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意 見 書

平成21年10月9日

株式会社 Y塗料店
代表取締役社長 殿
KJS 九州住宅検査システム
代表者  山﨑 亮一
施 主  F ・ T

今般、貴(株)Y塗料店が行っていた、消費者等への著しい不法行為及び不誠実な対応について、以下のとおりご意見を申し上げます。

既存建物のいわゆる外部(外壁)リフォームである塗り替えに際し、6年半前にその塗り替えを行っていた建物につき、株式会社SK化研殿に調査を依頼したところ、調査報告書に示されているようなことが明らかになった。
状況としては、塗り替え塗装後3年半を過ぎる頃から当該建物の南面と西面につき著しい退色、変色、チョーキング等の劣化が発生しており、東面・北面と西面の一部については拳骨大程度の斑点が数十箇所発生していた。これらの事象は4年目からはっきりと表面に表れてきており、それから2年を経過した本年5月に、当時元請け者であった当事務所に対し、補償及び不具合に関する調査の依頼があったもの。
結果、貴社も既に承知のとおり、典型的な手抜き工事が行われていたことに加え、一般常識では考えられない他社塗料の混入がなされていたということである。

元請け社は納品時の検品、加水量又は二液の場合の混合割合・塗装状況・温度管理・使用された塗料剤の量の確認・残塗料の処分等について確認しておく必要と責任がある。それらの管理がきちんとなされていなかったということであるから、請け負った元請けの重大な施工管理ミスである。
以前より、元請け者と下請け業者との信頼関係において塗料剤の発注や処分までを下請け社に任せている形態も多い。今回の場合、下請け塗装業者と貴(株)Y塗料店(S所長)が他社塗料を暗黙の了解のうえで搬入した、或いは搬入させたものであるが、如何に施工管理をしたとしても元請けの管理者に分からないように、このようなことがなされたならば、それを見抜くことは現実的に困難である。それでも、依頼者に対しては当時元請けであった当事務所の重大な責任であることには違いない。よって、当事務所の責任において補償塗り替えを行った。

他方、貴社の言い分を日本塗料商業組合の話等から察するに、「本件の場合、そもそも3缶程度必要なところ1缶しか取っていなかったことに原因があり、その結果、不足分の納品を急がされたがゆえに他社製品を調合のうえ納品せざるを得なかった。従って、塗装業者と元請け社の責任である」と主張されているようであるが、
第一に、SK化研の塗料を塗っていることを知っていながら施主と元請け者に無断で他社塗料を納品するなどのことは、以ての外・論外である。
第二に、貴社は本件のようなケースの場合、「工期が無い時は仕方がない。現場が間に合わないときは当然そういうことをする。現場を間に合わせる為にしたことだ。急ぎの発注を受けた時にメーカーが休みだったようなときは販売店としては止むを得ないことだ」として、これまでも他社塗料を調合するなどして納品していたことを認めていること。
第三に、下請けの塗装業者自身に何故SK化研の塗料を使っている現場でRP社の塗料を塗ったのかを尋ねたところ、「“それは大丈夫です”と言う誰かがいたから」との証言があり、明らかに貴塗料店が積極的に関与していたことが推認できる。
以上のことから、貴社が主張していることが正当な理由であるか否か、また、許される行為であるか否か、社会的な常識において鑑みれば、論ずるまでもないことである。

近年では現場管理すらしない元請け会社が多いなかに、このような考えを持った販売代理店と塗装業者が手を組めば、他社塗料との無断調合など誰しも見抜くことはできないであろうし、増してや、一般の素人である家主やオーナー、そして、経験の浅い現場監督などは簡単に誤魔化されてしまう可能性が高い。当然、一番の被害者は消費者(家主やオーナー)である。
ここで、再認識すべきことは、消費者側としてはその使用する製品につきどのような特徴(耐久性や耐候性等)や保証があるのか、その塗料を使用した場合の費用対効果などを勘案して発注契約をしているのである。各塗料メーカーがその品質保証すらないものを使用し塗装しても構わないなどという消費者はいないし、発注者(依頼者)と元請け社の契約においても『他社塗料を混合しても良い』などとする契約は有り得ない。従って、消費者側に対して何の説明もせず、了解も取らずに勝手に他社塗料の混合をするなどのことは許されない。

