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KJSレポート

 

 
■“ 建築条件付分譲地購入時の落し穴に気をつけて・・・その3
No.50 - 2007/4/20

前回のレポート49で、≪不動産取引の不公正と不適正(宅地建物取引業法違反)≫ と題してレポートしていましたハウスメーカーの不動産売買等に関する問題と不誠実な対応について、 “・・・・・消費者の知る権利や消費者の利益の保護を優先し、その利害関係者(消費者)の方からお問合せがあった場合、その社名と支店名、その建築会社が行なった宅建業法に関する巧妙な違法行為と対応の嘘・不適切な販売手法等々、諸問題の詳細を事実に基づいて公表します。”
としておりました。しかし、この件に関する問合せの反響が多い為、時期をみて先のレポートでその内容を公表する予定です。
ちなみに、今回の問題は、1月中旬より発覚し現在に至ってもまだ解決していないのですが、相変わらずそのハウスメーカーは恥の上塗りを重ねています。
私共
KJSが依頼者の方の代理人としてがっちりとサポートしているのですが、それが如何にも煙たいらしく、トップの責任者は謝罪の電話の一つもしないうえ、部下のみを契約者の自宅へ突然訪問させて『KJSさんとはお会いせず、二者で土地建物の契約解除に関するお話しを進めさせて頂けませんか』などと、また言ってきたそうですが、このようなことはもう4~5回目のことなのです。あくまでも顧客の代理人(補佐人)を排除したうえで、話しを有利に進めたいとの思惑をあらわにしていますが、他にもかけ引きの言葉を併行して言っておきながら、依頼者の方(契約者)がそのような口車に乗るはずがありません。

これまでもトップの責任者は一切の無視を決め込んでおり、その対応も不誠実、且つ、消費者(契約者)をあまりにも小馬鹿にしたものでしたが、上記のようなことを何回も言ってくれば、契約者の方の不信感を逆に増幅させ、逆なでするだけです。そのような卑劣な手段を用いても前向きに進むはずもなく全く愚かな事ですし、○○○○ハウスの社内体質や恥を曝け出しているようなものです。恐らく、今回の件で宅建業法違反について国交省の地方整備局から
行政の指導をいくつも受けたという既成事実ができたことの焦りがあるのでしょう。

前回にもレポートしたように、同社は地方整備局から行政指導を受けるような行為をしておきながら、一方では契約者に対し「どうして欲しいのですか」などと、契約者の方の人格をも否定し兼ねないことを言うなど、さも購入者の主張そのものを言い掛かりであるかの如く言って開き直り、お客様のことより自分達の立場を必死に守り繕う、その姿には呆れるばかりか憤りを感じざるを得ません。この件についてKJSはこれからも読者の皆さんに発信していきます。


KJSは消費者の強い味方であり、消費者の立場でサポートをしています。
例え相手方が大手ハウスメーカーであろうが、そうで無かろうが、不法行為を行なっていながら横着を決め込むような相手方には一歩も引きません。KJSは法的根拠を以って依頼者の方をしっかりとサポートします。ちなみに、契約事において問題が発生した場合など、人が法を選んでいるのであり、法が人を選んでいるのではありません。
契約事や建築自体において、建築会社等のネームバリューに捉われることなく、第三者のプロにサポートを依頼するなどして公正且つ安心な契約をして下さい。




■“ 建築条件付分譲地購入時の落し穴に気をつけて・・・その2
No.49 - 2007/3/23

≪宅地建物取引業法≫

私の経験値からして大手ハウスメーカー等の宅建業者は宅建協会に加入していない場合があるため、地方の宅建協会等が時に行なっている法改正時の研修会や講習会などに宅建主任者が参加していないことが多いようで、新しく法改正、又は新設されている事柄を把握していないケースがあるように思われます。
例えば、昨年より施行されていることで、既存建物の売買などではアスベスト調査の有無・耐震診断の有無・瑕疵担保責任保証保険加入の有無とその内容などが宅建業法第35条の重要事項等としての説明すべき事項になっています。
そして、一般の不動産売買や分譲地の売買など、現在多く発生している不動産取引に係る諸問題についての適切な対処方法等についても学習していない、又は、トラブルに関して認識の低い主任者がいるようです。
このようなことは不動産の購入者等に多大な迷惑を掛ける場合があると共に、主任者自身にも大きなペナルティとして返ってくることすら気がついていないようです。そして、いざ問題発生となれば会社の看板の陰に逃げ隠れをして保身の一手に走り込む姿が見受けられます。

◆宅建業法第31条(業務処理の原則);宅建業者は取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない
◆宅建業法第35条(重要事項説明);宅建業者は売買契約等が成立するまでに購入などの相手方に対し、宅建主任者をして一定の重要事項を記載した書面を交付して説明させなければならない
◆宅建業法第47条(重要な事項の告知義務);宅建業者が取引の相手方に対し、重要な事項について故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為(尚、この条項は消費者契約法との兼ね合いもあります)

宅建業法に関する概念図

以上のように、31条の中に47条が含まれており、その47条の中に35条の重要事項説明が含まれているのです。一般に35条の重要事項の説明が一番重要視されがちで、それぞれが単体の規定であると勘違いされている方が多いようですが、実は不動産の仲介や売買でよく問題になり易いのが第47条の『重要な事項の説明』です。

宅建業者は契約行為等の業務を行なうにあたり、重要な事実があればその相手方にとって実害があるなしに係わらず売買契約の前までに告知しなければなりません。
では、『重要な事項』=「重要な事実」の説明は何故必要なのかと言えば、購入者等がその事実を契約前に知っていたならば、その契約行為を保留又は取り止めていたかも知れない程の事柄だからです。例えば、イ:対象不動産の周辺環境問題であったり、ロ:その購入者等が特にその購入の条件としていることが近い将来に滅失、又は著しく制限されてしてしまうことが事前に分かっていた場合、ハ:その物件を購入すれば物件そのものに付加される条件や費用が発生する場合。つまり、業者等の相手方の判断に重要な影響を及ぼすこととなるものを指します。このようなことは、先にも述べたように実害が有る無しに係わらず事前に説明をすべきこととされているのです。

ちなみに、宅建業法で言う『故意に』というのは「知っていながら・・・」という広範囲な意味でもあります。反面、宅建業者がその事柄を全く知り得なかった場合は告知義務に違反とはなりませんが、業者として当然の注意義務を怠ってそれを知り得なかった場合は告知義務の違反になり監督処分の対象となります。(平成18年12月20日より2年以下の懲役、300万円以下の罰則金、又はこれの併科・法人は1億円以下の罰金刑が科される場合がある)

では、宅建業者が自ら売主となり、その第47条1号の「重要な事項の説明」を購入者にしていなかったことで実際にトラブルになった場合どのようになるのでしょうか。
当然、
購入者側は売買契約の事前には重要な事項の説明を受けていなかったことを主張し、尚且つ、重要な事項として説明を受けていたならば、そこで重要な事項としての認識をもって何れかの判断ができていたはずなのに、その機会を故意に剥奪されていたことにより、著しく不利益を被ったことを主張します。そもそも、売買契約前に告知自体を受けていないのですから契約前には何も判断のしようがありません。

一方、
宅建業者側(ハウスメーカー)は告知をしていなかった場合、先に述べているような罰則や監督処分を受ける可能性があるのですから、当然説明はしていたと主張するでしょう。しかし、不動産売買契約の前に購入者等がきちんと理解できるように説明や告知をしなければならない責任があります。(業法第1条・31条・同47条1号)

