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KJSレポート

 

■“建築検査や工事監理の重要性” No.35 - 2005/11/24

写真矢印の部分(箇所)に必要な釘が不足しています。

大きな梁の荷重を負担する金物なのに“まさかこのまま組み上げるつもりでは”と思い、写真を撮りながら見守ることにしました。

ところが、やはりこのまま組み立てられていることを確認しました。
KJS の検査員が 2 時間近くその場に居て見ていることを作業員達は既に知っているにも関わらず、そのまま作業を続けているのは、日常的に行なわれていて只単に“誰もがいつもどおりの作業をしている”としか考えられません。

その場に現場監督がいなかった為、携帯電話に電話をすると、「そんなことは無いはずですよ、建て方(上棟)の最中だからでしょう。そんな釘の何本か抜いたってしょうがないですから・・・」と言って現場に駆けつけてきたのですが、そこには逃げようのない現実がありました。
主要構造部の組み上げ時に工事監理者がいなかったのも問題ですし、「下請けの担当者へ任せているから」という安堵があったのかもしれません。本来、型式認定の建物の建築は工事監理者によって 適切な工事監理 がなされることが特に認定の条件や前提にもなっているのです。

その日は、それまでに組み上げている部分の全ての金物について、確認を行なっておくよう言い残して帰ったのです。そして、翌日全て組み上がった状態で数箇所を確認(検査)したところ、またその金物の重要な部分(頭)の釘が打たれていない箇所があったのです。現場監督に指摘したところ、すぐに作業員達(大工)に一度はずして手直しをするよう指示を行ったのですが、そこで何と!その大工は真下にいる検査員にわざと聞こえるように大きな声で『たったの一本見つけ出しやがって・・・』と暴言を吐いたのです! 前日までの経緯があっての 1 /数箇所なのですから、本当に“たったの一本”なのでしょうか?

そこで現場監督に「昨日、確認しておくように注意していたでしょう、本当に確認したのですか?」と尋ねると「え~、半分以上は確認しました」という返事しかなく、それに大手建築会社の看板を背負った職人が施主の代理人にわざと聞こえるように怒号を浴びせるなどとは、そのような考えを持った人間が昨日、今日、明日以降と作業をするのですから怖い事です。
また、昨日の構造金物の施工状態の確認も半分程度しかしていなくて、翌日はほんの数箇所しか視ていないうちに主要箇所の一箇所の不備が認められるのです。ましてや、皆で故意に手を抜いておいて“たったの一本”などとは言えないはずです。したがって、他の接合部の隠蔽されている部分についても 『強度不足』 が懸念され、建物全体にわたる施工品質の信頼性が低いと判断せざるを得ません。

もっとも、建築中に指摘をしていなければ、一つの梁受け金物につき 3 本から 7 本の釘を打っていなかったのですから、単純に 1 箇所当り 5 本平均の釘打ち不足としても、 100 箇所以上ですから一棟の建物で 500 本以上重要な部分に釘が打たれていなかったことになります。しかも、その検査のタイミングを逃せば後からでは隠れてしまう部分のみであり、 手抜き工事による危険な欠陥住宅 となる寸前で回避できたことは幸いでした。

結果

KJSが立会いの上、構造金物(梁受け金物)の使用されている全箇所について自社検査を行ってもらい、安全性についての確認がなされました。また、その後の工程においては現場に携わる監督や各職人に明らかに施工に対する緊張感が感じられ、それが完成時まで持続されて良い結果になりました。


コメント-1

私どもはこれまでの経験や実績から、型式認定をとっているような大手建築会社の建物であっても、“人の手で造る部分においては、建築会社の大小には関係がない”と予てから言及してきました。また、住宅の性能評価や性能保証、行政等が行う検査等は勿論重要かつ必要なことですが、しかし、 2 ~ 4 回程度の検査ではどうしても限界があることも事実である為、KJSの建築検査は問題回避を目的とし、現場訪問回数は殆んど検査監理に近い 20 回程度を基本 としています。

