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KJSレポート

 


 
■“ プレカット加工も適切な設計と工事監理は必要です
No.56 - 2008/4/24

皆さんはプレカット加工という言葉を御存知でしょうか。
プレカット加工とは、木造軸組み工法における柱や梁の継ぎ手・仕口等、設計図の情報をコンピューターで読み取り、それを全自動加工機によって切削することです。従来は大工職人が手工具や電動工具などで加工していたものを機械でその殆どを行なうものです。従って、現場にその部材が搬入されれば職人さんは軸組み材等を加工する必要はなく法令に従った金物等を適切に併せて組み立てていくのです。

プレカット加工の特長としては

  1. コンピュータ利用による合理的設計と加工
  2. 継手部材の高い加工精度による耐震性
  3. 工期の短縮とコストダウン
  4. 防腐防蟻処理による耐久性

以上のような特徴があげられています。無論、プレカット自体が問題という訳ではありませんが、下線を引いた部分に関係して大きく分けて以下のような問題点がみられます。

四つの問題点

その1 現場とプレカット材との不整合

現場がプレカットの内容を理解していないこと。つまり、建築会社より発注された部材自体と実際の現場の施工状態に整合性が取れていない。例えば、(A)土台木の継手と基礎に埋め込んだアンカーボルト等の位置が全般に干渉していることや、(B)柱を立てるほぞ穴の位置とアンカーボルトの位置が干渉している。または、(C)プレカットによって棟木・母屋・軒桁等に欠き込まれた*垂木当り欠き(写真の矢印部)の幅と実際の垂木等の幅が全般に違う場合があることなど。これらは、現場監督の施工管理ミスとも言えるでしょう。

≪参考写真≫

〔土台継手〕
〔土台ほぞ穴〕
〔小屋組(母屋・垂木)〕

その2 構造の不適正

合理的設計やコストダウンというものの材料節約を徹底した結果、床組みの剛性や軸組み上の欠陥になるような設計がなされていること。つまり、軸組み上の欠陥とならないような配慮がなされていないこと。これは、建築基準法やその他の関係法令に違反しているという意味ではありませんが、例えば、同上下階の耐力壁部(土台・胴繋ぎ・軒桁)の同じ位置に継手を揃えており、金物等による適切な補強の指示もなされていないことなど。また、せっかく加工精度の高い継手としていても水平荷重の掛かる位置に継手を集中させていれば、その部分が剛性など構造上の弱点(欠陥)になることは言うまでもありません。
これらのことは合理的設計というよりも単なる材料節約によって構造強度を無視しているにしか過ぎません。

その3 建築士(設計士)の責任放棄

当該建築士がプレカット工場の建築士等に大切な構造設計を任せてしまい、実際の構造強度的な面等のチェックをしていないことが多く、上記2.のような軸組み構造上の欠陥になっている部分に気付いていないか、または無視しているものと思われます。その結果、不具合があっても現場ではそのまま搬入された部材を使って建築してしまっていることがあるのです。これでは建築士の「責任放棄」と言わざるを得ません。

その4 工事監理者の不在

上記2.や3.のようなことがあっても建築士が実際に現場(建築)を見ていればせめて適切な補強等を指示することもできるのですが、工事監理者が不在(工事監理をしていないこと)であればどうにもなりません。これではプレカット材がどんなに「継手部材の高い加工精度による耐震性」といっても、十分な強度や耐震性の確保とは言えなくなってしまいます。
また、監理者が不在ではプレカット材を使用すること如何に係らず、その他の施工についても適切なチェック機能は果たされないでしょう。

以上のように、建築士や施工者側の建築に対する無責任や知識不足など建物の瑕疵というものに対する意識の欠如よって、プレカット加工自体にせっかく長所があってもその長所が著しく減刹されてしまっている場合が見受けられます。
従って、プレカット加工を取り入れること如何に係らず、適切な設計と工事監理がなされなければ欠陥の潜んだ住宅となってしまう場合もあるのです。


コメント

KJSの建築検査は工事の進捗に合わせて施工プロセスを検査監理しています。それは、建物が建築される途中と完成後だけを検査するのではなく、施工の過程をチェックした方がその建物の全ての品質や施工品質が把握できるからです。
また、建築に関しての手抜き工事や不具合の回避に大きく役立っていることもこれまでの多数の実績より明らかです。

