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KJSレポート

 

■“建築業界 悪しき慣習のプロセス 「請負と設計、工事監理」” No.36 - 2006/1/19

構図上の注目点!
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各々の業者が便宜上、設計事務所や建築士事務所の登録をしているが、建築士が存在しているだけで設計事務所としての機能を果たしている訳ではありません。
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上の図では、赤い矢印部の関係には特に何らかの利害関係が発生している可能性がありますが、それ以外にも、それぞれの建築業者や設計事務所等がダイレクトに利害関係で繋がっている場合もあります。
各社それぞれにみられる問題点!
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A建築会社は建築士事務所としても登録しているものの、設計業務のみ外注に出す場合もある。つまり、工事監理者は社内の建築士またはB設計事務所のb建築士として名義上のみ申請していることが多いが実質の工事監理者は不在となることが多い。
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設計部門が社内にある場合で、社内の設計士に設計を任せる場合は当然その設計士又は社内の別の建築士が工事監理者として申請書に記載されることもありますが、記載自体が悪い訳ではなく、自社の現場監督や下請けの現場監督に単なる現場管理を任せっきりにしてしまい、名義上の工事監理者はいるものの実質の工事監理が行われないことに問題があるのです。ちなみに、現場監督は工程や工事自体の段取りしかしていないケースが殆んどである為、施工上の問題や施主とのトラブルが耐えないのです。
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Aの建築会社に従属している建築士は、社内規定や風潮等が邪魔をしたり、自己保身の気持ちが働く為、建築に関し不誠実な行為等があったとしても本当のことをなかなか言い難い状況がある。また、元請けの建築会社から仕事を受注している各設計事務所の建築士についても同じようなことがあり得るのです。
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ハウスメーカー等では、基本的に設計を外注する必要がない体制をとっている場合が多いようです。しかし、施工面においては下請けの工務店に全てを任せ過ぎてしまう傾向があり、これも施工ミスやトラブルの原因となっているようです。
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B設計事務所は設計を発注したA建築会社との外注契約により、設計業務のみを受注する場合が多いのですが、それにも関わらず、工事監理者としての名義のみを貸さざるを得ないことがある。(ちなみに、このことは違法行為です)または、工事監理者のみをA建築会社の建築士とする場合もあるが、これは、適切な工事監理がなされるとは限りません。
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報酬についても設計料のみしかもらえないことが一般的であり、当然工事監理など実質的にはしない、又はできない。また、A建築会社が監理までを望むことは殆んどない。しかし、工事監理者として確認申請書に記載されれば当然法的な責任からは免れない。
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B設計事務所は、A建築会社の暗黙の要請に従った方が仕事が継続して受注できる可能性が高い。(最近、大きな社会問題となっているような構図です)
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B設計事務所は、構造設計や構造計算を伴う物件の場合、別のC設計事務所へ構造計算の依頼をする場合が一般的であるが、適切な計算等が行われているのか確認できないことが多い。尚、法的には全てB設計事務所の責任において確認申請等を行う。(これも上段と同じく社会問題となっている構図の一部です)
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A設計事務所へはB建築会社よりリベートが動く可能性がある。従って、公正且つ、適切な工事監理は望めないと思ってよい。
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A設計事務所はA’建築士事務所に構造設計や構造計算を依頼する場合が多いが適切な計算等が行われているのか確認できないことが多い。尚、法的には全てA設計事務所の責任において確認申請等を行う。
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A建築設計事務所がB建築会社に対しリベートを要求することもある。そうでなくてもB建築会社が紹介料などと称してリベートをもってくれば、客に分からないよう影ですんなりもらってしまうことがある。つまり、A建築設計事務所が工事監理者であった場合、B建築会社の施工に対し手心を加えざるを得なくなるのです。 したがって、そこで公正かつ厳正な工事監理などは行われるはずもないということです。
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B建築会社は仕事が受注できた場合、A建築設計事務所に対し、リベートを払うなどして工事施工上の便宜を図ってもらおうとすることがある。常套手段でしょう。(材料の品質や施工品質、仕様変更等、また、御礼や再受注の為のパイプ作りとも言える)“世間の非常識は、業界の中では常識なのですから”
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本来、工事監理が必要な建築物を建築する場合は、『建築主(施主)が建築士である工事監理者を定めなければならない』と規定されています(建築基準法第五条の四-2)。ですが、都合上、発注した建築会社の設計士等に任せてしまっているというのが実状のようです。また、受注した建築会社も工事監理は他の建築士にお願いして下さいとは、まず言わないでしょう。
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業界関係者間では、特別な推薦や紹介があった場合など、リベート等は既に暗黙の了解事なのです。多少の御礼ならともかく、元請け業者が下請け業者へバックマージンを要求することさえあるのですから、その額の大小に係わらずそのシワ寄せは現場に”つまり、建築主(施主)にくるのです。ましてや、その額が大きければ大きいほど手抜き工事などに発展しやすいのです。
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業界でいう利害関係とは必ずしも接待や金銭のやり取りのみとは限りません。建築会社や設計事務所が不誠実なこと(工事ミス、品質落とし、手抜き工事等)を発見しても故意に見逃したり黙認することも含まれるのです。
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仕事関係先とのパイプ作りは悪いことではありませんが、建築士は人間の生命や財産を預かる仕事をするのですから建築士としてのモラル(建築士法や建築基準法の厳守)は絶対に必要ですし、今後においては社会的責任がもっと重たくなるのではないでしょうか。というより、もっと重たくすべきだと考えます。
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過去に、設計事務所が設計と工事監理の両方の委託を受けておきながら監理は殆んどしていなかったという事例がありました。 2,000万円の建築費に対して260万円の設計料と監理料を受け取っていながら、現場の工事監理をしていなかった為、施主が不具合を建築会社に指摘しても『設計図がこうなっている』などと言われて施工会社が取り合ってくれなかったといったことが実際にありました。
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現場施工の指導を建築主の立場に立って建築の専門家である建築士がチェックし、適切な工事監理を行うことも本来の建築士の使命なのですが、どこにその責任の所在があるのか分かり難いものです。(建築確認通知書の第二面に記載されている工事監理者をチェックしておきましょう)
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建築士の畑は現実的には幾つかに別れています。大きく別けて @設計事務所で長年経験を積んだ設計畑の建築士 :特殊建築物の設計や意匠設計に携わる建築士もいれば、構造計算等の専門的な分野で専門知識を発揮している建築士。 A現場で長年施工経験を積んだ現場畑の建築士 :工事監理や現場管理一筋に知識を発揮している建築士 B建築契約に関する事務、設計審査や現場審査、建築工事の指導監督、建築物に関する調査や鑑定等を専門に行っている検査畑の建築士、といったように別れるようですが、何れも専門知識が必要でありその全てをパーフェクトに熟知している建築士はあまりいないのも現実です。
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ある設計事務所の建築士が言っていたことに“設計の仕事自体が忙しいのに工事の監理までやっている時間はないよ”と本音を言っていたのですが、それであれば適法かつ適切な工事監理は行われていないことになるのですから怖いことです。建築士といえば全て一括りに考えがちですが前段のことも踏まえた上で鑑みれば建築士の資格や業務自体を専門分野に分割するなど一般に分かりやすく合理的にする必要があるのではないでしょうか。
 