そこで、業者の言い分はイ:「そのことが購入者にとって何か不利益があったのか」ロ:「説明していたから契約者は認識していたはずだ」ハ:「そのことが重要な事項とは購入者は知らなかったはずだ」ニ:「その後の打ち合わせでは認識していたはずだ」とまで言うのですが、勿論イ:ハ:は論外であり、ニ:のその後の打ち合わせでは・・・、というのは「事前に・・・」ではないのですから意味がないというより言い訳にしか過ぎません。逆に巧妙な作為を感じさせます。ロ:の「説明していたから契約者は認識していたはずだ」については、まず、
1.本当に説明していたのか、2.契約の前に購入者が重要な事項として認識できるようにきちんと告知(説明)していたのか、3.何時、何処で、誰が、誰にどのように告知をしたのかということになります。
告知をしたというのであれば、説明責任や告知義務のあることについては業者側には告知をしたという
立証責任があり、上記1~3についてその証拠をもって証明しなければなりません。(ちなみに、資金計画書なるものを契約前に渡してはいたようですが、これも渡したというだけで肝心なところは誰も何も説明もしていなかったのですから話しになりません)従って、その説明をしたという立証ができなければ当然告知していたとは認められませんし、司法の場で争うまでもなく既に結果は出ているようなものです。
このようなことにならない為には、重要な事項に該当すると思われることは重要事項説明書(第37条の書面)の末尾の特記欄等にその旨を記載しておき、きちんと購入者が理解できるように説明をしておれば、何ら問題にはならないことなのですが・・・。

その他にも宅建主任者自身が顧客の個人情報を他人に漏らしていたなどのことも判明しており、この事も厳密には宅建業法45条(秘密保持義務)に違反する行為であり、罰則規定もあることなのですが、それを平気で破っていたのですからお粗末な話です。

当該宅建主任者を含むその従業者自体が大手という看板、つまり社会的信頼という看板の上に胡坐を掻いていて問題を理解できないのか、それとも認めたくないのか、何れにしても大手住宅生産者(ハウスメーカー)としての社会的責任に対する意識や、不動産取引に関する消費者保護等の意識が欠如していたのでしょう。それにしても、自分たちの犯した明らかな業法違反を棚に上げ、「どうして欲しいのですか」などと、さも購入者の主張そのものを言い掛かりであるかの如く言って開き直り、お客様のことより自分達の立場を必死に守り繕う、その姿勢には憤りを感じざるを得ません。
そのハウスメーカー自体の体制について、本店にお客様相談室なるものを設けてはいるものの、3回の申し入れをしたにも係わらず「支店より回答させます」と言っておきながら一切を無視するなど、その対応は不誠実、且つ、全く消費者(契約者)を小馬鹿にしたもので、余りにも酷いものでした。


KJSとしてはそのような建築会社(法人)を擁護する必要は無く、消費者の知る権利や消費者の利益の保護を優先し、その利害関係者(消費者)の方からお問合せがあった場合、その社名と支店名、その建築会社が行なった宅建業法に関する巧妙な違法行為と対応の嘘・不適切な販売手法等々、諸問題の詳細を事実に基づいて真実のみ公表します。


これから建築予定の方は、建築会社等のネームバリューに捉われることなく、例え契約を急がされても適切な冷却期間を取るなどして、冷静に判断されることをお奨めします。尚、不動産売買契約や建築契約の際、不安や不信な点が少しでもあれば、第三者のプロに尋ねるなどして、確信を持って契約をすることです。逆に自信や確信が持てなければ契約をしない勇気を持つことも必要であり、雰囲気や情に流されて契約をしたとしても契約事は貴方自身の自己責任でもあるのです。



■“ 建築条件付分譲地購入時の落し穴に気をつけて・・・その1
No.48 - 2007/3/23

≪不動産取引の不公正と請負契約の不適正≫

① 当然、建物を建てる場合、土地がなければ建物は建たないのですが、建築会社の都合で建築請負契約を先にさせてしまうケースがありました。どのような意味があるのでしょうか。不動産(土地)売買契約条件付き建築請負契約なんて在り得るはずがありませんが、もし、土地契約が成立しなかった場合は、いつまでに何処に建てるのでしょうか。契約金や建物契約自体はどうなるのでしょうか。

C. このような順序での契約は何か思惑があってのことなのです。トラブルになる確率が高いので止めておくべきですし、信頼のできない建築会社と言っても過言ではないでしょう。

② 土地の売買契約と、見切り発車の状態(大まかな予算やプラン等)で建築契約を同時にさせてしまうケース。

C. 違法ではありませんが、まさに、契約に掛かる時間短縮や信頼関係などと称して契約を急がせるのは、契約者に冷静な判断をさせる時間を与えないことや、他社に浮気をされないようにすること等が目的です。悪質なケースでは宅建業法違反や消費者契約法に抵触する場合もあります。

③ ある建築会社の契約形態で、土地売買や建築請負だけの利益ではなく、もっと利益が欲しいということなのか、宅地分譲(造成)をしたときの上下水道の引き込み工事代や都市ガスの引き込み工事代などとして、後の登記費用等の諸経費の中に計上し、何も知らない契約者から30万円ほど取り上げようとしていたケース。

C.違法とは言いませんが、最初に(契約前に)きちんとその費用の趣旨を購入者に説明して、その購入者が充分納得しているかどうかが問題です。普通ではそんなことはしないのですが・・・? 納得できなければ契約をしない決断をすることも大切です。

④ 分譲地内の土地を購入し、建物の完成が間近になっていたAさんが、営業担当者から「登記費用等の諸経費は180万円程です」と聞いて少し高いのではないかと思い、既に同じ分譲地内で既に入居していた隣地の方Bさん(Aさんの知り合い)に尋ねたところ「うちは140万円でした」と聞いた為、営業担当者に「お隣と借入れの額もそんなに違わないのに、何故私のところだけそんなに高いのですか?」と追求したところ、後日、「Aさんのお宅は150万円で結構です」と答えてきたという実話がありました。

C. 登記代等にそれだけの幅があるはずがありませんし、交渉をしたからといってそんなに下がるものではありません。黙っていればこんな不思議なことも有り得るのがこの業界です。このような不誠実なことをする建築会社が建てた建物自体の信頼性までも疑いたくなるものです。


≪建築契約の不適正≫

① KJSに建築見積りの精査をしてもらえないかとの依頼がありました(建替え地)。その見積書を詳しく精査してみると、下水道の整備がまだ行なわれておらず、浄化槽設置が必要な地域だったのです。ちなみに浄化槽の一般的な工事代は5人槽で通常50万円台から80万円といったところが普通なのですが、確かに配管の長さや条件によって材工費は異なるものの、その建築会社は、それを諸経費として計上し140万円余りを計上していました。その他にも適正な利益率を明らかに超えていると思われるものや、今回の建築には関係のない項目が計上されており、概ね180万円程度が不適切と判断されました。よって、施主の方がその項目や金額について指摘をしていたといころ、次回の見積書では総額から140万円が減額されていました。

C. 確かに建築会社にとって利益は必要だと思いますし、このこと自体が違法とは言えないでしょう。しかし、不適切な項目や金額で計上されていても一般の消費者には分かり難いものです。その会社の建物は坪単価20万円台と謳っているせいか、利益をこのようなところで確保しようとしていたのでしょうか・・・。
ちなみに消費者の皆さんが「見積りが高い」と思ったときによく言われることは「値引き交渉等をして安くなっても、その分どこかで調整(手抜き)されてしまうのではないか」という心配です。しかし、交渉をしてもしなくても上記のようなことをしている業者であれば、何れにしても結果は同じことかも知れません。第三者のプロのサポートを依頼しておくと安心です。

② このようなトラブルが現在でも発生していることを皆さんは御存知ですか。(トラブル相談より)

契約事等に関する不備
不信感とトラブルの内容
*打ち合わせ図面が存在しない
*正式な図面が無いままでの契約
*仕様書が無いままでの契約
*見積書が無いままでの契約
*工事中の記録写真が無い
*工事着工の後に契約書が作成されており、印鑑は建物が完成した今でも押していない
*金額、その他、何も記載されていない白紙の契約書に氏名を書いただけ
*基礎の設計をするのに地盤調査をしていなかった
*行政の中間検査は受けたが、完了検査を受けていない(検査済書の交付は既に受けられない)
*契約形態について建設業法の第1条-2項に規定している請負額の1,500万円を超えている。
*思っていた内容の建物ではない
*坪単価に見合った建物ではない
*田んぼを埋め立てて建築したが、地盤改良等の措置をしていないので大丈夫か
*工事途中で取り止めにした数百万円分の工事代金が差し引かれていない
*外構工事代も契約に入っていると聞いていたが、入っていなかった
*著しく錆びた鉄筋を使って配筋していたし、雨天時に基礎工事の生コン打設を行なっていたが大丈夫か
*基礎コンクリートには絶対亀裂は入らないと言っていたが何箇所も入っている
*構造材(梁、柱)に古材を使っているようだ
*欠陥住宅になっていれば工事代の残金を全部は支払いたくない

