KJSレポート90 下水道法を知らない建築会社と建築士 |
No.90 - 2018/12/03 |
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今回のレポートでは、瑕疵検査で指摘をしていた宅内の雨水桝の泥ため深さ(下水道法)についてレポートします。
まず、下水道法は建築基準法施行令により建築基準法関係規定の一つです。次に、下水道法ないし同施行令では、雨水桝について、「ますの底には、もっぱら雨水を排除すべきますにあっては深さが15㎝以上の泥ためを、(後段略)」と規定しています。
下水道法では、「下水とは生活・事業に付随する廃水又は雨水のことをいい、下水道とは排水管・排水施設・処理施設等の総体をいう。」とされています。したがって宅内の雨水桝(集水桝)の施工基準は下水道法の適用範疇です。なお、社)日本下水道協会:下水道排水設備指針及び各市町の下水道排水設備技術基準等にも同様の基準が規定されているところです。
これに対し、雨水桝の泥ため深さが15㎝を著しく下回る施工がなされていたためハウスメーカーに指摘をしていたところ、『同市では雨水と汚水は分流式であり、雨水枡を経由した雨水は下水道に排水されるものではないため下水道法の適用はない。』すなわち、15㎝以上の泥たまりの規定は下水道法に該当しないと主張(反論)してきました。
雨水枡は、通常宅内に降った雨を集水して排水するという役割があります(したがって集水桝とも言う)。そのため、雨と一緒に流れ込んだ周囲の泥が桝底に溜まり、さらに一定の高さを超えると横配管に溜まり(詰まり)、排水に支障をきたす場合があります。下水道法の施工規定(15㎝以上の泥ため深さ)は、これを回避ないし予防する目的で規定されているものです。同社や同社の建築士は、この規定の趣旨を理解できないのか、誤解しているのか、あるいは知っていながら誤魔化そうとしているのか分かりませんが、宅内雨水桝の施工規定に分流式か合流式かによる違いは存在しません。
≪参考≫
「合流式下水道」は、汚水も雨水も一緒に下水処理場まで送る方式の下水道です。合流式下水道の場合、汚濁物を含んだ雨水も処理場で処理されますが、大量の雨が降ると、汚水の一部が未処理のまま河川等に放流されてしまいます。これに対し、「分流式下水道」とは、汚水用管路と雨水用管路の2つを埋設し、汚水は下水処理場へ、雨水は川や海に直接放流する方式のことです。
※このハウスメーカーは誤った主張を強硬にしていることから、これまでにも同じ施工不備を繰り返してきたものと推測されます。先般、同社の代表者は住宅ローン不正問題が発覚した際に、コンプライアンスの徹底、再発防止を述べていましたが、同様に下水道法に関する施工不備についても再発防止を期待したいものです。
KJS山﨑
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