 
■“ 『行政と民間指定確認検査機関』中間検査のあり方について・・・その1
No.55 - 2008/1/30

建築基準法関係法令に基づく戸建て住宅の中間検査に際し、本来、『建築基準法に適合した最低限の安全性を確認する』といった目的があるにも係らず構造上の重大な欠陥の見逃しという問題が発覚しています。

≪建築確認申請から完了検査までのプロセス≫

上図のように、建築確認申請は行政又は民間の指定確認検査機関の何れかに持ち込まれることになっており、その後の中間検査や完了検査はどちらに申請しても良いことになっていますが、概ね確認申請をしたところで中間検査から完了検査まで進んでいることが多いようです。

≪中間検査における重大な問題≫

  1. 指定確認検査機関が行なった建物の中間検査において、建築基準法に適合しない重大な手抜き工事が見逃されていたこと。(適切な時期に適切な検査が行なわれたならば、目視で簡単に発見できる程度のことで、かつ建物の全般にわたり構造上もっとも重要な部位であったこと。)
  2. 問題があった場合など、民間検査機関に中間検査の申請が持ち込まれていた場合、行政はその検査方法や内容・結果について、建て前とは別に実質的には関知しないとしていること。
  3. ある建築審査課(行政)によっては具体的に『この項目はこのようにしてきちんと検査している。また、検査をするようになっている。』とはっきりと言い切っているところもあれば、*そこまで見る(検査する)ようにはなっていないなどと曖昧なことを言っている審査課もあるなど、検査する内容や項目など一定の基準が決められているはずのものが、行政間でもその見方について基準が統一されていないこと。
  4. 県の建築指導課や市の建築検査課には取り合えず「中間検査の手引書」というものが存在するのですが指定確認検査機関にはそのようなマニュアルが無いところがある。
  5. 指定確認検査機関や住宅性能保証会社では、*そこまで検査するようにはなっていないなどと言っているところがあること。また、「本来、工事監理者が行なうべき業務である」などと責任転嫁をしていること。(確かにそのとおりですが、では、何故に中間検査を行なうのか本来の趣旨を見失っている)
  6. 中間検査の申請時に提出すべき、工事監理者の監理状況報告書自体にも虚偽や間違いがあることに気づいていないこと(実際に工事監理自体が行なわれていない場合が多いこと)。
  7. 中間検査は土台・柱・横架材・筋交い・耐力壁・床組・小屋組など検査できる一定の時期に現場検査を行なうことになっているにも係らず指定確認検査機関によれば、『検査の時期がズレることもあり、見れないこともある』と言っているが、耐力壁が見れないような時期に行くことは有り得ないことであり、逆に検査できないような時期に行っているとすれば、そのこと自体が問題であること。
  8. 中間検査時に重大な事柄の見逃しを行なっていたのですから、その検査機関や検査員が検査を行なったその他の建物についても法に適合していない物件がある可能性があること。
  9. 中間検査時に不適切な事柄が見逃されていれば、それが完了検査で発見されることは皆無に等しく、そのまま完了検査済証まで降りてしまう可能性が高いこと。
  10. 建築会社は建築主等から不具合を指摘されることがあった場合、行政等の検査を受けていることで、「合格しているから適切な工事が行なわれている証明だ」などと理不尽な反論がされること。(ちなみに、近年の判例では「欠陥現象が発生していないから瑕疵ではない」又は、「検査に合格しているから瑕疵ではない」などの主張や反論は殆どが排斥されています。)

本来、行政間や確認検査機関によって、検査すべき内容や項目・見方の違い、そして、「特段の検査を行なっていない項目」があればその項目、曖昧にしているのであれば、「曖昧になっていること」又は、「検査機関や検査員によってばらつきがある」などのことを率直にはっきりと社会一般に公表しておくべきでしょう。 そうしなければ、建築主は中間検査を受け、その中間検査に合格したことを持って適正な建物が建っていると信じているのです。そして、そのまま完了検査までもが合格して検査済証が降りてしまうことになり、これも建築主は完了検査に合格したことを持って安全で瑕疵の無い建物が建ちあがったものと勘違いしてしまうのです。

