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KJSレポート87 「長期優良住宅と長期不良住宅!?」 No.87 - 2018/04/27

昨今、長期優良住宅の戸建住宅が増えていますが、基礎に重大な欠陥のある長期優良住宅?の例を紹介します。

≪建築物の概要≫

木造軸組工法 2階建て、延床面積約35坪 ベタ基礎 築後1年 

≪主な欠陥と事象≫

1. 基礎外周の大半に及ぶ横主筋部分の亀裂
 2. 基礎立上りのアンカーボルトの両側に入った縦亀裂(基礎内外部に貫通した亀裂/複数箇所)
 3. 基礎外周部の大半にわたる著しい被り厚不足

≪現況写真≫

(基礎の立ち上がりを床下より撮影)

1)横主筋に沿った亀裂(かぶり厚不足、鉄筋と型枠との“あき”の不足)、アンカーボルトの両側に入った縦亀裂
2)横主筋の亀裂と著しいかぶり厚不足
(かぶり厚:16㎜)

3)基礎外部より散水調査を行った際に、基礎内側に水が染み出した状態(貫通亀裂であることの証明)

≪問題点≫

アンカーボルトの引抜き耐力の不足
 基礎の構造安全性の欠陥
 基礎耐久性の欠如等

≪瑕疵の原因≫

基礎工事業者の杜撰な施工(手抜き工事)
 建築士の工事監理ミス(工事監理者の不在)

≪瑕疵判断の根拠≫

基準法施行令第38条(基礎)、同79条(鉄筋のかぶり厚)
 日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説(JASS5)
 設計図書(基礎断面詳細図)
 品確法、同施行令第5条、他

建築会社は、基礎の主筋に沿った長い付着割裂やアンカーボルトの両側に存在する複数の亀裂について「防水補修をしているから問題ない」などと論点をすり替えているのですが、アンカーボルト部分の引抜き耐力や鉄筋に沿った付着割裂の問題、さらに構造安全性の観点から問題ないことの数値的根拠が示せるはずがありません。すなわち、本件基礎の構造安全性ならびに耐久性を抜本的に回復することはできません。同社は、近年「長期優良住宅」を売りに大々的にコマーシャルをしていますが、これらの状態で長期に優良な住宅「長期優良住宅」などと言えるのでしょうか。むしろ、永久に不良な住宅「長期不良住宅」というべきではないでしょうか?

≪コメント≫
◆もし、あなたが建物建築の契約をする場合、本件のように、基礎に重大な欠陥のある建物を注文しますか?もし、本件のような建物を引き渡された場合、35年の住宅ローンを支払っていくことに躊躇はありませんか?
◆長期優良住宅とは設計段階(申請段階)における適合認定制度です。したがって、完成した建物に本件のような瑕疵があっても不適合となるわけではありません。あくまでも建築会社や建築士の責任です。

 
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