びつけ且つ、契約後はトラブルを未然に防ぎながら、お客様に対する満足度も高く、感謝され、再受注(知り合い等の紹介)に繋がり契約件数も上がる。これこそ最高の営業マンといえるでしょう。
しかし、当然このような絵に描いたような営業マンは殆んどいないと言っていいでしょう!?
参考 《新築計画から契約までのプロセス》
1. 総資金計画 ⇒ 資金計画調整(提案) ⇒ 資金計画、返済計画決定
2. 発注候補会社の選択
3. 現地(敷地)調査
4. 建物プランニング(基本設計) ・・・プレゼンテーション
5. 概算見積り、仕様打合せ(説明) ・・・プレゼンテーション
6. 発注会社の決定
7. 地盤調査・本設計
8. 正式見積り
9. 資金、返済計画の再確認・仕様書・図面・見積書・工程表・契約書類の確認
10. 契約(正式発注) ⇒ (住宅ローン貸付決定) ⇒ 着工 ⇒ 竣工、引渡し
◎ 本来上記のような流れで新築の計画から契約に至るのですが、常に建築会社や営業マンのペースに乗せられている建築主が多いようです。
発注会社の選択から決定に至っての大切なポイントは幾つか有りますが、ある方は「3社程度に絞り込んで設計や見積りをしてもらったらいいよ」という知り合いからの話しを鵜呑みにして図面も工法も違う会社の見積りで判断される方がありますが、本当の比較は出来ないはずです。まず、工法の特徴を学んで先に絞り込んでから基本図面を作成し、見積りをしてもらうことが賢明です。
トラブル にはいろんな原因があります。営業マン本人の性格や接客技術、建築や不動産(土地)に対する知識不足、ひいては自社商品の知識不足、ローン各種の組み立て、登記関係、税金関係等の業務経験不足や技量不足。会社の経営体質や方針、受注体制や工事体制の不備、また給与体系にもよることもあります。
確かに優秀な営業マンは、感じもよく商品知識もあって、説明も上手です。足繁く通っていろいろと相談にも乗ってくれるし、ついつい「この営業マンは、自分たちの為になんて親身になってくれているのだろう」と思ってしまいます。
そもそも営業マンはその会社(建築会社)の従業員です。 本当に親切な営業マンと、優秀な営業マンとは違うことが大いにあります。 ちなみに、“お客との契約が済めば一切客の所へ行く必要はない!後は設計士や現場監督に任せて、そんな暇があれば仕事(契約)を取って来い”という方針の会社もあるくらいです。逆に、“もっとお客様の家へ頻繁に通って親近感を図り、満足度を高めて、見込み客の紹介を引き出してきなさい”という会社もあります。
建築主にしてみれば、この辺のところは大変 「見極め」 の難しいところです。
★ 営業マンとの主な トラブル ★
トラブル例1 :営業マン 「これで、掛かる費用は全部です」。しかし、施主としては後になって他に、あれもこれもと思わぬ出費が出てくる始末!尋ねてみると、 営業マン は「そんなことは言わなくても解っているはずでしょう!」と言わんばかりの返事。
トラブル例2 : 建築主 建築中、「アレッ、このドアは引き戸にして下さいとお願いしていましたよネ!」 監督 「いいえ、私は聞いていませんので営業担当に聞いてみないと分りません。」 営業マン 「アッ、そうでしたネ、ちゃんと伝えていたつもりなんですけどネー、ここはやっぱりドアじゃだめですかネ、使い勝手はドアの方が良いと思いますが如何でしょうか?」と言って、施主の顔色や反応を見て変更をしないように説得するのか、会社に相談して対処するのか判断します。
トラブル例3 : 建築主 建築中、「あそこをちょっとこのように変更できませんか?」充分検討もせず「出来ません!」(本当に出来ない、しない方がよい事もあります)
または、 営業マン 「出来ますよ」といいながら、ここぞとばかりに追加費用をどっさりと請求する。ほぼこちらとの契約が間違いないと確信があれば、契約前でもこのようなケースは有り得ます。
トラブル例4 : 建築主 「あれ!ここにあれを付けてくれるという話だったですよネ?」 営業マン 「エッ!そんなことは言った覚えはありませんけど、どうしても必要なら割安でお付けできますが?」
トラブル例5 : 建築主 ある程度の時期がきて「エッ!広告のチラシでは坪単価二十数万円と書いてあるし、あなたもそう言っていましたよネー」 営業マン 「勿論そうです。 最初に説明しておりましたように、 あくまでも建物本体のみの単価ですから他に経費や屋外の設備や、あれとこれと・・・は含まれていないのが普通です」との開き直り!
・「最初に説明しておりましたように、」 という所が後から建築主と営業の間で一番問題になりやすいところです。
トラブル例6 : 建築主 分譲地購入の場合、「その土地(区画)や建物は気に入っているけど、営業マンや現場監督との愛称がどうしても合わない!」こんな場合は、今後のスムーズな現場進行を左右する為、その旨を会社に申し出て、担当者を交替してもらうか、“契約はしない”くらいの心構えはあたりまえです。数千万円の買い物なのですから。
≪ ま と め ≫
今回は、『住宅営業マンの本音と建前、そして消費者(建築主)の責任』と題しましたように、上記のトラブル例の1~5については、殆んど建築会社(営業マン)と消費者(建築主)の双方に責任があると思われます。
建築会社によってはその会社の大小に関わらず、建築受注体制や受注後の体制にばらつきがある事は確かです。なるべく早い時期に本当に施主の立場に立って住宅取得(建築)等に関するアドバイスをしてくれる第三者的立場の 専門家 や 機関 に相談をされることをお薦めします。 |