≪具体的な施工不備(欠陥)の例≫

「中間検査における重大な問題」として指摘した上記1.について、今般木造軸組み工法においては、耐力壁(耐震壁)部の筋交いに代わる面材耐力壁が多くなってきています。(面材耐力壁とは下図のように構造用合板を設置することにより耐力を確保すること)以前は筋交いの設置により建物にかかる水平力に抵抗できるよう設計されていたものが、現在では面材のみ若しくは面材と筋交いの混合という設計(構造)も存在します。

上図の(A)については、筋交いの適切な留めつけと箱金物等の設置が必要であり、(B)については耐力壁合板として大臣認定を取得している条件(材種・厚み・釘またはビス打ちの間隔等)が詳細に決められていますが、その施工規定が守られることが前提条件です。その必須条件である釘の本数や間隔が足りない又は所要の釘が打たれていないなどの施工不備が認められましたが、これは、上の図の(A)でいうところの規定金物が設置されていないことや、筋交い自体が設置されていないに等しいことであり、所要壁量が足りず壁量計算が成り立たないことを意味し、耐震上脆弱な建物となってしまうのです。
このような施工不備箇所が建物の全般にみられるのですから設計時に『耐震偽装』をしていなくても、目視によって簡単に分かる程度の重大な不備を現場検査で見逃していれば耐震偽装をしたのと結果は同じことです。

これでは、突然やってくるかもしれない大地震や台風などの際には、当然、甚大な被害をもたらすことは言うまでもありません。ちなみに、ある行政(建築審査課)では、『筋交い端部に設置すべき金物は当然確認するようになっている』と言っていますが、それならば、これに代わる面材耐力壁の場合であれば重要な釘打ち間隔や、せめて釘が打たれているか否かくらいは確認するのが当然のはずです。民間の指定確認検査機関の検査体制はどのようになっているのか、検査員は何を検査したのか全く分りません。

皆さんはご存知でしょうか、住宅性能保証の会社もこのような建築基準法及び国土交通省告示に該当するほどの重要な事柄の不備について、中間検査時などに「行政が行なう検査とは違うから、保証会社としてはそこまで見るようにはなっていない」などと言っているのですから、住宅の保証自体に意味はあっても、建物の瑕疵や欠陥を防止するという意味においては役に立っていないといっても過言ではないのではないでしょうか。

これらの件については、行政及び民間の指定確認検査機関、住宅保証機構の三者に対して中間検査のあり方や検査マニュアル・検査の項目等についての統一を図るなどして今後の中間検査を行なっていくように当事務所より申し入れを行なっているところです。(現在のところ、まだ明確な返答はあっていません・・・・・)

コメント

行政及び民間の確認検査機関の方へ

建物の中間検査は何故行なうのか、何故法制化(義務化)されたのかその重要性を再認識し、建築基準法に該当することなど最低限検査すべき項目だけは見逃すことのないように検査をしてほしいものです。

消費者(建築主)の皆さんへ

行政又は行政に準ずる中間検査や完了検査は必要なものです。しかし、それだけで本当に十分でしょうか?実際にそれらの検査を受けた建物であっても、欠陥住宅は抑止されていないことも事実であり、身近な問題なのです。


安心と納得の家造りには、建築会社と経済的利害関係のない、建築主の立場で行なう第三者の工事監理や建築検査が有効な手段です。

 
■“ 地盤保証に関する意外な落し穴
No.54 - 2007/12/4

皆さんはご存知ですか?
例えば、万一地盤沈下などによって建物自体が傾斜したときなど、地盤調査を行なった保証会社がその保証を行なうことがあります。

基礎や建物の水平傾斜についての保証基準を通常5/1000ミリ以上の傾斜が発生した場合と定めている会社があるようですが、その傾斜の判断の仕方について以下の図のように、それぞれ違うことがあり注意が必要です。

上図のように、両社とも5/1000ミリ以上の建物傾斜が発生した場合と規定しているのですが、A社は免責事項として建物の水平長さ(10.0m)に対して5/1000ミリ以上の建物傾斜が発生した場合と規定しており、B社は『品確法の住宅性能表示制度』の既存住宅性能評価の基準に則り3.0m以上離れている2点の間を結ぶ直線の水平面に対する角度について5/1000ミリ以上の建物傾斜が発生した場合に保証すると規定しているのです。