建築会社の下請け構造と、建築検査・工事監理の重要性

上記の件は、その建築会社がそれまでに建築をしてきたここ数年の建物の全てに遡及して信憑性を疑わざるを得なくなりますが、万一、大きな地震などがあった場合等どのようなことになるのか大いに不安が残ります。近年、車両などのリコール問題が話題となっていますが、今回の件はいわゆる 『建物の施工品質(強度不足)に対するリコール』 の対象ではないかとさえ感じています。

今回のようなことは適切な工事監理がなされていれば有り得るはずのないことなのです。工事監理は、手抜き工事の防止は勿論のこと、適切な工事が行われるように建築基準法及び建築士法においても定められているところであり、元請が下請けを使い、その下請けが下請けを使うといった構造においては特に 工事監理の重要性 が指摘されるところです。強いて言うならば 施工会社と利害関係の無い第三者検査や監理 が必須 なのです。


コメント-2

今般 、設計構造計算書が改ざんされ、それが指定住宅検査機関を素通りして建築されてしまい大きな社会問題となっていますが、確かにあのようなことは犯罪行為以外の何者でもないでしょう。設計士が言っていた言葉に『風潮』という言葉がありましたが正に業界の悪しき慣習を表現しているものです。一番の被害者は何も知らずにそこを買って住んでいる人達であることには間違いありません。従って、このような不幸なことを回避する為には真の第三者検査を介入させる以外に方法があるでしょうか。 KJS はこのような問題の回避に少しでも役に立ちたいとの思いで施主の代理人として独立した立場で検査や監理を行っているのです。例え設計や設計審査自体に問題がなくても、施工に問題があっては意味がありません。
建築 において、 設計・施工・監理 はいわば 立法・行政・司法 といった形に例えられるのですが、それぞれ独立させない限り問題はこれからも無くなることはないと思います。 これらを一社(一者)で行うような独裁政治的なシステムを国が許していること自体にも問題があるのではないでしょうか。

KJS は事実のみをレポートしています。
建築においては工事自体に色々な人間が携わっているものですが、一旦、建築検査や監理の依頼を受託したら、身体を張って仕事をしなければならない場合もあるのです。
このレポートをご覧戴いた皆さんはどのように思いますか?

*今回の KJS レポートに対しては施主の方の御理解を得て掲載させて戴きました。
このような問題の提議を社会に発信し、独立した 『建築検査監理の重要性』 をもっと広く社会に認識して頂きたいとの KJS の趣旨を快く御理解頂いたものです。



KJSの建築検査監理は『転ばぬ先の杖』として着実に実績を上げています。


契約に関するトラブルの回避、建築に関する後々の安心の鍵は「真の第三者検査」にサポートを依頼することです。

 


■“建築契約の落とし穴” No.34 - 2005/11/8

この度、『土地契約をすることになりましたが、不安なことが多いので契約サポートをして頂けませんか?』といった御依頼がありました。

建築条件付分譲地においての建築契約でしたが、既に建築契約は終わっており、あとは土地の不動産売買契約をするのみといった状況でした!

しかし、土地についての詳細な情報や資料の提供もなく、宅建業法上の説明などもなされておらず、ただ建築契約がアバウトな形で先になされている状態なのです。この状況で土地の取得契約が出来なかったら何処に建築をするというのでしょうか?建築契約自体は法的に有効かもしれませんが、大変非常識なことであり理解できないことです。

建物の契約自体についても多くの不備な点がありました。
  1. 契約時までに必要とされる所要図面が揃っていないこと。

    平面図、立面図、パース 3 面、外構工事図面(全てその寸法が記載されていないもの)+仕上げ表のみ

  2.   建築契約時に添付していると記載されている図面が揃っていないこと

    配置図と記載しているものの寸法がはいっていない外構図を代用している等、設計士なら知っているはずです、上記の1.のように寸法が入っていないもの等は設計図とはいえません。設計図とはきちんと寸法が記載されたもののことをいいます。