上記の事例は、1件(1棟)の建物契約や建築に関したトラブルの実例です。信頼関係という言葉を頻繁に使って、白紙の契約書に名前だけを書かせるような業者(一級建築士)が今でも存在していますし、人の良い人間はそれらに付け込まれてしまうのですが、問題のある契約でも契約は契約なのです。上記の表を見れば、当然起こるべくして起こったトラブルですし、建築主にも責任はあるのでしょうが、問題が起こった時にしたたかなプロに一般の方が対等に太刀打ちできるはずがありません。
このような場合、プロにはプロをもって対等以上に戦うしかないのではないでしょうか。


雰囲気や情に流されて契約をしたとしても契約事は貴方自身の自己責任でもあるのです。
KJSは消費者の強い味方です。不動産や建築契約のサポートなど業界関係者との利害関係が無く、消費者の立場でサポートをしています。



■“ 『建築主と建築会社』契約に関する各々の権利と責任
No.47 - 2006/10/1

皆さんは今回レポートしているような契約形態が現在でも普通に存在することを御存知ですか?
≪実際のご相談事例より≫

■契約書や設計図書等が無い状態での建築契約

  1. 正式な契約書や約款が無い
  2. 見積り書をもらっていない
  3. 本体工事と諸経費の明細がない
  4. 仕上げ表や仕様書が無いままでの簡単な契約を交わしている。 (建物の仕様内容はモデル住宅の建物を見て口頭で決めていた)
  5. 設計図をもらっていない(着工してから簡単なものをもらった)
  6. 建築確認通知書を見たことがない、自らは確認していない
    (*建築確認申請が不要な地域もあります)
  7. 間取りの充分な確認をしていない。
    (建築中に間取りの確認をして、間取りの不備に気付いて変更を要望した)
  8. 地元の大きな工務店で契約したが、その会社の詳しい内容は知らない。
    (近所の人が良いと言っていたから決めた。)

※このように、全てをお任せコースにしてしまっては、トラブルが起きない方が不思議です。

■その結果

Q.当然、建物契約に含まれているはずと思っていた浄化槽等の設置費用(工事代)を追加請求されているが、本当に含まれていないのが普通なのでしょうか?

Q.建物の設計費用は支払っていたのに、浄化槽設置の為の設計費用と称して後から16万円を追加請求されたが本当に必要なものなのですか?建築費又は建物本体の設計費用の中に全て入っていると思っていたのですが、これが普通なのでしょうか?

Q.例:台所のそばにトイレがきているので変更してくれるように行ったが、業者には『今更言われても変更できない』などと言われたが?

・時期によってはできる場合もありますが、給配水管設備などがチグハグな状態になったり、追加工事費用を要求されても仕方が無いこともあります。

Q.建築士は設計の意図を建築主に事前に説明しておかなければならない義務や、責任があると聞きましたが本当でしょうか?

・確かにそのことは建築士法第18条-3に規定されています。

Q.自分達が建築現場に殆んど行く時間がないので、専門家ではない身内に時々現場を見てもらっている。
“手抜き工事をしているのではないか”と聞いたが、はっきり分からないまま工事が進んでいる為、不安でたまらないがどうしたら良いか。
・・・等々の相談があります。

※このように、契約書や設計図書等が無い状態での建築契約では、本当に支払うべき必要のある費用なのか否か、そして、支払う必要のある費用とすれば適切な費用なのかという問題もありますが、それが契約時点で曖昧にされているのでトラブルになる場合が多く、相手方との交渉や解決に時間が掛かったり、双方が感情的になるケースも少なくありません。

※建築中に余りの不安に駆られて『建築中の検査をしてもらえませんか』といった相談もあるのですが、いざとなると、“強く出て機嫌を損ねるとかえって手抜き工事をされてしまうのではないか”といった懸念からなのか、遠慮してしまう方も少なくありません。

・本来、「建築契約」の意味とは、建築会社は法に適った契約どおりの建物を引き渡さなければならない義務と責任があり、その対価として契約した費用(報酬)をきちんと支払ってもらう権利があるのです。その一方、発注者や購入者はその費用をきちんと建築会社に支払わなければならない義務と責任があり、そのかわりに契約に則した建物をきちんと建築して引き渡してもらうという当然の権利があることは言うまでもないことです。大きな買い物をするのに、不安や納得のいかないことが有るのであれば、遠慮をする必要があるのでしょうか。

※実際に、建築主の方からの御相談があった際に建築途中の現場検査に行ってみると案の定ということもあり、やり替え工事の要請をいきなりしなければならない場合があります。それでも建築中だからこそ出来ることもあり、逆に完成後や入居後の不具合や瑕疵欠陥であれば、双方共に高いリスクを背負うことになります。

■トラブルの発生時に施主の方がよく言われる例として

*○○さんからの紹介があったから信用して契約したのに
*同じ町内の建築会社だったから信用して契約したのに
*大手の建築会社だったから信用して契約したのに
*建築会社を信用して契約したのだから
*私達は素人だから・・・
といった言葉をよく耳にしますが、それだけに建築会社に期待や信頼を置いての発注(購入)であったことが伺えます。しかし、現実には建築会社のモラル・法や行政の保護に期待するだけでは欠陥住宅の被害は防げないのが現状です。勿論、消費者側が悪いということではありませんが、
建築は契約までに全ての7~8割が決まってしまうと言っても過言ではないくらいですから、契約前に建築について何を優先させるかが重要なポイントです。

まとめ

消費者が大きな買い物で泣かないためにはどうしたらいいのか。朝日新聞の生活欄に、実際に欠陥住宅の被害に苦しんでいる方の言葉が掲載されていましたので、その一部を少し紹介します。
≪木造3階・戸建て住宅・入居6ヶ月≫
*建築中に不備を工務店に指摘をしたら「大丈夫です、監理は社内の専門家がやっています」といわれて反論できなかった。
*完成後、違法建築になっている問題が次々に発覚。仕事の合間に工務店との交渉に時間を費やしストレスから体調も崩してしまった。
*建築前に外部の専門家に監理を依頼することも検討したが、仕様を充実させることを優先してしまった。「数十万円を出し惜しんでさえいなければ」と悔やむ日々を送っている。
*「大丈夫です」「それが普通です」と言われても絶対うのみにせず、専門家に相談し、納得して建築することです。

といった内容で、第三者検査の専門家に要所をチェックしてもらうことの必要性を強調されています。

何百件と家を建てたことがある業者と、めったにない買い物をする消費者では知識も経験も違いが大きすぎます。できれば、建築や購入の計画段階からプロのサポートや、第三者の建築検査を入れると大変有益かつ安心です。また、建売住宅や既存住宅を買う場合も契約前に専門家に検査をしてもらうことをすすめます。


※建築サポートや建築検査の依頼は早い時期であればあるほどトラブルの抑止に役立ちます。

※KJSは契約サポートや建築検査を必要とされている方の為に真剣に業務を行ないます。



■“ 不正な住宅ローンの申し込み
No.46 - 2006/10/1

依然から行なわれていたことですが、契約優先の建築会社が勧誘している不正な融資の申し込みとして、いわゆる『 ふかし行為 』が最近でも行なわれています。

住宅金融公庫の戸建て住宅融資の主な要件として、

  1. 所得に応じた融資額や返済率の限度が決められています。
  2. 土地購入費と建物建築費の各々の8割までしか融資をしません。
    あとの2割と掛かる諸経費分は自己資金が必要です。