つまり、同じ5/1000ミリ以上の建物傾斜であってもB社は15ミリ以上になっていた場合は地盤保証をするということであり、片やA社では最大50ミリ以上の傾斜にならなければ保証はしないと規定しているのですから雲泥の差があるのです。
また、地盤沈下(不同沈下)のケースは例-1.や例-2.のような場合などいろいろなケースがあるのですから、例-2.のような不同沈下による建物傾斜の場合に例-1.(A社)のような規定では著しく不合理な基準と言わざるを得ません。

実例として、実際にある建物の1階6帖の一方向において床水平の計測をしたら3.0mの間で18.0ミリの傾斜(高低差)、つまり6/1000程度の傾斜が発生している建物がありました。この場合、B社では保証の対象内であるものが、A社の保証規定に照らせばそれは1.8/1000でしかないことになり保証の対象外になってしまうのです。偶さか、それが屋内床面の施工精度だけの問題であれば改修工事等で済ませることも可能な場合もあるでしょうが、事象が地盤の沈下に起因するものであれば、建物のみの改修では根本的な解決は有り得ないどころか、むしろ傾斜が進行する可能性さえもあるのです。

建物の瑕疵(欠陥)という意味においては・・・

平成12年建設省大臣告示第1653号は「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」として、「不具合事象の発生と構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性との相関関係」について、不具合事象の程度を以下の3段階に区分し、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性を住宅の床の傾斜については、

*「3/1000未満の勾配の傾斜」・・・・・・・・・瑕疵が存する可能性が低い
*「3/1000以上6/1000未満の勾配の傾斜」・・・瑕疵が存する可能性が一定度存する
*「6/1000以上の勾配の傾斜」・・・・・・・・・瑕疵が存する可能性が高い

としています。しかし、この技術的基準は構造耐力上主要な部分における実際の瑕疵の有無を特定するためのものではないため、*「3/1000未満の勾配の傾斜」にしても構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する場合があり、また、「6/1000以上の勾配の傾斜」にしても構造耐力上主要な部分に瑕疵が存しない場合もあること」を留意すべきとして定められ、あくまでも住宅紛争審査会の審査における参考基準であり、『直ちに欠陥判断の基準となるわけではないことを留意すべき』としています。

実際の運用に当たって建築会社等では取り合えず3.0/1000程度の建物傾斜を一定の施工精度の基準として、あえて瑕疵としての自社基準は設けていない場合など曖昧さが見受けられます。また、地盤保証会社においては瑕疵保証(地盤保証)の基準として規定(運用)している数値は5/1000以上の建物傾斜(床勾配)がある場合としていることや、その見方にしても上記のように建物の水平長さ(総延長間)を基準としていたり、3.0m以上離れている2点の間を結ぶ直線の水平面に対する角度についてとしている場合があるなど矛盾が存在していることも確かです。

そもそも、上記の3段階の基準となったのは1.5/1000と言われており、この基準を基に作成されたものとされています。
構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性を住宅の床の傾斜について、6/1000以上の床勾配の不具合事象などは、欠陥が存在することが容易に認定できるほどの酷い状態ですが、実際運用されている瑕疵の基準としての数値は3/1000どころか勝手に5/1000以上という基準で運用されています。このことは欠陥を主張する建築主側にとっては不利な数値と言え、むしろ欠陥を否定する業者側にとって有利な数値や見方として援用されている状態と言えます。

ちなみに、最初は施工精度が良くて問題無かったものが後から地盤沈下などの原因により一定度以上の傾斜が発生したものが瑕疵であり、最初から施工精度が著しく悪くて一定度以上の傾斜があったものは瑕疵には該当しないのかと言えば、やはり社会通念上必要とされる性能を超える定度の傾斜であれば瑕疵に該当するものと解釈するのが妥当だと思われます。


安易に建築会社が言う『何かあれば当社は地盤保証会社が保証をしてくれるようにしていますから安心です、お任せ下さい』などという言葉を鵜呑みにせず、その保証内容を十分理解し納得したうえで契約をすることです。

