先般、KJSレポート59-2で掲載しておりましたとおり、当事務所より日本塗料商業組合宛に意見書を出しておりました。ついては、その返答の書面が本年10月5日付けで当事務所に届いておりましたので、その内容の一部をご紹介します。
その書面の冒頭には、『当組合は、中小企業者である塗料販売業を営む業界全体の改善発展を図ることを目的として設立されている』という設立の目的や趣旨が記されていました。
次に、『今回のお申し出の件については、基本的には、個社間の取引上の問題であろうかと存じますので、当組合本部としての方針や見解を差し控えさせて頂きます』、更に、『施工業者と塗料販売店の商取引上の問題であり、且つ、下請けである施工業者と元請けであった貴社(九州住宅検査システム)の問題であります』として、本件に関する問題は、あくまでも塗料販売店・塗装業者や元請け社間の問題として解釈をしているとのことです。
当事務所が意見書や要望書として関係諸団体等に見解等を求めている趣旨や、一般の方々にこれらの情報を警鐘として発信している目的をご理解頂けなかったものと思います。或いは、個社間の問題と見做しておいた方が塗料商業組合にとって都合が良いということなのかは分かりません。何れにしても、いわゆる塗料偽装等により被害を被っていると思われる消費者等や、これから、被害を被るかも知れない消費者等の立場を尊重することはできないということでしょうか。
また、返答書面の末尾には『既に、当該社店においては、社内通知文書で対策が指示されており、対応はされていると判断しております』と締め括られています。組合加入の販売店を信じるべきとする建て前は分かりますが、人を欺き迷惑を掛けた(被害を受けた)客への謝罪という社会的責任すら果たせない者等に、果して、今後においても、これまでのような事はしないという信用・保証があるというのでしょうか。
そして、(株)Y塗料店が過去に他社塗料の混合等を行ってきたことにより、被害を被っていると思われる一般消費者(被害者)等が実在する問題については一切触れられていませんが、中小企業者である塗料販売業を営む業界全体の改善発展を図ることを目的として設立されている団体であるから、消費者側の利益を尊重する立場にはないということなのでしょうか。今般の問題を単に個社間の問題と見做し、組合本部としての方針や見解を差し控えるとのことでしたが、これで社会の理解が得られるのか大いに疑問を残すところです。
以上、KJS |