しかし、建築や購入予定の方で自己資金が足りていない場合もあるようで、0~1割、又は諸経費が無い状態であっても建築や購入ができるような裏技が存在するのですが、勿論、消費者側は最初からそんなことは知らないことが多いのですが、契約優先の建築会社等は不正な融資の申し込みを勧誘することがあります。
例えば;「300万円の預金はありますが買えますか?」といった場合、仮に3000万円の物件であったとしても600万円(20%)+諸経費が必要なわけですから建築や購入は不可能です。

しかし、何故かその営業マンは“何とかなるでしょう”“何とかしましょう”などと積極的に言い出します。客は半信半疑でその仕組みを営業マンから聞くことになるのですが、結果“そんな方法があるのなら”ということになり、そして、その会社(営業マン)は契約が欲しいのですから「その代わりローンが首尾よくいったら当社の物件を買ってください。又は、契約をして下さい」ということが客との間に暗黙に成立させることになります。

では“そんな方法があるのなら”とはいったいどのようなことか・・・。

先に記述した①の条件が取り合えずクリアーすればよいのです。②の条件については、不動産売買契約書や重要事項説明書、建築においては建築請負契約書・見積り書及びローン申し込み書等を条件に合うように数字合わせをしたものを作成する場合があります。勿論、何れの契約関係書類も本当の契約書類とローン用の契約書類になり、二重や三重に作成することになりますが、それでもローンが通るのであれば互いに儲けものということでしょうか。業者も「何処の会社でもやっている、誰でも同じことをやっている」という感覚のようです。

ちなみに、①の条件(所得額による貸付限度額や、返済率)によって、有利な諸条件を利用しても必要融資額が厳しいこともありますが、その際は、一旦修正申告を行なうなどの方法もありますが、何れにしても不正なことには違いありません。

このように本来の物件価格に上乗せをした金額で契約をしたように偽装した書類を作成し、必要な融資額を引き出そうとする行為のことを、いわゆる『ふかし契約』『ふかし行為』と言います。

このような不正行為は数十年も前から行なわれてきたことですが、この現在でも行なわれています。また、このことは消費者側も業者が勧めてくれるようにしておけば、規定より少ない自己資金で購入できるといったメリットがある為、つい口車に乗って共謀してしまう方が少なくないのですが、しかし、大きなデメリットやペナルティーが待ち受けていることも忘れてはいけません。

  1. そのような契約を勧める建築会社に限って建築自体が杜撰であることが多いこと。
  2. 諸経費と本体工事費などの区別が明確にされていないことが多く、トラブルになり易いこと。
  3. 首尾よく公庫や銀行の融資予約が仮に出たとしても、①や②で述べたこと等が原因でトラブルになったとき等に双方が揉めて不正融資が発覚することがあるのです。
  4.           

※不正融資申し込みが建築中に不正が発覚すれば適正な融資限度額までの減額や、融資予約の取り消しということもあり得るでしょうし、建築現場はストップする可能性があります。

※建物が完成し、融資実行後に発覚したら、「融資額の一括繰上げ返済」などという厳しい措置が待ち受けていること。勿論、土地代の融資を受けていれば、その分も含めての一括返済もあり得ます。例え、①や②のことで不満があっても自分自身が不正な融資に加担していれば、公に争えず妥協せざるを得ない場合も出てくるでしょう。

※何れにしても、発覚した場合は建築会社と施主の双方または一方がその減額分又は全額分の資金の調達をしなけなければなりませんが、その際、客と建築会社が責任の擦り合いとなり、泥仕合となることは必至でしょうし、中小の建築会社や工務店が数棟分の一括返済を迫られたらどのようなことになるのか容易に想像できることです。貴方は一括返済できる資金力がありますか?

■ 公庫融資取扱店である銀行や公庫自体のチェック体制の怠慢も、建築会社等の思惑や不正を助長していると言っては過言でしょうか?
返済率や年収に合った借入申し込み額でさえあれば、物件自体の価格の信頼性や契約書類・申し込み書類等の審査については、かなりチェックが甘いのではないかと思われます。

  1. 売買された土地価格が近隣の相場より著しく高ければ判るでしょうし、分譲地のチラシ等によっても見抜けるはずです。
  2. 建築請負契約書においては、その建築会社の通常の単価設定等により、これも著しく高ければ判るでしょうし、その他にも自己資金の確認を行う等、チェックの方法はいくらでもあるはずです。
  3. 融資取り扱いの担当者も、所得に応じた融資額や返済率が書類上クリヤーできてさえいれば、「不正が発覚したときは、事前にペナルティーがあることを表示しているのだから・・・」もしくは、「そこまで追及することが仕事ではない・している時間は無い・そこまでの責任はない」ということなのでしょうか。薄々分かっていてもわざと見逃しているのではないかとさえ思われます。

    ※ 以前にもこのような不正による融資を客に促して営業を行なっていた会社があり、このことが発覚して数件分の融資された住宅ローンを一括して公庫へ返済させられたことがありました。その会社がどのような結末になったのかは分かりませんが、しかし、今でも受注を取るためには同じことを繰り返している建築会社があります。“お客様の為にやっている”又は“誠実に資金不足のことを客に伝えても、その客は他の建築会社で買うだろう、建てるだろう、であれば当社で”といった気持ちは分かりますが、そのような綱渡りがいつまでも通用するでしょうか。
  4.           

後で景気動向等が変動して客が破綻をきたしたときには、「客も納得していて、親切でそうしてあげたのだから、後のことは自分たちの知ったことじゃない」とある営業マンが言っていたことを思い出しますが、貴方はどのように思いますか?

■まとめと注意

不正な申し込みによる融資が実行されていたことが発覚した場合・・・・。
先に記述したように建築業者は一括返済又は一部繰上げ返済等の措置とともに、各金融機関でブラックリストに挙がることになり、また、公庫融資付きの住宅は建築できなくなる可能性も高いのですが、そうなった時、それでもこのような建築会社を一般の消費者が受け入れて(信用をして)、数千万円もする建物を安易に発注や購入をするでしょうか。
また、消費者側にとっても業者の口車に乗って、資金不足による無理な取得計画を実行すれば、後になって付けが廻ってこないとも限りません。

各金融機関や公庫にしても住宅ローンについて一定の基準を設けているのは、当然、健全な資金計画や返済計画のもとで住宅の建築や取得が促進されていくことが一つの目的であるはずです。消費者側も建築会社の選択及び住宅ローンを利用する場合など取得計画には慎重さが必要です。

注意:今回は住宅金融公庫の融資規定を基にした例をあげましたが、民間の住宅ローンについても融資枠や金利等の条件の違いはあるものの、類似した「ふかし行為」が行なわれていることは確かなようです。尚、今回のレポートについては、憶測や推測によるものではありません。KJSでは実際に「ふかし行為」を行なっている建築会社や工務店をリストアップしています。

※尚、「ライフプランに適った健全な資金計画と安心な返済計画」について、KJSレポート15でも紹介しています。


当事務所では、これから建築や購入をお考えの方の『安心な建築契約』に関するサポートと、『安心と納得』の為の建築検査・工事監理を行なっています。



■“ 〔パート1〕契約工期の厳守は施工品質に比例する?
■“ 〔パート2〕工事監理に対する建築士の名義貸しの実態!
No.45 - 2006/9/20

パート1 契約工期の厳守は施工品質に比例する?

建築中のこんな言葉に注意!

着工が遅れそうになると!

