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KJSレポート95-2 省令準耐火構造の不備(大手ハウスメーカーMホーム) No.95-2 - 2019/09/03

 省令準耐火構造は、住宅金融支援機構の融資等に特有の構造で、省令で定める基準に適合する住宅をいい、建築基準法で定める準耐火構造に準ずる防耐火性能をもつ構造として、外壁及び軒裏は「建築基準法第2条8号に規定する防火構造であること」が求められています。
 Mホームの戸建て住宅省令準耐火構造の場合、軒裏の防火構造(大臣認定:PC030RS-0139)では、軒の出が682.5㎜以上、又は野縁の釘打スパンが415㎜を超える場合“野縁に吊り木を設置”または“野縁と補強野縁とを井桁状に施工”のいずれかを施工する必要があります。ところが、同社建物の軒裏の構造では、上記①②のいずれも施工されておらず、軒裏防火性能(30分)に関する技術的基準に適合していないことが判明。※以下の説明図、現況写真参照

 これらの野縁及び吊り木は、当然、防火構造上に必要があるからこそ設置するのです。例え、一定の不燃性能を備えた軒天材を設置したとしても、その下地組を適切に施工(有効に保持)していなければ法が要求している防火性能を充たしません。それにも拘わらず、1階下屋部分及び2階軒裏の全周に渡り吊り木等の施工がなされていませんでした。
 省令準耐火構造だと思って安心していても、実際に隣家からの延焼などの際に外壁や軒裏にそれだけの防火性能が無いのであれば、避難時間はそれだけ短くなることは言うまでもありません。そればかりか、軒天材は自重が5kg/1枚程度もあり、地震などの際には軒天材の保持力不足による落下が懸念されます。実際に軒天材の一部が落下すれば車両等の破損、身体に当たれば怪我や死亡事故の危険性さえあるのです。これらは事前に予見できることなのですから、防火構造上或いは法令上に云々という以前の問題です。ちなみに、これらの類の問題は、建築士である工事監理者の怠慢や知識不足によるものですが、建築にマンネリ化した大手ハウスメーカーによく有りがちな事柄です。

 同社は、第三者検査が入っているにも拘わらず平気でこのような施工不良(手抜き工事)をしていることからして、これまでも同様の施工をしてきたものと思われますが、準防火地域以上の地域では省令準耐火構造とは別に軒裏の防火構造が要求されています。したがって、当該地域で同様の施工不備がある場合は建築基準法に違反する建物となり兼ねません。
 皆さんは、恐らく建築途中に軒裏(軒天)部分の施工状態を特段に意識して見ることは無いかも知れませんが、既存の建物(戸建て住宅)であったとしても、施工不良か否か確認する方法はあります。一度確認してみてはいかがでしょうか(全部が確認できるとは限りませんが)。  大手ハウスメーカー(Mホーム)の省令準耐火構造の建物だからといって、決して安心だとは言えません!

以上



 
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