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KJSレポート

 


 
欠陥住宅と建築会社の有り得ない言い分
No.71 - 2012/10/29

「行政の厳格な検査(中間検査と完了検査)を受けているから瑕疵も欠陥もない!」
「性能保証住宅登録機構が登録した建物については、欠陥の無いことを保証した建物であるから欠陥はない」

これがS建築会社と建築士の主張です。このような言い分がまかりとおるのか、以下にその現況(実態)を紹介しますので、皆さんもご自身で判断してみてください。

< 建物概要 >

木造軸組み工法、2階建て、専用住宅

ベタ基礎、外壁:ラスモルタル塗り壁

延床面積:126.10 m2

公庫融資付住宅、高耐久性能木造住宅、住宅性能保証住宅

< 瑕疵検査の結果 >

≪基礎関係≫

@基礎コンクリートの立ち上がり部に主筋(上端筋)に沿った著しい横亀裂が認められる(約4〜5m程度)。いわゆる被り厚不足によって鉄筋の錆などによる基礎コンクリートの爆裂の原因になる。

A換気口の位置が設計図と違っているため、土台と大引き材との仕口部の位置が換気口上部の真ん中に位置しており、床組の弱点部となっている。

≪床組関係≫

@100mm径の排水管(VUパイプ)のL字部分を配管するために、105mm角の土台木をすっぽりと欠き込んで配管しており、土台木の断面欠損というより土台木の切断に近い。明らかに床組構造耐力上の欠点になっている。
(床組構造材の欠き込み箇所10箇所)

A土台火打材の未設置箇所の存在と設置不良(5箇所)

B土台木と大引材の仕口の施工不備(3箇所)

C床根太の釘打ち不備(各階全般)

≪軸組関係≫

@構造耐力上の施工不備による存在壁量の不足

(ア)筋交い上下端部の緊結金物自体(所要金物の種類等)の不備

  • 耐力壁は壁倍率を全て2.0倍として設計(計算)していながら、実際はその殆んどの箇所に壁倍率が1.5倍用の金物を設置しており、壁量計算との整合性が取れて いない。すなわち、存在壁量が足りていない。
  • 筋交い材をたすき掛けとした一つの耐力壁において、壁倍率1.5倍のBP金物を取り付けた筋交いと、壁倍率2倍(BP-2同等品)の金物を取り付けた筋交いが混在している。
  • 一つの筋交い材に対し上端部を1.5倍金物とし、その下端部は2.0倍金物を設置している。
  • あるところの筋交いの下端は1.5倍金物とし、上端は未設置としている。
  • 設置している2倍金物についても横架材側に設置すべき太長の釘を筋交い側に打っているなど、専用リングネイル釘(RN釘)の設置方法自体に誤りがある。結果、筋交い材自体に著しい木割れが生じている。また、釘頭の切断や釘打ち本数の不足などの施工不備が認められる。
  • 本件建物の筋交い上下端部の金物は合計84箇所設置されているはずであるが、そのうち46箇所を確認した。そのうち14箇所が未設置、4箇所に壁倍率2倍金物を設置、他の28箇所は全て1.5倍金物を設置している。
右の写真は中段写真の青矢印の2倍金物の背面を撮影している。筋交い側には4/7本、下端はほぞ穴が存在しており2/4本しか釘を打っていない(打てない)。
青矢印2倍金物
赤矢印1.5倍金物

(イ)筋交い端部の緊結金物の釘種の不備

  • 壁倍率1.5倍用のBP金物について、この金物に使用する釘は、太目釘ZN65(65o長さの太目釘)のを使用しなければならない。ところが、その全部の金物にN45(45o長さの小さな鉄丸釘)が使用されている。(右写真参照)

(ウ)筋交い上下端部の緊結金物の釘打ち本数の不足

(エ)筋交い上下端部の緊結金物の未設置箇所の存在(筋交い9本分)