・『当社で一番腕の良い職人をお客様の現場に当てたいと思っていますので着工を一ヶ月ほど遅らせてもいいですか?』または、『当社で一番優れている現場監督をお客様の担当に当てたいと思っていますので完成は遅れますが1ヶ月ほど着工を待って頂けませんか?』

私の経験からして、『一番腕の良い職人や現場監督』は不思議なことに一社に何人も何組もいることが多いのです。つまり、『一番優秀な・・・』は、単に建築会社にとっての都合を言っているにしか過ぎないのです。

完成が遅れそうになると!
・例:「お客様のお選びになっていた流し台が新商品であった為、納期が3週間程掛かるそうです」、又は、「お客様が最終的にお決めになった時期が遅かったものですから、その分遅れてしまいます」・・・などと客のせいにしてしまう担当者もいます。

・『他の職人を応援で入れると手が変わって仕事が雑になりますから少し遅れますが、遅れてもこのままでいったほうがいい建物ができます』

『あまり職人を急がせると良い仕事が出来ませんので、遅れてもいいですか?』と、言われれば施主は当然丁寧に造ってほしいに決まっており、よほどの事情がない限り断る方は殆んどいないでしょう。しかし、『ここまで来て雑な仕上げになるよりは、入居日を遅らせてでもしっかり作ってほしい』という施主の弱みや心理を利用した単なる口実の場合もあり、言い訳の多い建築会社(担当者)ほど建築の精度が良いとは限りません。数日の遅れは止むを得ない場合もありますが、言い訳は遅延違約金請求などのリスクを事前に回避するための根回しでもあります。


“引渡し時の言い訳”の例
「今年は雨が多かったですから・・・」という言い訳をよく耳にしますが、それは土工事や基礎工事・屋根・外部等の雨仕舞いに影響する工事までの作業のことであり、特に建物がドライインに入ってから後のことは段取りが悪かっただけのことであり、しきりに言い訳を繰り返すのは自己の施工管理能力の問題です。

工期に多少の前後や幅は必要でしょうが、当然その規模や構造・雨天や休日・予備日等も工程(表)には最初から組み込まれているはずです。工期を守らなかったり、無理して間に合わせたような現場では得てしていろいろな問題が発生している場合も多いのです。

そもそも契約工期は何故決めるのでしょうか。
施主がアパートや借家住まいである場合など、契約書に記載された工期(期日)を基に退去の申し出をしますから、予定が延びればその分の家賃も発生する為、そこでトラブルになったケースがありました。
特にマンション等であれば戸数が多い上、その引渡しや入居予定日が数ヶ月前には決められているのですから工期がずれ込むととんでもないことになります。過去に、突貫工事で追い込みをやって仕上げが雑になっていた為、完成内覧会時に手直しが多く発生し、ゆえにその手直し工事に期間が掛かり過ぎて“入居予定日に入居できなかった”というトラブルもありました。

ちなみに、建築会社にとっても工期が長引くということは、資金回収が遅れるということでもあり、それだけ金利負担が嵩むのですから、なるべく早い時期での販売と、決められた時期での引渡しをしなくてはならないはずです。

■まとめ

一般的に昔から「工事を急がせると、いいことは無い」などと言いますが、確かにそうとも言えるでしょう。しかし、今回のレポートでは急がせることを推奨しているのではなく、決められた契約工期を守ることの大切さを述べています。

これまでに、KJSで建築検査や監理をしてきたなかで、工期を守ることにきちんと意識を持って施工(管理)をしていた建築会社ほど施工中のミスや引渡し時のトラブルが比較的少なかったことは確かです。逆に現場が中長期に止まっていたりしている場合等は何らかの問題が発生していることが多いようです。従って、工期の厳守はその会社の施工水準を表す一つの目安でもあり、現場監督が行なう施工管理(工程管理)と施工品質等は、ある程度比例していると言ってもよいくらいです。

パート2 工事監理に対する建築士の名義貸し!

工事監理者の不在

パート1で述べている施工管理も大切ですが更に重要なことは、設計者や建築士等(現場監督を兼ねる場合がある)が行なうべき工事監理が、適法かつ、適切に行なわれることも絶対条件です。ここで言う工事監理とは、基準法及び建築士法上の工事監理者のことです。

実際に、工事監理が全く行なわれていなかった工事途中の現場にKJSで建築検査にはいったことがありますが、事実、基礎工事等に重大な施工不備が発生していたことがありました。その件について確認したところ、驚いたことにそのA一級建築士がB.及びC.建築士に名義貸し(無断での再委託)をしていたことが発覚したのですが、更に驚いたことは再委託を受けていたB一級建築士も実際にきちんとした工事監理をしていなかったことも発覚しました。更に更に驚くべきことはB建築士いわく“現場監督(D)も建築士だから”などと意味不明のことを言っていましたが、結局、誰の責任において工事が行なわれたのか分からない状態です。

このような場合、確認書に記載されたA.建築士は士法上最も責任があるのですから、当該A建築士とその使用責任者に対し、施主に対する謝罪を求めたところ、取り合えず最終的には謝罪がありました。しかし、謝罪はあったものの違法工事や現場の施工不備としては取り返しのつかない事柄もあるのです。

そもそも、建築主は本店の建築士など会ったこともないのですが、建築会社は何故全く関係のない本店のA.建築士を設計者や工事監理者として確認申請をする必要があるのでしょうか?確認申請はあくまでも実際に設計や工事監理をするものの氏名を記載する必要があります。つまり、この場合、実施設計者であるC.建築士を設計者として、実際に工事監理を行うB.建築士を工事監理者として素直に申請すれば良いだけのことです。そのようなことをするから責任の所在が曖昧で実際に適切な工事監理が行なわれないのです。そして、このような行為こそが欠陥住宅を発生させる原因となるのです。

■まとめ
近年の判例の傾向では工事監理の委託契約が交わされていてもいなくても、確認通知書に記載された工事監理者(建築士)がその職務を怠っていた場合等、欠陥住宅として瑕疵が司法の場で認められた場合、その責任や賠償は不法行為として粗免れられません。工事監理とはそれ程の大切なことなのです。

建築士の方は、自分が雇用されている建築会社の設計・施工や施工体制・監理体制等に例え不備があったとしても、建築士としての使命や倫理というものがあるはずです。


KJSは適切な工事監理が行われているかどうかのチェックも行ないます。
それは現実に適切かつ適法な工事監理がなされていない実態が多くみかけられ、そのことが取り返しのつかない欠陥住宅の現出に繋がっている事実が多いからです。



■“ 不動産売買サポート No.44 - 2006/9/20

不適切な契約形態

ある大手不動産会社の仲介で既存マンションの購入をされる方の契約サポートをすることになりました。物件自体や媒介の形態については特段の問題はなかったのですが、契約形態の一部に問題点があった例を紹介します。

契約書の例
  • 物件価格     ・・・・・・・  4,200 万円(契約額)
  • 契約金      ・・・・・・・  400 万円(物件価格の約 10 %)
  • 融資特約による解除期限・・・・・ 契約日より 21 日後
  • 手付解除の期限  ・・・・・・・ 契約日より 1 ヵ月後
  • 決済の期限    ・・・・・・・ 契約日より 2 ヶ月後
  • 違約金の額    ・・・・・・・ 契約手付金相当額( 400 万円)
  • その他、契約書及び重要事項説明書や物件状況報告書の内容等、特段に問題点は見当たりませんでした。ちなみに、その仲介形態としては一社(自社)で売主・買主双方の仲介を行なうかたちであり、売主側と買主側の担当者は別々の担当者ということでした。


問題点
ここまでは、普通の契約形態なのですが、問題は売主と買主との実質の契約日が異なり、以下のような不都合が発生することです。

買主に対する重要事項説明と契約日は土曜日の午前中にして、売主の契約はその 4 日後である翌週の火曜日の夜にするとのことですが・・・
  1. 日付や売主の署名押印の無い契約書に署名押印をさせて、その場では買主に契約書を渡さないこと。
  2. 契約手付金である400万円の現金は、仲介業者が自社の印を押した「預り書」を買主に渡して預かっておくこと。


*通常の売買契約書には「この契約を証するため本証書○通を作成して売主及び買主が署名押印のうえ各1通を保有する」となっています。確かに“同日時に保有する”とは記載(規定)されていませんし、その契約書と売主の正式な領収書は、後日、仲介業者の担当者が届けにくると言うのですが、その間買主のところには「預かり書」とその他の書類だけしか残されていない状態です。
つまり、契約日にずれがある為、契約金を支払ってもその時に相手方(売主)の正式な領収書はその場でもらえないのですが、その担当者いわく「当社の印鑑を押した預り書を渡すのですから何か問題がありますか」と言っていましたが問題が無いとは言えません。 そして、買主は自分が署名押印をした契約書の控えすらもらえずという状況の中で、不測の事態が生じないとも限りませんが、かなり不安な日々を過ごさざるを得ません。

経過と結果

※一つに、契約書の契約日については買主の契約した日付を記入し、売主の署名押印があるものに署名押印をし、その後は買主へ1通を渡すことを要望。
※二つに、「買主は契約日に現金で契約金を支払いますから、売主さんから先に領収書を預かっておいて下さい」ということを要望。

以上の二点を要望していたのですが、後日、その担当者いわく「契約書についてはそのようにしますが、領収書については“売主さんが「契約金を貰ってもいないのに領収書は先に渡せません」という返事でした”とのこと!