 
■“ 不動産売買と建物調査、不動産購入サポートの重要性
No.53 - 2007/11/7

既存建物売買時には売主は仲介業者に売却を依頼し、その仲介業者が買主を探して売買を成立させるといった形態が一般的ですが、建物付きの場合は通常、重要事項の説明以外に仲介業者がその建物の状態を調査した結果、又は、売主に申告してもらった物件内容説明書を出すなどして買主に説明をするようにしています。勿論、契約後のトラブルをお互いが避ける為です。

しかし、売主自身もその物件自体の内容を把握していないケースがあります。例えば、建物の漏水や蟻害、構造上の欠陥等。そして、仲介業者においても土地の仲介や建物の仲介に際し、規定されていること以外のことは目視等による通常の注意義務を果たせば良いこととされており、隠れた問題の有無についてまでは把握されていないケースがあります。

ここでトラブルが多いのは、重大な瑕疵が後から発見された場合にどのようになるのかです。
実例として、構造金物の設置不備や構造自体の不備・ユニットバスではない在来の浴室の場合で、その床下の浴槽周囲から著しい漏水が発見されたことや、本宅に増築した接合部から雨漏りが発見されたことなどがありました。
買主はその状態を瑕疵であるとして、まず不動産業者へ「どうにかしてほしい」と補償を求めるのですが、「あくまでも自分達は通常の注意義務は果たしており、売主さんも知らなかったことだから補償には応じられない」という返事しか返ってきません。
また、不動産の売買契約時の重要事項説明書には「売主は瑕疵担保責任を負わない」とすることが特記されている場合も少なくないのです。

仲介業者自身がその建物調査をした結果を添付していた場合、はたして通常の注意義務を果たしていたのかということが問題になりやすいため、先に述べているとおり、売主に建物の状態を申告してもらった物件内容説明書を出すようにしていることが多く、かつ、「売主は瑕疵担保責任を負わない」として契約を成立させていることが多いのです。

その場合、買主は余程の事がない限り妥協せざるを得なくなってしまいます。
その「余程の事」とは、例えば以下のような場合です。

  1. その土地や建物自体について契約の目的が達せられないような瑕疵があった場合。
  2. 仲介業者が通常の注意義務を果たしていなかったと認められる場合。
  3. 売主がその建物に住んでいて、その瑕疵を当然に知っていたはずであると認められるとき。
  4. 買主が特段の購入条件や希望を事前に仲介業者に伝えたうえで契約をしていたにも係らず、そのことが果たされない場合や、仲介業者の調査不足で近年に果たされなくなった場合等。

ただし、これらのことは、多くの場合司法の場にて争って結果を出さざるを得ないことが実情のようで、それ以外のことでは瑕疵補修の請求や賠償責任の追及は難しいようです。

最近、KJSで不動産購入サポートに伴い建物調査を行なったところ、既存建物の仲介物件で仲介業者も売主も知らなかったという雨漏りや構造金物の施工不備等を事前に(契約前に)発見しました。その事を仲介業者に告げたのですが、その不動産業者の担当者いわく『修繕費用はもうどこからも出ないのですが、知ってしまったからには、修繕をしないといけないでしょうね』などと迷惑そうな言い方をするのです。
後日、KJSで雨漏りの詳細調査に立会い、その該当する付近に水を掛けたら、やはり漏水が確認されました。
そこで、その仲介業者(担当者)が言った言葉は『そんな水の掛け方をしたら漏れてくるのが当然ですよ』などというのです。どんな水の掛け方をするのか、したのかではなく、そこには事前調査の時点で確かな漏水痕が認められていたのであり、実際に水道水を吹き付けたら水が漏れてきたのですから、通常の雨では雨漏りをしなかったとしても、台風などの時には明らかに漏水を起こしていたという証拠なのです。また、構造金物の設置不備についても、「中古物件はこんなものですよ」などと言っていました。
仲介業者がそのようなことを言うのは『売主も雨漏り等はしていないと申告しているのだから、そこまで調査する必要も責任も無い』ということなのでしょう。
しかし、その売買契約では、やはり「売主は瑕疵担保責任を負わない」とする特記がなされていたのです。買主はその既存建物を購入する前に慎重を帰して第三者(KJS)に購入サポートに伴う建物調査を依頼していたことが幸いしたことになりますが、雨漏りに限らず構造上の欠陥など、契約の後から重大な瑕疵が発見されれば、若しくはそれらの瑕疵を何年も知らずにいたとしたら購入者は著しい不利益を被ることになるのです。