  3. 見積り書としたものも A3 の用紙 1 枚で、内容が全く不透明なものであること。

    (建設業法第二十条に抵触する可能性があります。)また、確定していない工事項目の金額までが概算で算入されていること。・・・・・妥協やトラブルの原因となります。

  4. 土地の契約について何らかの理由で契約ができなかった場合、建物契約自体はどうなるのか特記事項が記載されていないこと。土地取得契約が遅れた場合、工事契約書に記載された工期は守れるはずがないのですがどうするのか。契約書の差し替えや延期とすることも有り得ますが、最初からそんないい加減な請負契約書ならその他の分や条項についても信頼性が疑われます。・・・・・きちんとあるべき条件が整ってから建築契約をすべきでしょう。

  5. その他、当該宅地建物の売買に関する広告等のチラシには売主・代理・仲介など取引態様の別を記載しておかなければなりませんが記載なし(宅地建物取引業法第 34 条、取引態様の明示義務)。

    基本的に明示方法は書面や口頭でも良いのですが、広告等のチラシには記載しなければなりません。今回、この事によるトラブルは無かったのですが業法に抵触することは確かですし、宅建業者としてのずさんな一面も見えます。

型式認定を受けている建物だから図面は出せません・・・!? 

ハウスメーカーの営業担当者いわく「型式認定を受けている建物だから要求されるような図面は出せません」などと言っていましたが、そんなことはありません。要求している図面は、寸法の記載された平面図・立面図・配置図・求積図・構造図・矩形図・断面図・伏せ図・各設備図等、契約や建築の際に一般的かつ必要な設計図面ばかりなのですから・・・。
それでも図面が出せないと言うのならば、現場において誰が何を見てどのように建築するのでしょうか?不思議そのものですが、素人の方が普通に考えても単純に分かることです。

決定的なことは、そのメーカーの他の支店の責任者も「お客様が要求される図面は全てお渡ししています、出せない図面はありません。当社の何処の支店がそんなことを言っているのですか?増してや土地の契約もせずに建物の契約を先にしてしまうなど考えられないことです」と言っているのですから・・・。その言葉を鵜呑みにするならば、そのハウスメーカーの各支店毎に著しい温度差があることは明白のようです。これでは信頼の回復や確保は難しく、大切な信頼関係に基づいた『安心と納得』という点からは遠ざかってしまいます。

何の為に土地契約もせず、建物契約を先にしてしまうのでしょうか?

一般的に、「うるさい客」でない場合、注意を建物に対する魅力という部分に引き付けておき、建築契約はアバウトな状態でもなるべく早く『契約』といった形作りを優先してしまうこと。要は精神的な拘束が狙いの一つです。

 ハウスメーカー側にもそれなりの言い分はあるでしょうが、消費者にとってしっかりとした意志を固める時間を与えられないのは不利になることであり、昔から買主や建て主に冷静に判断できる時間をなるべく与えないうちに契約といった形を作り上げるのはその会社や営業マンの手法なのです。典型的な例でマンションや建売住宅などの場合、“逸々までに決めて頂かないと2番手3番手の方が待っておられます”“キャンペーン中だからこの価格です”はたまた不動産仲介物件などの中古住宅等の場合では「専門家にきちんと視てもらって購入したい」などと言うと“もう結構です”などと言う業者もいるくらいです。

何れにしても、先に述べているような『手抜き契約』の形態を取っているような建築会社とは契約を控えるべきです。また、消費者側も安易な契約は禁物です。
と言っても、どこからどこまでが安易なのかそうでないのかと言うところも一般的には難しいことから、契約事に少しでも不安があれば専門家に相談されると有益です。

今回の件は、施主の方が現状の進捗状態に疑問を感じてKJSに契約サポートを依頼されたのですが、その後の同行サポートにおいても順序だてた調整を行ったにも関わらず要領を得ないハウスメーカーの対応に不信感がつのってしまったようでした。不動産(宅地)の売主であるメーカー側からきちんとした書類の提出や説明が行われて土地契約が行われているなど、筋道を通した上での建築契約であったならばそのまま普通に進んでいたことかも知れません。しかし、一旦落とした信頼の回復や確保というものは大変難しいものです。