売主さんが言っていることは当然のことです。それであれば買主さんも400万円もの現金を安心して仲介業者の担当者にその場で四日間も預けておく決断ができるでしょうか?

そもそも、仲介業者が売主又は買主の代理という取引態様をとっているならばともかく、仲介という態様ではこのような日にちの差がある契約形態では、いくら信頼契約と言っても双方にある程度のリスクが伴います。

契約に際し売主が遠くに住んでいたり、必ずしも売主と買主の都合が合うとは限らず、都合上、仲介業者がどちらかの署名等を先にもらって契約を成立させることは珍しいことではありませんが、本来は、売主・買主・仲介業者の三者が同席できるよう設定できればこのような問題はあり得ないのです。

結果;契約時に第三者(KJS)立会いのうえ、諸確認を行ったうえで売買契約を行なうことにしました。勿論、KJSで不測の事態を避けるための万全のサポートを行なってのことです。

≪コメント≫

契約日は、平日の夜または次の土日にでも双方の都合を合わせることができるはずですし、売主が遠くに住んでいる訳でもありません。何故そこまでして契約を急がなければならないのでしょうか。
建築契約であれ、不動産売買契約であれ、契約事は1日でも1時間でも早くして、「契約をした」という既成事実を作り上げることは業界の鉄則・営業の鉄則でしょう。

「二番手、三番手の方がお待ちですが、私共もこの物件を*お客様に買って頂きたいと思っておりますし、この物件はお客様にご縁があるのです。ですから今日、明日にでも購入申し込み書を出して下さい。」そして、「御契約は通常1週間以内が“当社の原則”となっていますので、今度の土日に如何ですか」などと契約を急がせるのですが、裏を返せば“購入者がきちんと考えたり判断したりする余裕を与えない”ということになります。

基本的に不動産売買は媒介業者の経験やその知識等において安全に行なわれるべきものであり、宅建業とは「業務の適正な運営と宅地建物取引の公正を確保するとともに、購入者等の利益の保護」等が目的とされているのです。 今回の件は特段に違法性を言うのではありませんが、消費者の安心な購入・安心な契約という意味においては、公正な契約形態とは言えないのではないでしょうか。

≪参考≫

この業界では売主や売主側の仲介業者へ買主が「購入前に建物調査をさせて下さい」であるとか、契約事に関してあまり注文や要望を出すと、それが当然のことであったとしても「この条件でいやなら買ってもらわなくてよい」または、「そこまでして売らなくてよい、客は他にもいる」などと、売主側の仲介業者が身勝手で強気なことを言い出す風潮があることも確かですが、不動産取引や契約事に関しては基本的に双方の権利や義務は平等であり、公正に行なわれるべきもののはずです。


≪安心な契約のポイント≫

  1. 契約金(特に現金の場合)と領収書は同時のやりとりが安心です。
  2. 売買契約書のやり取りは少なくとも同日に行なう方が安心です。
  3. 不動産の重要事項説明は宅建業法では契約前までに説明をすることとされています。と言うことは、契約直前でもよいということになりますから、正にその直前で行なわれていることが殆んどです。“重説と契約の行為が一回で済むように”というのは分かりますが、貴方はその場で全てを理解することができますか?難しいようであれば、少なくとも契約の3日~7日前までに説明を受けておき、きちんと理解と納得をしたうえで契約に望むべきでしょう。(重要事項の説明は宅建主任者が説明をしなければならないこととされていますので、主任者カードの提示を受けてから説明をしてもらうこと)
  4. 引渡しの際の残金決済や登記申請については当日に行なうことが原則です。
  5. 物件の調査や契約事・決済事等について、事前に専門家の購入サポートや契約サポートを依頼すると安心です。


◆尚、不動産の売買に関することでは『不動産の購入や売却時に注意したい点』としてKJSレポートNO-6でも紹介しています。


KJS では、既存建物検査・不動産調査・売買サポート(購入サポート)等、物件購入に際し「安心な購入・安心な契約」のサポートを消費者の立場で行います。



■“ 『建築検査』施工エラーと返ってきた言葉集・・・その2 No.43 - 2006/8/28

完成新築建物検査

①規定換気設備の未設置(基準法不適合)

指定確認検査機関の検査員が完了検査にきて“ここは納戸ですね”と尋ねたところ、現場監督は普通に“はい”と言ったのですが、私達が持っている図面には、書斎と明記してあります。検査機関の職員にそのことを尋ねると「私が持っている確認申請図面には納戸となっている」と答えるので確認させてもらうと確かに納戸と記載されているのです。しかし、その部屋の用途は実質的に書斎として使用する予定であり、打ち合せ時点では確かに書斎として打ち合わせをしていたのです。

* 基準法により書斎は居室と同じ扱いです。従って、規定換気設備の設置が義務付けられているのですから当然設置が必要となります。

現場監督は『私は途中からこの現場を受け持ったので知りません』などと無責任なことを言っていましたが、原因は・・・

第 1 に、設計図書(打合せ図面)と確認申請図面が違っていることなどは珍しいことではないのですが、営業又は工事担当者、設計士による施主との確認作業をした上で着工するなどの基本的なことができていなかったこと。

第 2 に、やはり建築士等の工事監理者が適切な工事監理を行っていれば、そのような行き違いは無かったはずです。


② コンセントやスイッチボックスの設置忘れ( 施工エラー )

コンセントボックスや、スイッチボックスのプレートを開けてみると、数十箇所のうち2箇所だけに壁内のボックスが取り付けられていなかったので、その理由を施主が尋ねてみると『そのほうが値段は高いのですよ』などと的の外れた返答をしていました。
内線規定上、適切な止め付け器具を使用していれば確かに違法な工事ではありませんが、施主がそのような壁内のボックス部分にまで値段が高いものを使用するよう指定していたはずも無く、ただ単に先行設置することを忘れていただけのことです。

* 下手な言い訳をするより、素直にはっきり伝えたほうが施主の方は安心できると思います。

③ 竪樋金具の設置方法  (施工エラー)
参考写真


①は外装板の継ぎ目に金具が打ち込まれており、公庫仕様の技術的基準に不適合
②はシーリングが施されていない
③と④は先孔の上、シーリングが注入されており適切

今回の建築検査において、写真③や④のように先孔にシーリングを注入しておいてくれるよう要請をしたら、その現場監督いわく『“当社の場合はこれが(しないことが)標準仕様になっているので、必要であれば、追加料金を払って下さい”と上司が言っていました』といった返事が返ってきたのです。そのシーリング代といっても全箇所分が500円程度のもの1本で済むのです。数千万円の建物を受注しているのに500円程度の追加料金や当社仕様などと不誠実で愚かなことを言うものです

④ 宅内の雨水舛  ( 公庫仕様・条例違反)

参考写真

写真のような雨水舛の泥溜まりの深さは、どの地域においても横管底より150ミリ以上必要として統一されており、建築に関する設備工事の*い・ろ・はと言ってもよいくらいの基本的なことなのです。
それが、写真のように70ミリ~80ミリしかありません。このような仕事をしているようではその他の設置箇所も同じような状態ではないかと見てみれば、やはり全箇所とも95ミリから最大でも125ミリといった状態でした。
建築設備工事の基本を知らない未熟な職人がした工事であることは明白ですが、屋外であればやり替えは比較的容易にできるので、まだ良いほうです。