不動産業者の仲介業務に際し、誠実な業務を行なっている業者であっても、買主の不利益など何も考えていない不誠実な業者であっても、一定の仲介手数料を支払うことには違いないのですから注意が必要です。


今回のレポートで皆さんにお伝えしたいことは、不動産業者が巧妙に法すれすれのことをしている場合もあります。不動産の売買に関して皆さんが売主であっても買主になったとしても、適切な売買契約であるかの見極めは重要です。大きな買い物なのですから第三者のプロにサポートを依頼するなどして安心と納得の売買契約をするべきでしょう。

 
■“ 建築条件付き分譲地購入時の落し穴に気をつけて・・・その4〔完結偏〕
No.52 - 2007/10/30

KJSレポートの484950で『建築条件付き分譲地購入時の落し穴に気をつけて』と題して発信していました問題について、やっと終結を向かえることができました。

経緯としては、土地売買に関して宅建業法第47条に抵触するような説明の不備や、顧客が迷惑を被るような個人情報の漏洩等が問題となっていました。この件に関し書面による謝罪を求めていたのですが、あろうことか謝罪を求めた日から4日後にハウスメーカー側から契約の解除を申し出てきたといった状況でした。その後の不誠実な対応についてはこれまでのKJSレポートでご紹介していたとおりですが、結果として、今回相手方の全面的な謝罪と契約金等の全額返還及び相応の違約金を支払うことで決着しました。
問題の発生から終結するまで10ヶ月もかかりましたが、相手方ハウスメーカーの支店や本社及びその顧問弁護士もこちら側の正当な主張を認めざるを得なかったものと思われます。

今になっての謝罪ではなく当初の時点でその謝罪がなされていたならば、何事もなくお家は完成し、既にご家族の新たな出発が始まっていたはずのものです。それどころか、そのご家族は10ヶ月もの間大変な精神的苦痛やいろいろなリスクを抱えたまま耐えてきたのですから、お金などでは償えないほどのことです。

今回の件では、建築会社も何も得はなかったでしょうし、特に契約者の方(サポート依頼者)は、さまざまな面でその後のご家族の生活設計が変わってしまったことは言うまでもありません。結局、誰も何も得をした人はいなかったことは確かです。

契約が白紙になったからと言ってそのハウスメーカーの社会的責任は、はたして全てが果たされたのか疑問が残りますが、せめて最後に責任者や関係者が一同に謝罪をしてくれたことで多少は報われたような気がしました。

しかし、一歩間違えば訴訟に発展していてもおかしくなかった状態だったのですから、今後は、大手ハウスメーカーとして今回の事を教訓にしてもっと社会性のある誠実な対応を望みたいものです・・・。

終わり

今回のレポート52に関するご感想を、ENさんから寄せて頂きました。(2007/11/2)

大手ハウスメーカーといったら、CMのイメージが大きく、大手だから安心というような気持ちをまだ多くの一般の消費者の方は持っているのではないでしょうか。
このような実態を聞くにつれ、消費者も賢くないといけないと思いますが、不誠実な態度、実態を続けていけるほど世間はあまくないはずです。
ほんとに誠意ある態度、メーカーとして責任ある仕事や対応をしてほしいものですね。

このレポートをご覧の皆さんのご意見やご感想をお待ちしています。遠慮なくお寄せ下さい。
kjs@tatemonokensa.com






 
■“ 『欠陥住宅の回避』コンクリートの打設時に注意!
No.51 - 2007/5/8

≪例−1≫

建築検査において、あるハウスメーカーの基礎コンクリートの打設(打ち込み)工事に立ち会いました。
1台目のミキサー車で搬入された生コンの打ち込みが始まっており、順調にいっているかのように見えたのですが、念の為に出荷伝票を見せてもらうと、そこで驚いたのはAM9:00に出荷されており、既に10:20を過ぎています。そして、2台目の生コン車も既に到着して待機している状態であり、あろうことか3台目も到着間近という状況です。



さて、皆さんは何が問題なのかお分かりでしょうか?