結果

建築契約は依頼者の方の御希望どおり白紙撤回することができ、土地購入の申込金に至っても全額返金されて全てをリセットすることになりました。


コメント

建築会社にとってKJSはやっかいな存在となったようですが、施主の方にとってはせっかく期待していた家造りですから、今回のことを生かして『安心と納得』の家造りにしなければなりません。新たに再出発することが出来て大変良かったと思います。


KJSは消費者の強い味方です。不動産や建築契約のサポートなど関係者との利害関係が無く、消費者の立場でサポートしています。

 


■“悪質な不動産業者の実態” No.33 - 2005/11/8

ある日、オーナーさんの立会いのもと木造アパートの地震による被害や総体的な現況調査に行ったのですが、そこで空き部屋になっているはずの部屋に誰か入居している気配があったのです。
オーナーさんはその場で管理会社へ確認の電話をしたのですが、その担当者いわく、『先月の下旬から少しずつ荷物を入れさせています。正式には今月の一日からの入居です。ところで、家賃ですが当社の社員を入居させていますから5,000円安く相談できないでしょうか?』といった事後の入居の報告や家賃交渉がそこで初めてなされたのです。
後日、その入居者の賃貸契約書を見せるよう管理会社へ言ったら「契約書はありません。念書で入居させています。」というのです。その時点で一ヶ月も経っているのに契約書は作成中ですなどと開き直っているのですから話しになりません!
当然、ここで誰しも不信感を抱きます。

問題を整理すると・・・

  1. 賃貸人の知らない間に承諾を得ずに勝手に入居させていること。 また、何時から入居させていたのか不明であること。
  2. 自社の社員だからと家賃を勝手に月5,000円下げて入居させており、後から承諾を取り付けようとしていること
  3. その入居者との賃貸借契約書が作成されておらず、こちらの要求後に入居申込書を作成し、その入居申込書だけで入居させたと嘘を言っていること。
  4. 別の部屋で1年前より空いている部屋の前入居者の家具類が残されており、そのことについて尋ねると「退去時の立会い確認はしていない」と開き直っていること。
  5. 各戸の管理用鍵がほとんど無く、非常時等どのように対処をするのか。
  6. 1年以上の空き部屋が数戸あるにも関らず、その専任の業者が入居の斡旋に対して努力をしている形跡が全くみられないこと。
  7. 管理料は毎月きちんと領収しているものの、退去時の敷金が本当に前の入居者へ返金されたのか全く不明であり、受取書や振込書など明らかにできるものを要求しても、「そんなものは出していない」などと嘯いていること。・・・隠す必要がどこにあるのでしょうか?前の入居者に確認すればすぐに判ることです。

* 賃貸借管理契約には「賃貸管理委託契約」と、「賃貸管理の代理委託契約」があります。
後の代理委託契約であれば業者がオーナーの代理人となりますから業者と賃借人(入居者)が直接賃貸借契約を結ぶことになります。

問題は代理契約の場合、管理業者が入居者選定や敷金管理などの一切を牛耳ることになり、その代理権を悪用する場合があるのです。

例えば:賃貸に際し、昔から「敷き引き」や「敷金相殺」という慣習があり、敷金の中から退去時の修繕費用を差し引いて返金するといったことが一般的となっています。しかし、本来入居者が退去する場合に返金すべきお金を返したことにして着服する。または、修繕費用などを差し引いた残りを着服するといったケースが多いようです。もっと悪質な業者になると預かっている敷金だけでは修繕費用が足りないなどとして修繕費用を水増しして追加費用を要求する場合があります。(現在、修繕等の原状回復についての考え方は国交省のガイドラインが出来ていますので入退去予定の方やオーナーさんは国交省のホームページ 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン を参考になさって下さい)

また、自社の運転資金が行き詰まってくると数百万円、数千万円預かっている敷金を流用していて結局倒産して返せなくなり、責任者が告訴された例もありました。

つまり、アパートやマンションのオーナーそして賃借人も知らない間に、管理している不動産業者から騙されていることに気付かず、敷金の横領や勝手な運用をされたりしていることもあるのです。