それよりも、怖いのは同じ業者が屋内の給水や給湯工事・排水設備をやっているのですから、そちらのほうが大変気になるところです。勿論、施主はプロに建築を発注しているのですから、契約上の不法行為ともなり兼ねませんし、不具合が発生すれば当然『 瑕疵』 ということになります。


⑤ 玄関ポーチタイルの浮き  (施工エラー)

完了検査において玄関やポーチのタイルの内、十数枚が著しく浮いていたため現場担当者に指摘をしたら何と帰ってきた言葉に唖然としました。『そこはダゴ張りですから、浮いたような音がするのは当たり前です、どうやって調べたのですか』などと言うのです。
建築というものを知らないのか、やり替えたくない一心でそんな嘘を言っているのか分かりませんが、左官工事(タイル張り工事)において壁面であれば別ですが、土間面は特にひび割れ等が発生し易いのでダゴ張りはしないのが建築の常識です

素人の方を誤魔化すような言い訳をする現場監督に、その会社の建築水準が伺えますが、この調子ではその他の部位や施工品質自体についての信頼性が疑われます。

⑥ 床下の水溜りによる畳下(合板)の青カビ  ( 施工管理エラー)

今年 6 月の降雨時に床下基礎内に多量の雨水が溜まっていた為、排水や拭き取りなどの適切な措置をするよう注意をしていたのですが、『はい、やっておきます』と言っておきながらなんらの措置をしていなかったようです。その証拠に、その水溜りの上部に限られた範囲の床合板に青カビが発生していたのです。しかし、それを知っていながら、そのまま乾かしもせずに、その上から畳を敷いて隠蔽していたのですから悪質です。( 1 F和室床)

*指摘を行ったときの現場監督の表情や言動は・・・・・無言!


①の写真は基礎内に溜まっている雨水が型枠の幅止め金具部分より漏水している状況

②は敷きこまれた畳を捲ったところに見える青カビ

③は青カビ部分やその付近を水分計により含水率の計測をしている状況(本来、合板は 10 %程度ですが 17 %超を示しています)


⑦ 宅内の釘拾い  ( 施工管理エラー)
建物外装部をやり替えたことによって、宅内に数百本の錆びた鉄釘やステンレス釘が散乱しており、後から宅内に真砂土を入れてしまえば分からなくなってしまうので、その前に拾い集めておくように何度も注意をしていたのですが、全く片付けようとしないので、『小さな子供さんが何人もいるのに、入居後にケガでもしたら責任問題になりますが、どうしますか』と強く言って、やっと9割程度を片付けた会社もあれば、同じ状態でまだ収拾していない他社の現場もあります。

まだ、収拾していない建築会社の場合、施主がその注意をしている会話を聞いていて『監督さん磁石はありませんか、私も釘拾いをするから貴方も拾ってくれませんか』と御主人が言っていたのですが、それでも曖昧な返事しかしません

* そのような言葉を施主に言わせること自体、そして、それでも曖昧な返事しかしない現場監督に、プロとしての誇りや常識の欠片も感じられません。

⑧ 施主検査と引渡し日が同時  ( 施工管理エラー)
工期内の工事が間に合わず、引渡し手続きと施主検査を同時に行なうなどして、電気や住宅設備機器・給水給湯管・排水管の点検確認がなされていない為、訳を尋ねると、『今回はお客様の絶対的要望で○月 10 日までに引き渡してほしいとのことだったので、検査と引き渡しを一緒にせざるを得ませんでした』などと平気で客の前で客のせいにしているのですが、急に決まった引渡し日ではないのですから単なる現場監督の契約工期に対する危機管理や管理能力の無さの一言です。

* 数日以内に住宅設備機器や床下配管類の水漏れチェックが必要です。

⑨ 現場管理者の本音  ( モラルの欠如)
建築中、施主の方が現場監督に、“羽子板ボルトのナットが緩んでいる所が何箇所もあるから、締め直しをしておいて下さい”などと何回も言ったそうですが、してくれないどころか『こっちは何現場受け持ってると思っているんですか、忙しいんですよ』と施主に言ったそうです。

* 現場監督自身の人格が疑われますが、社員教育をしていない(出来ない)建築会社自体にも大きな問題があります。


コメント

◆上記の①~⑨は一社で一棟分の建物調査内容等の一部ですが、それ以外にも構造上の不備・雨水の進入に関する防水上の不備・建具と換気設備器機との干渉・流し台設置上の不備等いろいろと初歩的な施工エラーが目立ちました。

◆このように、消費者が著しく不利益を被るような施工体制の建築会社については、本来、消費者への情報の開示を行なうべきだと考えます。よって、利害関係のある方からのお問合せ等がありましたら、そのような会社の情報を把握できている限りお知らせします。(無料)

◆KJSは、これまでの実績やノウハウ等から、適切な建築会社の選択方法やトラブルの回避等を目的としたコンサルサポートをしていますのでお問合せ下さい。(有料)

瑕疵検査 (宅地造成等規制法違反・建築基準法違反・不法行為)

現場打ちコンクリート擁壁の調査において、あらゆる瑕疵(欠陥)がみられ、施工業者に指摘をしたら、あろうことかとんでもない言葉が返ってきたのです。
「少しの亀裂は入っているが、中まで入っている亀裂かどうかは分からないし傾いている訳ではない」「露筋している(鉄筋が見えている)・錆び汁が出ているといっても、今はどうにもなっていないじゃないか、あれくらいじゃどうにもならない」などと勘と経験で言っていたのですが、 高さ 2.5 Mで構築された擁壁にどれくらいの土圧が掛かるのか計算もせず、多数の亀裂の発生、被り厚不足(露筋)、基礎と躯体共にコンクリート自体の著しい中性化と劣化現象がみられるなど、 ありとあらゆる欠陥と杜撰な違法工事のフルコースであり、取り壊し再構築をするしかないのですが、呆れたことに謝罪するつもりがないどころか開き直っているのですから、その施工レベルや意識の低さには言葉がありません。司法の場で争う他はないのではないでしょうか


【まとめ】
建築について、施工水準の低さ、現場管理能力やモラルの低さ、建築の欠陥や瑕疵というものに対する意識の無さ、全てに意識の低い建築会社が存在しており、消費者が普通に備わっているはずであろうと思っている技術(社会通念上必要とされる建築技術)が具備されていない建物等を平気で現出させている状況を目の当たりにすることが多いのですが、本当に欠陥住宅というものは避けられないものなのでしょうか。発注者である施主の方にも欠陥住宅を掴まされないための危機管理上の対策が要求されます。

欠陥住宅の現出は必ずしも建築業者だけが100%悪いのでしょうか。
貴方自身の責任は全くないといえますか?
KJSの建築検査は建築中において欠陥工事の抑止を本来の目的としています。
『安心と納得の家造り』には第三者検査や建築サポートは必ず必要です。


※『新築建物検査』返ってきた言葉集・・・その1はKJSレポート28で掲載。
※『貴方は見抜けますか?施工エラーのいろいろ』はこちらをご覧下さい。



■“ 建築検査後の後日談と現場管理上の問題点 No.42 - 2006/8/7

≪建築検査-その1≫

ある大工さんの後日談

前回の第三者検査の現場も終わり、既に2ヶ月が経過したころ、次の現場に入っていた同じ大工職人と現場監督との会話が聞こえてきました。
その大工職人が現場監督に対して『前回の現場で、第三者検査が入っていたときは、検査員が何度も現場にきては、やり替えや補強工事など何回もさせられて、腸(ハラワタ)が煮えくり返る思いだった』と言っていたそうです。

