HOME サポート概要 検査・診断 KSJレポート一覧 事務所案内 料金一覧 リンク

<<レポート一覧へ


KJSレポート

 


 
KJSレポート82 住宅の外張り断熱工法における盲点と隠れた瑕疵! No.82 - 2015/7/14

今般、外張り断熱工法の住宅が多く普及し建築されています。ところが、外張り断熱工法のような住宅(外張り断熱工法モドキ住宅)が水面下で建築されていることを皆さんはご存知ですか?

外張り断熱工法はその工法や仕組みを理解したうえで適切に建築すれば、内断熱と同等若しくはそれ以上に快適な住宅になるものと思います。ところが、設計者や監理者等がこれらの工法や仕組み(断熱・防湿・通気・結露等)を理解していない場合、あるいは知識があっても適切な工事監理或いは適切な施工をしていない(手抜き工事を含む)場合など、建物の構造耐力上主要な部分(柱・小屋組・土台など)に腐朽をもたらすなど重大な結果を招くことがあります。

皆さんは、多量の茶色い錆び汁が屋根裏(断熱ボード表面)から2階の壁内へ、2階の壁内から1階の壁内へ流れ、そして、これが建物外周の壁内全般にダラダラと流れている状態が想像できますか?さらにその錆び汁が部分的に基礎部や基礎内まで達している状態を想像できますか?

このような場合、新築後、数年もすれば一定の事象が顕在化してくるのですが、厄介なことに住宅瑕疵担保期間の10年を過ぎるか過ぎないかの頃に決定打的な状態に進行した状態(著しい耐久性能の低下や資産価値の減損した状態)になって発見される可能性が高いものと思われます。

これらは、適切な設計・施工がなされていれば通常では有り得ないことなのですが、適切な設計施工をしていなかったことによって実際に柱・小屋組・土台などに腐朽が生じていれば無論のこと、一定の事象や近いうちに木材が腐朽する施工状態であることが確認される場合は、建築物にとって社会通念上最低限必要とされる性能(耐久性能等)が欠如した状態にあるのですから、当然瑕疵(欠陥)であることには違いありません。

本件の住宅の外張り断熱工法における盲点と隠れた瑕疵として指摘している「極めて激しい結露」の問題については、確かな確証(検証)をもとに発信しています。上記のとおり、業界のプロや素人の方を問わず誰もが驚愕するほどの状態が確認されています。現実問題として躯体の一部(土台、小屋組、屋根・外壁の下地材等)が、これらの状態で数十年も持ち堪えることが可能か不可能か容易に判断できるのではないだろうか。

決して外張り断熱工法が悪いと言っているのではありません。また、全ての外張り断熱工法住宅がこうだというのではありませんし、同工法で建築している全ての建築会社の建物がこうだという訳ではありません。あくまでも建築士(設計者)や監理者等がこれらの工法に知識不足、或いは適切な施工をしていなかった(手抜き工事を含む)場合等です。

外張り断熱工法を売り文句にしている建築会社であっても建築水準の著しく低い建築会社や瑕疵に対する意識の低い建築会社はどこにでも存在しています。ちなみに、これまでのその建築会社の施工実績や引き渡し棟数にはあまり関係がないようです。

これから建築や購入をされる皆さんは、外張り断熱工法の住宅において建築会社と利害関係の無い第三者的かつ一定の知見のある建築士に、適切な施工と不適切な施工にどれだけの違いがあるのか、何を・何処をどうしなかったらどのような事(結果)になるのか率直なアドバイスをしてもらうなど、安心と納得の家造り(建築や購入)を心がけてほしいと思います。

KJS

 
KJSレポート81 欠陥住宅建築シリーズ (K住宅、Yホーム、Y工務店、P社、他) No.81 - 2015/2/4

皆さんは、この平成の時代に建築基準法どころか建築の基本すら知らない建築会社や工務店が存在し堂々と営業していることをご存知ですか?また、建築士法の規定すら知らない意識の低い一級建築士が実際にいることをご存知ですか?

今般、建物(住宅)の基礎設計の基本や基準を無視し、或いは躯体の基本構造について最低の建築基準法さえ充たさないデタラメなことをしていた.という新築建物が発覚しています。よって、数社の建物において、建物が完成したものの、或いは完成間近、さらには建築途中で建て替えを余儀なくされたというという事案(欠陥住宅)が発生しています。酷い建築会社や建築士モドキがいるものです。

これらの事案(欠陥住宅)は、民間確認検査機関が建築確認を行った際に単純な規定を確認していなかった(見落としていた)ことに加え、瑕疵担保保険保証会社も瑕疵保険の設計施工基準で曖昧にしているため現場検査時に見落としていた、或いはチェックしていなかったというものです。

