これが建築業界の驚きの実態-Ⅱ
今回のレポートでは、建物の建築においてA 建築会社、B 建築士が行った典型的な基礎の欠陥(手抜き工事)と悪質な誤魔化し工作の手口を紹介します。
本件建物の基礎は、地盤調査の結果に基づきベタ基礎で設計されており床スラブ耐圧盤の配筋間隔はD13の異形棒鋼(異型鉄筋)で150㎜間隔の格子状で設計されていました。
ところが、A社の現場監督(B建築士)は「設計ではそうなっていても経費が掛かるから同じD13の鉄筋であれば200㎜間隔で良い」と下請け基礎業者に指示をしていたのです。当然の如く、確認検査機関(瑕疵担保保証保険会社)の配筋検査において「このままでは瑕疵保険の対象とすることができないので150㎜間隔に組みなおしてその写真を提出して下さい」と改善の要求をされていたのです。それにも拘らず、その現場監督(B建築士)は「保険会社には他の現場の写真を提出するからやり替えはしなくてよい」と、下請け基礎業者に無視するよう指示をし、故意にやり替えをしなかった(させなかった)のです。そのうえ、他所の旧現場写真(配筋150㎜間隔)を保険会社に提出して検査をパスさせるという誤魔化しの工作をしていたのです。
ベタ基礎床スラブの配筋写真(戸建住宅)
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イメージ写真1
◈配筋の縦横間隔D13-200㎜
◈建築基準法(設計図書)を無視した配筋
◈地盤の地耐力に反した配筋間隔
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イメージ写真2
◈基礎設計における本来の配筋間隔D13-150㎜
◈上段写真の現場の配筋やり替え後の写真として保険会社に提出された他所の現場の配筋写真。
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現況写真1
◈既存建物(床下)の基礎スラブの配筋検査状況(上段、イメージ写真1のとおりの鉄筋探査の結果となっている。)
◈配筋の縦横間隔D13-200㎜
◈建物の瑕疵検査において、少なくとも基礎の配筋検査は基本中の基本です。特に配筋の状態(間隔)は容易に判ります。
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経費を浮かせるために、かつ、やり替えをしないで済むように姑息な悪知恵を働かせたのでしょうが、それがどのような重大な結果を招くのかが分からないのでしょうか。それにしても150㎜間隔で配筋すべきところを200㎜間隔で配筋したからといってどれだけの利益になるというのでしょう。恐らく「ばれることはない」とでも高をくくっていたのでしょう。
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本件は、如何に建築会社や建築士の責任範疇とはいえ、保証会社等の検査体制の甘さも問題ではないかと思われますが、そもそも、設計では建築士が建築基準法や瑕疵担保設計施工基準等に則し工学的判断のうえ150㎜間隔での配筋を指示しているのです。そして、この仕様で建築主と請負契約を交わしているのですから、瑕疵・欠陥・施主に対する背信行為であることに違いありません。(ちなみに、建築主はこのようか不法行為がなされていることを全く気付いていませんでした)。それにしても建築主どころか瑕疵保険会社までをも欺くなど悪質極まりないことですが、これらの行為が未だになされていることに改めて驚かされます。
A社やB建築士は問題が絶対に発覚しないことを前提にしていたようですが、実際に手抜き工事による基礎の亀裂や地盤沈下等が発生した場合どのようなことのなるのか。
そもそも、瑕疵保険会社から指摘を受けた際にやり替えをしておけば、生コンを打設する前の時点なのですから数十万円の出費で済んでいたはずの事です。ところが、このような問題(瑕疵)が発覚する場合、入居後のケースが殆んどですから、事後の損害賠償は数百万円では足りず数千万円にも及ぶでしょう。A社の信用失墜はともかくとして、本件のような場合、係争になることは必至と思われますが、故意に行った不法行為(手抜き工事と隠蔽工作)なのですから、事象の有無を問わず保証会社が補償するとは限りません。また小さな工務店ならば倒産や計画倒産の可能性も考えられます。そこで一番困るのはやはり建築主や購入者なのです。
ちなみに、下請けの基礎工事業者もその事情を知っていながら行った工事であれば、その不法行為責任を免れないでしょう。
≪コメント≫
私のこれまでの経験値から、建物の欠陥や手抜き工事がある場合は、ある時期になると建物自体がサインを出しているケースがあります。例えば基礎や外壁の亀裂の入り方、設備関係の不具合、漏水、カビ・結露等々。まさに「蟻の一穴」という言葉が当てはまる事例が多いのです。
さらには建築会社が不具合の手直しをしてくれない、又は何回手直しに来ても改善されない。あるいは質問をしても専門用語を駆使して簡単に誤魔化されてしまう。そこで改めて正式な調査をしてみるととんでもない瑕疵や手抜き工事が潜んでいたことも少なくありません。
第三者の建築士による工事監理や建築検査については、一定の費用がかかることから、もったいない。あるいは自分達だけはそんなことはない。と考えている方も多いと思われますが、瑕疵担保保険は決して瑕疵や欠陥の無いことを保証するものではありません。数々の欠陥住宅の事例から、今の時代に大切な不動産購入や建物を建築する際には、第三者検査・監理など、転ばぬ先の杖として自分たちを守る術が必要なのではないでしょうか。
以上、KJS
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