青矢印 ZN65の太め釘
赤矢印N45の釘(現場にて採取したもの)
※横並びの写真は同じ筋交いの反対側より撮影
いずれも筋交い端部の金物が設置されておらず、柱頭金物も設置されていない。また、黄矢印部には継手があり、補強金物もない。(建築基準法施行令第47条1項違反)
上記までの結果、本件建物の軸組には有効な耐力壁が無いに等しく、壁量計算ができない。

A構造金物に関する施工不備

(ア)柱と横架材(梁・桁・胴差・土台木等)との緊結不良

  • 柱頭柱脚金物(かど金物等)の設置が所要箇所の半数にも満たない。
    (建物外周部以外の柱の柱頭柱脚部には全く金物が設置されていない)
  • 隅柱の柱頭や柱脚にも緊結金物が設置されていない箇所がある。(複数箇所)
上の2枚の写真は同じ隅柱の柱頭;緊結金物が設置されていない。

(イ)柱頭柱脚金物(かど金物)の設置方法の不備と釘打ち不足等

  • 当該かど金物を羽子板ボルトの座金やナットの上、或いは、くら金物に重ねて設置しており、釘自体が打てない状態で設置されている。
  • 部位によってはかど金物を柱に施された座彫り穴に設置し、釘を打っていない。或いは、その座彫り穴に釘を空打ちしている。
  • かど金物を設置する際は、横架材と柱の仕口の線に、横架材側.の釘穴と柱側の釘穴との最短の釘穴間の1/2の線を合わせて設置すべきところ、確認した範囲の全般に、この規定を無視して設置している。

(ウ)柱頭柱脚金物(かど金物)の釘種の不備

  • 前記@の(イ)に同じ

B胴差、桁材の継手金物の未設置

(ア)確認ができた箇所の全部(16箇所)において継手補強等がなされていない。

(イ)胴差、桁の継手位置の不備と金物の補強不足(全部)

  • 胴差.桁の継手は、はり及び筋交いを受ける柱間を避けるべきところ、桁の継ぎ手部が筋交いの設置された間柱間に存在しており、何らの補強等もなされていない。(2箇所)

(ウ)羽子板ボルトの座金・ナットの未設置(1箇所)

黄矢印部には筋交いと火打ち梁、赤矢印部には桁の継手があり補強をしていない。
≪小屋組関係≫

@小屋束(束柱)端部の短ほぞ(凸部)の切断(3箇所)

  • かすがいを設置しているにしても、ほぞの省略は許されない。 右写真→

A小屋束の上下端部の金物設置不備 (全体の3割程度)

B母屋木・隅木・谷木の継手補強金物の未設置(全箇所)

C屋根垂木材の施工不備と釘打ち不足 (全般)

D垂木と横架材の緊結不良

(ア)桁部のくら金物の釘打ち不足(全般)

(イ)くら金物等の釘種の不備(全般)

小屋束:束柱の下端部にスケールを差し込み、貫通している状態
 
 桁部のくら金物:設置方法の不備と釘打ち不備
 
 くら金物:前記の筋交い金物や柱頭柱脚金物と同じN45の釘
  • 本件建物の小屋組におけるくら金物の設置については、ZN40(40mm長さの太目釘)を規定本数設置すべきところ、全てにおいてN45(45mm長さの小さな釘)が使用されている。

E屋根野地板の施工不備;公庫の技術基準では「挽板野地板の継手は、板の上り約10枚ごとに乱継ぎとし、継手は垂木心で突き付けとする」としている。これは、同一列の継手とした場合に、その部分が小屋組にける弱点や欠陥部になることを回避するためである。
しかし、本件建物の各階の小屋組においては、全般に同一列の継手として施工されている。

コメント-1

上記までに掲げている施工不備はすべて建築基準法施行令45条3項・同施行令46条1項、4項・同施行令47条1項等の違反や設計図書(公庫仕様書)等に不適合であり、請負契約にも違反している。従って、基礎・床組・軸組・小屋組など構造耐力上の欠陥により、本件の建物は耐震性など基本的な安全性に乏しい建物である。

≪断熱構造・施工関係≫

@グラスウール断熱材の施工不良

(ア)各階外壁部の断熱欠損(全般)

(イ)各部要所と各階天井裏の断熱材施工不備(各部全般)