  ■国土交通省のホームページにて、平成17年度の建築士等の処分事例が発表されています。
(一部転載)
  事例:1 工事監理を十分に行わず、工事監理報告書の建築主への提出を直ちに行わなかった。 また、設計者及び工事監理者に就任する意思のない建築士の氏名を確認申請書等の設計者、工事監理者欄に記入した。 このことは、建築士法第10条第1項第2号の規定に該当し、業務停止5ヶ月。
  事例:2 工事監理者に就任する意思がないにもかかわらず、確認申請書の工事監理者欄に建築士としての自己の名義を記載した。 このことは、建築士法第10条第1項第2号の規定に該当し、業務停止3ヶ月。
  建築士の名義貸し:代願行為は違法です。建築士の方は適法な業務や工事監理を行ってください。
  ■『工事監理』と『現場管理や施工管理』との違い
  工事監理:一般的には建築主や設計者がその施工段階において行う監理行為をいう。建築士法第2条6項においては、「その者の責任において工事を設計図と照合し、それが設計図書のとおり実施されているか否かを確認すること」と定義されている。(1級、2級建築士等)
  施工管理:基本的に施工者が行うものであり、その内容は施工順序や方法等の施工計画と管理、工程の計画と管理、品質管理、安全管理、予算管理など、いわゆる現場監督等がおこなう。(施工管理技士や建築士等)
   
 
  設計事務所によってはポリシーや使命感をもって、建築士本来の姿で業務を行っている良心的な事務所や、欠陥住宅の撲滅に尽力している建築士等も存在します。したがって、先に記述した発注形態や条件、説明等が必ずしも全てに当てはまるとは限りません。
  ≪掲載の趣旨≫
  決して業界関係者の非難を目的とするものではありません。しかし、今回記載している事柄は単なる憶測ではなく、これまでにKJS(私)が体験してきた実際のことを記載しています。 それは、建築会社や設計事務所(建築士)が本来の使命や責任を果たさず、また、業界の悪しき慣習こそが『欠陥住宅作りの温床』になっているからです。また、業界の悪しき慣習や風潮を消費者の皆さんにも是非知って頂き、これからの家造りに際し、少しでも役立てて戴きたい“トラブルの回避になれば”との趣旨で掲載しました。

人間に欲や弱さがある限り、本来の使命感や責任感、理性とのジレンマはこれからも続くことでしょう。
KJSは業界関係者との利害関係が無いかたちで消費者の強い味方として契約サポートや建築工事の検査監理を行っています。

 

 
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