このようなことは、今までにも沢山行われてきたことで現在でも水面下では頻繁に行われており、賃貸借に纏わる敷金精算等の問題については大きな社会問題となっています。
オーナーさんに限って言えば、事細かに報告をするなど一切をガラス張りにしてくれる管理業者を選択すべきでしょうし、よほど信頼のできる業者でなければいきなり賃貸管理の代理委託契約は避けた方が賢明です。

*先に記述している中で賃貸の斡旋や仲介をする場合は宅建業であり、管理のみは賃貸管理業として区分されていますが、実務としては宅建業者がどちらも兼ねていることが殆どです。

今回の場合、事前に家賃の値下げの承諾を取り付け、きちんと賃貸契約書を交わす等、オーナーさんに報告をしていれば良かったのでしょうが、それにしても他に敷金に関する不明金があるなど問題が多くて悪質です。

また、現在の入居者に対する管理会社変更の連絡書に社印の押印を要請していたので、約束の日時に受け取りに行くと、「掃除の時に無くした」などとその時になって嫌がらせのような嘘を言うのです。

不動産業や管理業を営むものが全てそのようなことは無いのですが、この業界は一種独特のものがあり、且つ素人の方に非常に分かり難い世界であり、人を騙し易い又は騙され易い世界と言ってよいでしょう。

ちなみに、先に記述した『入居者に対する管理会社変更の連絡書』の必要性については、新旧管理者等が署名押印をしたものが必要です。それは最近、「管理会社が変わりました」または、「振込先が変更になりました」などと勝手に書面を入居者へ送りつけ自分達の口座へ振り込ませるといった手口の詐欺行為が横行しているからであり、その為に入居者へ不安を与えないことを目的としています。また、入居者に直接会って手渡しをして補足や説明をしてあげると確実です。

結果について

その管理業者へ賃貸管理委託契約の解除通告を行いました。
『○○○○号室入居者の家賃差額の補充について、現在の入居者が入居する期間中において、貴社は金 5,000 円 / 月をオーナー様へ振り込み等により毎月補充することを確約すること。』と条件を付して 管理委託契約の解除の合意 を取り付けたのですが、すんなりと了解し、そんなことは痛くもかゆくも無いといった感じでした。何故なら他できちんと取り返しているからでしょうし、ここで痛い腹を探られるのは得策ではありません。


コメント

今回の悪質な不動産業者は福岡市内で複数の店舗を構えて営業しており、業界でも不評の宅建業者です。
このレポートをご覧の賃貸アパートやマンションのオーナーさん、そして、賃借人の皆さん、貴方も悪質な不動産業者に食い物にされないように気をつけて下さい。
貴方の知らない世界 のことはプロの専門家に相談することが有益です。


KJSは建築に関することのみならず、今回のような不動産や賃貸に関する諸問題の解決サポート、そして不動産の売買についても関係業者と利害関係の無い立場で、消費者の立場に立ってサポートをします。

 


■“第三者の建築検査を受け入れない建築会社” No.32 - 2005/9/28

今回はこのKJSレポートをご覧の皆さんにも是非考えて頂きたいとの趣旨でレポートすることにしました


ある建築会社の建物建築中に、常時行われているのでは?と思われる構造耐力に関わる重大な手抜き工事が発覚し、改善による回避はなされたものの施主の方からの信頼関係が著しく損なわれてしまったという事がありました。

営業担当者や現場監督も『自業自得だから仕方ありません』と、自分達の管理不足や管理ミスを潔く認めて対処をしたのですが、しかし、その会社では第三者検査を今後受け入れない方針で検討しているそうです。

その会社内部で既に決定した方針なのか、単なる基本的な申し合わせなのか、現時点では判りかねますが、何れにしても同じことでしょう。

この件についてその会社の社員いわく「第三者検査もいろいろありますから・・・」と皮肉を言っていましたが、危機管理とでも言うつもりなのでしょうか、それこそこちらから言えば「建築会社もいろいろありますから・・・」と言いたくなります。 その会社全体の経営方針や営業方針、受注発注体制を司るのは経営者やその会社を主に担っている上司の責任です。それを分かっていてもいなくても一部の指導者のエゴから打ち出した方針ならば、その会社の社会的影響や責任に対する意識が大きく欠如しているとしか言いようがないのではないでしょうか。
また、年間数百棟以上建築している住宅生産者(建築会社)として、社会への情報の非公開を決め込むことは大手建築会社として有るまじき身勝手で無責任なことであり、社会に対する責任の逃避というしかありません。