外気温が25℃を超える場合は生コンの練り混ぜから打ち込み終わりまでの時間が90分以内と規定されていますので、この時間を待機している車両2台分の生コンは打ち込み中、又は打ち込み前に超過してしまうことが確実であり、コンクリートが規定の設計基準強度を充たさない可能性がでてくるのです。


上の表をご覧のとおり、搬送時間が長いことに加え、現場の手直し時間の待機やポンプ車等の設置に手間取って時間を費やしてしまい、コンクリートの打設終了時には丁度90分を経過しています。そして、既に到着している2台目の生コンは打設途中で規定の時間を超えることになり、3台目に関しては打設前に90分を超えてしまいます。 出荷時間のタイミングも適切とは言えないのですが、最初の印の20分のロス部分が2台目と3台目の生コン車に待機時間を作らせてしまい、後の工程に大きな影響を及ぼしていることが分かります。

≪原因として≫
  1. 搬送の時間に限らず事前の準備等を確実に終らせておくことは絶対条件なのですが、それが出来ていなかったこと。(段取りミス)
  2. 生コン工場の選定ミス(搬送時間や距離)
    ・現場の近くにも生コン工場があるにも係わらず、基礎工事業者に生コンの発注まで請け負わせていた為、遠距離であるその業者の地元の生コン工場を選択させていたこと。

  3. 現場管理者の時間配分等の基本的な施工管理ミス
これらのことが言えますが、加えて現場監督が『2時間くらいは大丈夫だと思っていた』などと言っており、知っていてか知らずにか、コンクリートの打設規定時間などにはあまり関心がなかったことも確かなようです。
従って、強度に信頼性の無いコンクリートによって建物の基礎が形成され、尚且つ、将来にわたりコンクリートの中性化や劣化等が促進されてしまうなど、建物に掛かる外力や荷重に耐え得るに不安な基礎が出来上がることになるのです。

参考・注意

  • 生コン打設の工事途中で、現場に近い生コン工場があるからといって、違う生コン工場から搬入するなど品質の違う生コンを混ぜてはいけない。
  • 外気温が25℃を超える場合、生コンの打設途中で次の打設までの打ち継ぎ時間が120分を超えないようにすること。
≪例−2≫

ある施主の方の要望で建物の着工後からの検査依頼を受けたのですが、基礎工事時(生コン打設時)の外気の平均気温が8.5℃であったにも係わらず基礎コンクリートの立ち上がり部の型枠を1日足らずで脱枠していたことが発覚したことがあります。この気温の場合は、5日間は脱枠してはならない、若しくは圧縮強度が5N/mu以上に達したことが強度試験で確かめられた後でなければ脱枠してはならないとされているのです(※外気温・セメントの種類・その部位によってせき板の最小存置期間が建築基準法告示及び日本建築学会標準仕様書JASS5により規定されている)。

従って、例−1やこの場合など、強度試験をして要求されているコンクリートの圧縮強度が確保されていなければ、明らかに基準法不適合であり、重大な瑕疵のある建物になるのです。その場合例え既に建物がその基礎の上に建っていたとしても、そのような瑕疵・欠陥のある建物を建築主は引き取る必要はありません。

例え目に見えない部分に施工上の瑕疵が潜んでいたとしても建物は何もなかったかのように建ち上がるのですが、このまま工事を進めれば『現象無き欠陥住宅』の完成になっていたかも知れません。今回のような事が原因で基礎または躯体等に著しい劣化や亀裂等いろいろな不具合が発生したとしても、一般的には何が原因なのか後からでは判り難いものです。

ちなみに、今回掲載した例−1は夏場の時期であり、例−2は概ね冬場のことです。これから建築される皆さんの参考になればと思います。


KJSの建築検査は工事監理に近い形で仕様(部材)品質と施工の過程を検査しています。これまでに数え切れないほどの施工ミスや手抜き工事を発見し回避してきましたが、建築というものは、ほんの数回程度の現場検査などでは確認できない重要な事が沢山あるのです。安心な家造りを目指すのであれば第三者のプロのサポートは欠かせない時代です。


 
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