確かに、それまでやってきた自分の仕事に対しクレームや、やり替えを言われるのは屈辱でしょう。“自分たちは建築会社から云われたとおりにやっているのに”“今までやって来たように仕事をして何が悪いのか、どこが悪いのか”と言いたい気持ちはよく分かります。また、そのようなことは大工職人に限らず他の工種の作業員でも同じ気持ちでしょう。

しかしながら、「今度の現場で仕事をしていてよく考えてみれば、あの時、自分でも“これはこの方法で大丈夫かな、ひょっとしたら”と思っていたところは必ずと言ってよいほど検査員から指摘されていたように思う」と監督に言っていたそうです。

そして、その後の他の現場に入って仕事をしていても「“ここはこれで良いのか”という意識を持つようになった」ということを話していたそうですが、つまり、自分の意思で、良いか悪いかを考えて仕事をするようになったという大切なことを意味しているものと思います。


≪建築検査-その2≫

ある現場監督さんの後日談

建築検査の初日(基礎工事時)にいきなり「手直しや、やり替え」を言われて『何が悪いのですか?どこが悪いのですか?そこまで視るんですか?』と言って逆上していた監督さん。

基礎工事において、生コン打設時に建築基準法に適合しないことが理由で、生コン車に積んだままのコンクリートを返車(処分)しなければならなくなり、そのやり取り時には、かなり疎ましそうな顔をしていた監督さん。

建築会社としても大きな損失になるのでしょうが、そもそも、建築基準法に適合しない程の工事をすること自体、建物としては危険な建物及び、不動産としての交換価値が低い建物ということであり、施主はそのような欠陥や瑕疵の潜んだ建物を注文しているはずがありません。

≪一言≫
基礎・コンクリート躯体に違反工事や欠陥・瑕疵があっても、取り合えず形としては出来上がってしまうのですが、基礎や躯体は建物の最も重要な構造部ですから硬化不良や強度不足等、後から不具合や瑕疵が発覚したら問題としても厄介なことになっていたはずです。(実際にKJSの建築検査で基礎の違法工事が発覚したことが過去にありました)

その後も建築中に様々な施工不備はあったのですが、指摘に対してその会社(監督)はその都度きちんと対処してくれるようになりました。

建物の完成引渡し時に現場監督から『今回は、いろいろと大変勉強になりました。有難うございました』といった御礼を言われましたが、恐らくこちらが言っている欠陥や瑕疵と言うものに対しての理解を深めてくれたものと思います。

その後に『今回の現場は、これまで建ててきた現場の3棟から5棟分くらいの気を遣いましたヨ!』という話し(冗談)があったことも付け加えておきますが、できれば、指摘や注意がなくても普段から、きちんとしてほしいものだと思います・・・。


施工不備が発生する管理上の問題点や原因

① 設計図書や仕様について、設計者と現場監督との意思疎通の欠如

② 下請け職人への適切な施工指示の徹底がなされていない

③ 適切な工事監理や現場管理がなされていない
建築会社の経営上のシステムに原因がある場合もあります。つまり、ただ10件程度の現場を監督に受け持たせ、工程や工事の段取りだけで、本来の工事監理(管理)をしていないことを建築会社自体が黙認してしまっているのです。また、現場監督もそのことに麻痺(当たり前化)しているのです。
それでは適切な工事管理ができる訳がありませんし、そのようなプロセスこそが欠陥住宅の温床となっていると言っても決して過言ではありません。

ちなみに、ある問題が発生したときに、施主の方が
『現場監督さんは現場の監督をしないものなんですか?』と不審の念を持って尋ねられたことがありましたが・・・。確かに現状では現場管理や工事監理は「している時間がない、するつもりが無い、したくない、要求されていない」など様々な事情や言い訳があるようです。 これらの問題によって起こる施工不備は、必ずしも職人自体の思い込みや知識不足、手抜き工事等とは違って、業界の仕組み、建築会社自体の工事監理や現場管理上のシステムに根本的な問題があって発生することも多いのです。


実際に建築検査を依頼された方の生のご感想を KJSのアンケート結果 に掲載しています




“行政の検査を受けているから”といって貴方は安心できますか? No.41 - 2006/8/7

≪建築検査にて≫
KJSが建築の不備を指摘したときに、その建築会社の担当者達が口々に『“公庫のフラット35の仕様で建てているし、行政の中間検査に通っているのだから問題ない”』などと言って、“文句は言わせないぞ”と言わんばかりに顔を見合わせて含み笑いをしていたのですが、すべからく施主と彼らの見る前で、具体的に公庫で規定している構造上の仕様規定の不適合箇所や構造金物の未設置、雨水の浸入に関する施工不備など瑕疵担保責任に該当する不備箇所を多数指摘したのですが、翌日には慌てて手直しをしていたといったことが最近ありました。



* 柱脚部(柱)の土台下が空間となっており、土台の折れや沈み等の原因となる



* 下屋根と外壁の取り合い部に防水紙の不適切な施工。最も雨漏りの原因となりやすい箇所であり、青い破線のところまでの張り上げが必要です。


これでも“中間検査に通っているのだから問題ない”と言うつもりなのでしょうか。
行政の
「検査済」ということを欠陥隠蔽のカモフラージュとして利用して しているようでは 、 全く瑕疵というものに対しての認識が欠けており、 、セミプロがプロの看板を装って建設業をやっているのと同じことです。
ちなみに、公庫仕様の住宅であっても欠陥住宅訴訟は沢山発生しているのが現実です。

このような建築をしている建築会社や、このような考え方を持った建築会社は沢山存在するのですが、その一社が年間数十棟から数百棟を建てているのですから、国内では年間相当数の欠陥住宅が建築されているのではないかと推測されます。
怖いことですが、この現実を貴方はどのように考えますか?

≪行政や指定確認検査機関が行う中間検査と完了検査について≫
KJSレポート 40 でもレポートしたように建築の不備に対して指摘を受けたときに『行政の中間検査に通っているから問題ない』などと各社が同じ
決まり文句 を言うのですが、行政や指定確認検査機関が行なう中間検査や完了検査は現場検査といっても建築の不備や瑕疵に該当することなどは殆んどみないものなのです。
ただ、図面との整合性をみるに留まっており、完成迄の間に 5 ~ 10 分程度の検査を 2 回程度行うだけで瑕疵に該当する事柄まで見れるはずがありません。

それを、行政の中間検査や完了検査済書が降りているからといって、さも全てにお墨付きをもらったかのように吹聴するのは 施工不備をカモフラージュ 責任転嫁 する為に検査を受けているのではないかとさえ思われます。

行政等の検査を盾にとっていうことは、耐震偽装問題で聞いた国会の証人喚問で○○社長が“行政の責任だ”と言わんばかりの的外れなことを言っていたのと同じことであり、そのような次元の問題ではありません。では、「行政の検査は何の為にあるのか」又は、「行政に責任は問えないのか」といった声がよく聞かれるのですが、確かに矛盾はありますが現時点での法体系では行政に責任を問うことは難しく、むしろ、施工上の手抜き工事やその他の理由により欠陥住宅を現出させた施工会社や販売会社、設計士や適切な監理を行わなかった工事監理者に責任を問うべきでしょう。

≪制度上の不備等から欠陥住宅をなくす為には≫

    行政及び指定確認検査機関が行う検査の範囲と内容を明確にすること。
    建築士の設計等の業務と工事監理との法的分離などが望まれる。
    つまり、設計業務や構造計算などを行なった会社や設計事務所及び、その会社の建築士ではない第三者の建築士や指定団体等が工事監理をすること等、早急なガイドライン作りや義務化などが望まれます。
    現時点で上記の①②が今すぐできないにしても、何よりも消費者自身が信頼できる第三者検査や工事監理者(建築士)を指名して建築することが大切です。

上に記述しているような法整備や消費者自身の意識付けが実現されるならば、欠陥住宅の件数や問題は必ず抑止されていくはずです。



KJSは業界関係者との利害関係が無いかたちで消費者の強い味方として契約サポートや建築工事の第三者検査監理を行っています。安心安全な建築は貴方自身の責任でもあるのです。


 
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