(ウ)断熱構造上の施工不備

Aポリスチレンフォーム断熱材(押出し成形板)の施工不良(床部)

(ア)最下床下断熱材の仕様不備(厚み選定ミス)(全般)

(イ)施工不良による断熱欠損(各部全般)

  • 断熱材と床根太との過大な隙間
  • 受け材の未設置箇所においてずり下がりや脱落
  • 断熱材自体の未設置箇所の存在
  • 外壁部、間仕切り壁と床との取り合い部等の過大な隙間
コメント-2

上記の結果より、本件建物は断熱材の施工不備により、本来あるべき性能が確保されていない。すなわち温熱効率の著しい減損を招いており、結露やカビの発生など衛生上、かつ、建物の耐久性能上にも問題がある。

尚、上記迄に指摘を行っている項目以外に、指摘事項(施工不備)は設備工事などその他にも多数存在するが掲載を略している。

以上

(総括省略)

コメント-3 (所感)

本件建物は、旧(財)性能保証住宅登録機構が住宅の性能を保証するものとして登録された住宅であり、同機構が定める設計・施工基準に基づき建設されていた住宅である。しかし、あくまでも同機構が定める設計・施工基準に基づき建設され、その登録住宅の性能を保証するとしていたものであり、その建物自体に瑕疵や欠陥がないことを保証するものとの規定はどこにも存在していない。

これまでに旧(財)性能保証住宅登録機構が性能保証をしていた住宅であれ、(財)住宅保証機構(現、住宅保証機構株式会社)の保証を利用していた建物であったとしても、また公庫仕様の住宅につき行政等の検査を受けた建物であったとしても瑕疵の存在、いわゆる欠陥住宅に関し、係争に至っている事例が相当数にある。ゆえに、改めて「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が平成19年に制定された経緯があり、まさに瑕疵や欠陥住宅の存在を否定するものではない。

本件建物は、前記本文で指摘するとおり、最低の技術基準である建築基準法に定める基準でさえ満たしていない重大な瑕疵(欠陥)が現実に存在している。過去に大きな災害等が発生していなかったことが幸いと言えるほどの住宅(建築物)を引き渡していたにも係らず、「性能保証住宅登録機構が登録した建物(検査を受けた建物)については欠陥の無いことを保証した建物であるから欠陥はない」等との主張(反論)は、建築に知識のない消費者(建築主)を翻弄させるための作為的な方便、または建築会社や当該建築士等の著しい認識不足というほかにない。

≪建築士の工事監理責任について≫

本件建物の瑕疵として指摘している事柄は、いずれも建築に係る基本的かつ初歩的な事柄である。例え、専従の大工職人等に知識不足等があったにせよ、当該建築士が工事監理者としてその職責を適切に果たしていたならば、本件建物の重大な瑕疵は発生し得なかったはずのものであるが、実際には建築士としての職責(善管注意義務)を果たしていなかったからこそ瑕疵のある住宅を現存させたものと言わざるを得ない。

ちなみに、平成7年に発生した阪神淡路大震災の時に倒壊に至った多くの木造家屋は、柱と横架材との留め付け不良、及び、筋交いが不足していたことや筋交い端部の留め付け等が適切になされていなかったことが原因として指摘されている。それにも係らず、同社は上記に指摘するような耐震性の無い危険な住宅を建築していたことになるが、同社及び当該建築士の災害発生時など人の生命・健康・財産に対する意識の程度を疑わざるを得ない。

建築施工会社並びに当該建築士においては、本件建物の重大な瑕疵に対し責任の重さを充分に認識してもらいたい。また、建築主にとって、住まい造りは一生に一度の大きな買い物であることを再認識すべきである。

最後に
この建物を建築したS建築会社は、これまでも上記のような構造耐力上に基本的な安全性能の欠如した建物を相当数に建築していたことが明らかであり、また、現在も県内外において受注しています。当KJSとしては、欠陥の程度が著しいこと、かつ、相当数に及んでいることなどを鑑み、当該S建築会社と利害関係のあると認められる方からのお問い合わせがあれば一定の情報の提供を致します。

 


 
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