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KJSレポート95-1 型式適合認定建物の構造金物にNC釘を使用(大手ハウスメーカーMホーム) No.95-1 - 2019/08/30

 一般に建物の建築では、要所に基準法に基づき緊結金物、引き寄せ金物、梁受け金物など構造上(耐震上)重要な金物が多用されています。これらの建築金物は、例えばボルトとナット、あるいは筋交い端部の箱金物と専用ビスというようにセットで検証され、その結果をもって大臣等の認定を受けた金物です。
 他方、型式適合認定建物は、建築材料又は主要構造部、建築設備等について、当該建築材料又は建築物の部分の構造上の基準その他の技術基準に関する政令で定める一連の規定に適合するものとして国土交通大臣の認定を受けた建物という意味です。また、同建物の場合、建築確認申請の審査が簡略化される。あるいは、建築士である工事監理者が設計図書の通りに施工された事を確認した場合には、検査において認証に係る型式との照合が省略される等の特例があります。ただし、認証を受けた製造者は、その認証に係る型式通りに製造・新築する「型式適合義務」を負うとされています。したがって、当該認定建物の構造金物について言えば、前記同様にその性能が検証・認証された金物であること、及び適切に設置されていることが必要です。

 Mホーム㈱のパネル工法の建物(型式適合認定建物)でも、要所に構造用金物(鋼板ガセット)が設置されており、この金物にはNZ45という釘をセットで使用しないと設計上期待された性能は確保されません。
 ところが、同社の建物では1棟の建築検査において31箇所構造金物(鋼板ガセット)の全てにNC釘(造作用小径釘)が使用されていたことが判明。

NZ50釘とNC50釘(現場採取)との比較写真(PDF)

 皆さんは、建築途中の壁パネル枠と床パネル枠との緊結部分、またはバルコニー部分等で、以下のような鋼板ガセット帯金物が設置されているのを見かけたことはありませんか?

これらの金物は、当然、構造上補強の必要がある箇所に設置するものです。それにも拘わらず、合計31箇所/1棟の構造金物(鋼板ガセット)の全てにNC釘(造作用小径釘)が使用されていました。このように品質の不明な小径釘を構造金物に使用した場合、型式建物の認定条件に適合していないばかりか、現実的に固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力等に対し脆弱な建物となってしまいます。

ちなみに、Mホームでは床・壁・屋根の各パネルが組み上がった工程で、各パネル同士の緊結金物等について、別の担当者が特段に金物チェックを行っており、本件のような問題は発生しないはずのものですが、それでも問題が発生するのは、建築士である工事監理者が設計図書の通りに施工された事を確認していない、あるいは構造金物に関する知識がない無い証拠です。すなわち認証に係る「型式」に適合していない建築物と言えるでしょう。同社はこれまでも同様の施工不備のある建物を相当数建築してきたのではないかと思われますが、大手ハウスメーカー(Mホーム)の型式適合認定建物だからといって、決して安心だとは言えません!

以上



 
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