本件について両社に指摘をすると、民間確認検査機関であれ、瑕疵担保保険保証会社であれ、基準法に抵触しているか否かを確認する必要はなく、「本件は、当然当該建築士が確認をしておくべきことである」などと建築基準法7条の5の特例を盾に取って知らん振りを決め込む。これが、現在の*確認検査機関や瑕疵保険会社の実態です。

ところで、建築士法第24条の7では、建築士は設計等の依頼者に対し監理建築士等をして重要事項説明によって設計や工事内容等の内容を事前に説明しなければならない。また、士法第24条の8では、その書面を依頼者に対し遅滞なく交付しなければならない。さらに、士法第20条の3では、工事監理契約をした場合、当該建築士は工事監理報告書を工事が竣工し次第、直ちに建築主(依頼者)へ提出しなければならない。と規定している。
他方、建築主には建築基準法第5条の4の4で、一定の建築物を建築する場合は建築士を定め工事監理をさせなければ建築をしてはならない旨を規定している。つまり、建築主側にも建築士である工事監理者を選任すべき責任を負わせているのです。

現実的には、建築主に知り合いの建築士がいるとは限らないため、建築会社に従属している建築士に委任しているケース、或いは、建築会社から所属の建築士に半強制的に委任させられるといったことがあるようです。
建築主においては、建築主が建築士(設計士)を選任すべきことを知らない。或いは、特にこの件に関してその重要性を認識していない方が多いため「建築会社の建築士や建築会社のいう設計事務所に任せておけばよいだろう」という人も多いものと思われます。

しかし、後を絶たない諸問題を回避するために建築士法が改正され、設計等の業務とはどのような業務を行うのか、設計図は誰がどのような図面をどれだけ作成するのか、工事監理は誰がどのような形態(方法)でどのように行うのか、設計や監理の再委託をする場合、どこの誰(有資格者)にどのようなことを再委託するのかなど、建築士法第24条の7ないし8で説明すべきことや、書面にすべきことが規定されています。

ところが、現実的には建築会社(建築士等)によって曖昧にされているケースや実行されていないケースがあるのです。これらは脱法行為であることは無論のこと、監督処分や罰則規定の対象になることなのですが、未だに厳守されていないケースが多々見受けられます。

そこで皆さんにお伝えしたいのは、これらの脱法行為が、取りも直さず建築契約のトラブルや欠陥住宅の温床になっていることです。

このような脱法行為を行っているもの等は、当然、監督処分や罰則規定の対象になることは承知して行っているのですから、巧妙な誤魔化し形態を取っているケースが殆んどなので注意が必要です。

特に、建築基準法や建築士法上の規定をご存じではない方がこれらを見破れるはずもなく、そもそも、疑うことさえないでしょう。残念なことではありますが、建築士法も数年前に見直しが行われ、それぞれ厳しくはなっているものの、相変わらずイタチごっこが繰り返されていることも確かなようです。

〔補足〕

冒頭で、「建築士法の規定すら知らない意識の低い一級建築士がいる」と述べていますが、必ずしも「知らない」ではなく、「知らない振りをする建築士がいる」と言い替えてもいいでしょう。但し、「知らない振りをする建築士(本当のことを言わない建築士或いは嘘や誤魔化しを言う建築士)」は、消費者(建築主)にとっては、ただの建築会社の従業員であり、建築士としての職責を放棄しているのと同じことです。これらの建築士は「建築士」という資格を持っているがゆえに逆に始末に負えません!

ちなみに、稀に誠実或いは優秀な一級建築士や二級建築士がいることも確かです。しかし、実際に設計ミスや施工ミスなどのトラブル等が発生した際に、建築会社側の建築士で、公平中立的な立場で或いは建築主側の立場になって誠実な対応をした建築士は、現在のところ殆どいません。それが何故なのかは言うまでもないと思います。

episode

ところが、ある建築会社の社員であった建築士で、建築の施工不備について第三者(当事務所)において指摘を受け、今までのやり方が瑕疵に該当する施工不備であることを認識した建築士が、自身が勤務する建築会社の社長(建築士事務所の開設者)に今後改善することを断固として進言した建築士がいました。
しかし、受け入れてもらえず口論の末、首を言い渡されたというエピソードを持つO建築士がいることも確かです。(無論、経営者である社長はそれを認めると過去に建築してきた建物に遡及する欠陥であることを認めたことになる〔公になる恐れがある〕のですから簡単に認めるはずが有りません。)

他にも、ある建築士は、建築士としてのコンプライアンス上、瑕疵を知っていながら知らん振りをして、さらに今のまま(施工不備のまま)続けていこうとする自社(社長)の方針に嫌気がさして英断をしたという実例が有ります。つまり、彼の場合はO建築士と違って会社に何も進言しない代わりに辞職と言う形をとったのです。

これらの実話にタイトルを付けるとすれば、“真の建築士と腐ったりんご(経営者)”と言うことにでもなるのでしょうか。

以上、KJS


 
Copyright (c) 2006 KJS 九州住宅検査システム All rights reserved.(許可なく転載を禁じます