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KJSレポート

 


 
KJSレポート91 No.91 - 2019/1/10

 今回のレポートでは、住宅耐震改修工事の瑕疵検査で発覚したホルムアルデヒド無等級合板の使用及び構造用合板外(コンクリート型枠用合板、普通合板)の使用等についてレポートします。
 まず、シックハウス対策として建築基準法(28条の2)ないし、同施行令(20条の5~9)で詳細に規定(規制)されており、第1種ホルムアルデヒド発散建築材料(木質建材料合板)は屋内での使用が「禁止」されています。(リフォーム工事についてもH15/7/1以降同様)

(1) ところが、S建設が行った耐震改修工事(リフォーム工事)では内装材として壁面にホルムアルデヒド無等級合板を大半に使用していることが発覚しました。(※調査箇所のうちホルムアルデヒド発散等級F4・F3も2~3割程度含まれる)。それぞれの合板には品質・種類・等級等の刻印があります。しかし、これは合板を撤去しなければ分からなかったことですが、それぞれ刻印のある側を全て壁内側(裏面)に向けて設置(隠蔽)していたのです。すなわち、これらの合板は「屋内には使えない、又は使用制限がある」ことを十分認識していた証拠といえるでしょう。

(2) 次に、耐震改修工事として使用する合板は構造用合板である必要があります。ところが、ランダムに38か所以上の合板を撤去した結果、調査個所の全てにコンクリート型枠用合板普通合板等を使用しており、構造用合板は1個所も(1枚も)使用されていないことが分かりました。それも、強度・品質・メーカーなどバラバラの6種類以上の合板を寄せ集めで使用していたのです。

(3) さらに驚愕なのは、本件建物の場合、合板の留め付けはCN65(65㎜長さ)の釘を使用すべきところ、その全部が小径のステンレス釘(長さ50㎜)や、長さ:32㎜及び42㎜の短い半ねじビス(いずれも性能不明)で留め付けていることが判明しています。しかも、釘・ビスの留め付け間隔は既定の100㎜を優に超えるどころか300㎜を超える列さえある始末です。

(4) 耐震改修工事では、合板を留め付ける受材や間柱は、N75のJIS規格の釘により所定の間隔で止付けることが規定されているのですが、これも、あろうことか65㎜や75㎜のコーススレッドでしか留め付けられておらず、N75の釘など1本も見当たらないうえ、留め付け間隔も真面なところは1箇所もありません。

(5) 耐震改修工事では、面材合板は横架材・柱・間柱に留め付ける必要があることから、合板同士の縦継ぎ目部分には柱・間柱・胴つなぎ等の受材が必要です。ところが、あろうことか下地が何もないところで十数列継いでいるなど、期待される耐震性は殆ど確保できません。

(6) 上記の(1)~(5)の事柄は、耐震補強工事の不備としていずれも決定打ですが、さらなる決定打は、耐震壁の片方の端部に柱がないことです(間柱・受材程度のものは存在している)。これも合板を撤去しなければ分からないように隠蔽されている!

≪悪質にも限度があるのではないでしょうか?S建設さん!≫
 S建設が極めて悪質なのは、上記の(1)~(6)のようなデタラメな手抜き工事をしているにも拘わらず『耐震計算をした結果は問題がない』、あるいは『契約通りの補強はできている』などと、素人の施主を誤魔化そうとしてきたことです。耐震改修補強工事は、いざというときに人の生命・財産を守るために行うものです。それを知っていながら故意に行う手抜き工事は犯罪に近いのではないでしょうか。大きな建物(延床面積80坪超)の耐震改修リフォーム工事のさらなるやり替え工事は全てが膨大です。
 大手ハウスメーカーのグループ会社がそのネームバリューによって、これまでも相当数の建築やリフォームをしてきたものと思われますが、本件は果たして当該建物だけと言えるのでしょうか? 数あるなかの1棟がたまたま発覚しただけにすぎないのかも知れません。虎の威を借る狐の正体を社会がどう見るのか当事務所としても社会に問うてみたいと思います。


◆耐震改修工事をしたつもりが、実際は耐震性が殆ど向上していなかったということ。また、シックハウス症候群に関する健康被害は形として目に見えないため、原因が分かり難いのかもしれませんが、“もしかして”と思われる方は当事務所にお問合せ下さい。特に九州地区、かつ、耐震改修リフォーム工事等を行った建物で同社と利害関係のある消費者の方からのお問い合わせがありましたらS建設の社名や当該下請け会社などの情報提供をします。(電話番号記載のうえメールでお問合せ下さい。利害関係者であることを確認させて頂いたうえで情報提供をします)
※本件の情報提供の目的はあくまでも人命尊重の為でありその他の目的は一切ありません。

KJS山﨑


 
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