一般消費者が安心と納得を求めて第三者検査や監理を依頼することを拒むことは時代錯誤もはなはだしいことであり、『自分の会社に建築を発注する施主が自社の建築を信用しないのであれば契約はしてくれなくても良い』とでも言うつもりでしょうか?「手抜き工事や施工不備が発覚して客の信頼を無くすくらいなら、第三者検査を入れる客とは契約出来なくても良い」と言っているようなものですから何とも理解できません。
第三者検査監理の必要性について判断するのは、建築会社でもなければ検査会社でもなく、あくまでも発注者(消費者)である施主自身の意思により決定されるべきものではないでしょうか。

現在では、地場中小工務店からハウスメーカーまで、情報の開示や信頼の確保を目的として殆どの建築会社が、施主が依頼する第三者検査を受け入れている時代です。

建築に対して一般的には素人の施主の方がマイホーム建築の夢を膨らませ信頼してあなたの会社へ発注するのです。今回、そのメーカーの建物や建築はいわゆる「品確法」においても型式の大臣認定を受けている安心で安全な建物のはずなのに、それを裏切られてしまった個人の発注者が大きなショックを受けてしまったことは言うまでもありませんし、何らかの弁償をしたからそれで良いというものではありません。相手方(施主)の身に自分や自分の家族を置き換えてみれば分かるはずです。

名のある建築会社としての社会的責任や情報の公開は不可欠なものであるはずです。今後二度とそのようなことが行われないように再発の防止に全社をあげて努めることは勿論のこと、もっと自分達の会社や建物、建築に対して自信とプライドを持って受注(建築)し、住宅生産者としての社会的責任があることにも自覚を持って頂けることを大いに期待したいものです。

どのような工法であっても、中小工務店から大手企業の建築まで、どこででも起こりうるのが欠陥住宅です。今後KJSが『消費者サポート』を行っていく上で、前社のような方針を内密に決め込んでいるような建築会社や、KJSでこれまで検査監理を行ってきた実績分の建築会社等、KJSの建築サポート依頼者の方や、一般消費者の方から情報提供の要望があった場合、正当な理由があれば『消費者にとって必要な情報』としていろいろな情報の提供をします。

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)は、平成11年6月に住宅の品質を向上させることで欠陥住宅をなくし、消費者が品質のよい住宅を取得できるようにつくられた法律です。


余談
最近耳に入った話で、ある建築会社の役員が、KJSの第三者検査が一棟終わった後の朝礼において『第三者検査を断るような建築会社にだけはなりたくない』と社員の前で話していたそうです。このことこそ社会性のある認識と建築屋(プロ)としての誇りある言葉だと思います。そのような前向きな考えを持った指導者がいる建築会社はそれに従っていく社員自体のスキルも高まり、これからの信頼確保に繋がることと思います。


コメント

安心の契約、安心の住まい造りを目指すためには

“施主が依頼する第三者検査を断るような建築会社とは絶対に契約をしないこと”

建築契約は貴方自身の責任です。


KJSは安心と納得を必要とされる方の為にサポートをします。建築業界との利害関係を持たず、相談される依頼者の為のサポートや建築検査監理を行ないます。

 

■『外構工事にも手抜きや不備工事はありますか?』 No.31 - 2005/8/6

これまで KJS レポートでは新築建物の建築や不動産売買等のトラブルに関することなどをレポートしてきましたが、今回は意外と見落としがちな外構工事についてのレポートをします。

外構工事とは、一般的に新築工事等に際して車庫土間工事やカーポートの設置、ブロック塀工事やフェンスの設置、門柱、ポストの設置等いろいろとありますが、特にコンクリートブロック塀の工事については建築基準法においても定めのあることなので耐震上の見地からみなければなりません。

まず、ブロック塀には大きく分けて①土圧の掛かる土留めブロック工事、②隣地境界等にする境界ブロック工事の 2 つの種類があります。尚、何れもその高さや長さによって構造が変わってきます。

ある依頼者の方からのご希望で、外構工事の監理を依頼されたのですが、仕様の確認をしっかりとしていたにも関わらず、ブロック塀の工事では重要な鉄筋(異形棒鋼)の品質に問題がありました。


 “事前に確認した際に”
KJS:「鉄筋は JIS 規格の製品を使って下さいネ」

業者&職人 : “承知しています、そんな無規格品は使いませんヨ”

と言っていたにも関わらず実際に現場を見に行くと基礎の部分の配筋(鉄筋)は既にコンクリートで固められていて見えないものの、そこから突き出している鉄筋や露出している縦筋を見ると明らかに小さいのです。

KJS:左官さん、この鉄筋は規格品ですか?少し小さいようですが、径が 7 ~ 8 ミリ位にしかみえないのですが・・・。

左官 :いいえ、そんなことはありません。この鉄筋はいつも私たちが取り寄せている金物屋から買ってきた物(鉄筋)ですから規格品です。

という的を射ない返事が返ってきたのですが、普段見慣れている者であれば JIS 規格品かそうでないかはすぐに分かるものなのです。

現場担当者(監督)に対し確認を促すと「そんなはずはありません。ちゃんと指示していましたから・・・。」という返事でしたが、結果はいうまでもなく、既に終わっているブロックの基礎は全てやり替えるより他ありません。

イメージ参考写真

無規格製品と JIS 規格を比較した場合、① JIS 製品より 1 ~ 2 ミリ程度小径である、② JIS 製品より軽い、③品質表示がなされていない為、鉄筋自体の品質や耐久性等の信憑性が低い、④凹凸部が少なくてコンクリート付着強度が落ちる等があげられます。

使用してはいけないものではありませんし、値段も安価なのですが一般的には殆ど使用しません。しかし、今回は JIS 規格品を使用することで発注者と契約しており契約違反ともなります。

工事途中の配筋の段階で発見(指摘)しなければ当然コンクリートの中に入ってしまい見えなくなる部分であっただけに、それが回避できたことは幸いですが発注者からすれば信用して発注しているのに納得がいかないのは当然です。例え悪気ではなかったとしても結果としては同じであり、耐震に対する安全性のこと等を考えると、品質と施工品質は絶対に落としてはならないのです。

品質落とし等が発覚したときは、信用の失墜に併せて大変なリスクを抱え込むことになります。

また、それ以降信頼関係が崩れたままその工事を続行してもその工事全体について信憑性を疑うものとなってしまいますが、第三者監理はその後の施工品質の信憑性の確保にも役立つのです。


今回のようなことは KJS の『建築検査監理』においても頻繁に発生しています。建築検査監理は建築業者が建築に対する不備や手抜きによって無くした信用の回復や確保、そして、双方の行き違いなどの調整にも役に立っており、第三者検査に対し最初は怪訝そうな対応をしていた建築会社も何かあった後や、こちらの真意が多少でも伝わった後には『是非見に来て下さい(確認して下さい)、今度はいつ来れますか?』といったことに変わってくることが多いのです。

中には、“指摘さえされなければ信用をなくしたりすることはなかったのに”といったことを表情や言動に表す上司もいますが、それは全く逆のことであり後から判った場合は誰がどのように対処できるのか、誰が迷惑をするのか、どんなことになるのか考えてみれば理解できることでしょう。

せっかく事前に牽制球を投げているのに、あえて盗塁してアウトになるのであれば仕方がありません。しかし、野球は 3 アウトでチェンジですが、建築においては 2 アウトでも 1 アウトでもチェンジはあり得るのです。


KJSの建築検査監理は施主の方と施工会社との信頼関係にも配慮をしています。 但し、妥協はしません。
それは建築に関してKJSはプロ側のサポートをする必要性はなく消費者側の立場で検査監理等サポートをしているからです。

 

 
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