貴社の作成した「社内調色の見直し」においては単に「クレームの防止」ということでしか認識されていないようであるが、消費者側からみれば果してクレームの防止という言葉だけで済まされる問題であろうか。冒頭に述べたとおり、塗り替え塗装後3年半を過ぎる頃から著しい退色、変色、チョーキング等の劣化、拳骨大程度の斑点が数十箇所発生しており、これらの事象は4年目からはっきりと表面に表れてきた。それから2年の間、施主は「このような状態になっている我が家の外壁を見るたびに、自分の家に帰ることが辛かった」とのことであり、大変な苦痛を味わっていたことは確かである。立場を自らに置き換えてもらいたいものである。

貴社は他社塗料を混合したならばどのようなことになるのかを認識していたはずであるし、十分認識していなければならない立場にあった。察するに、本件は貴社が塗料販売店として塗装業者との利害関係を重んじるが余り消費者の利益を無視した結果と言える。従って、貴塗料店のしてきたことは消費者に対する背信行為又は不法行為ともいうべき事であり、人が食するものではないにしても、社会的にみれば食品偽装等と全く同じことと思われる。

今回のように依頼者が著しい劣化事象について調査を依頼しなかったならば、恐らくこれらのことは発覚しなかったものであり、一般的には劣化や退色が少し早いのではないかと思ったとしても、いわゆる異種塗料の混合がなされていることまでの疑いを持つ者はいないであろうし、仮に、そのように思ったとしても一般消費者は何をどのようにすればよいのか分からないのが実情である。
確かに、今回のように成分検査や塗膜厚の分析調査・出荷記録等によって不具合の原因や問題等が特定されることもあるが、これは極希なことであり、発覚し難いからこそエンドユーザーを欺いてはならないはずである。貴社がこれ迄納品した塗料はどのメーカーであっても、その品質の信頼性に乏しいと思われるが、その塗料を使用して塗装された幾多の建物について、同様の不具合が発生していないという根拠があるのか大いに疑問である。

*社会や消費者に対する(株)Y塗料店としての企業倫理について
(株)Y塗料店においては、発覚から4カ月を過ぎても、迷惑を掛けた施主へ何らの謝罪もない為、本年9月4日に事の次第を本店へ電話をしたところ、9月7日にS取締役部長及びH相談役の両名が当事務所へ来た上で、本件に関する詳細な聞き取りと口頭による謝罪があった。更に9月10日にも「社内調色の見直し」と「詫び状」などの書面を持参したうえで、「来週早々にも施主に対して、謝罪の書面を備えたうえで謝罪に伺います」と明言し、且つ、「施主の方には誠心誠意させて頂きます、必ず連絡をさせて頂きます」と約束して帰った。

9月17日まで待っても連絡がなかった為、当職よりS取締役へ電話をしたならば、あろうことか「9月14日にSK化研の事務所へ行き話し合った結果、施主への謝罪はほうっておきます」と何度も言い開き直っていた。また、SK化研との念書等についても「何を交わすのか意味がないということになった」と仰天するような返答であった。
迷惑をかけた施主への謝罪もしないということかを尋ねると、「謝罪をしないということではない」としながら、いつ行くとも言わず、ただ、ほうっておくとの返事のみであった。また、必ず連絡をしますと言っておきながら何故連絡をしなかったのか、何故約束を反故にするような不誠実なことをするのかを尋ねると、「あるところからの問い合わせがあったから」との返答であった。
何れにしても、9月10日に持参された書面には、社印並びに所長印を押印のうえ、「お施主様へのお詫びの訪問もせず、申し訳ありませんでした」と記し、更に、口頭にて取締役部長及び相談役の両名が「来週早々に必ず連絡をさせて頂きます。施主の方に対しても貴社と同行のうえ、謝罪の書面を備えて謝罪に伺います」と約束をしておきながら、誰の指示によるものか「ほうっておくことにしました」とするなど悪質かつ横着極まりない話であり、これほど施主の感情を逆なでし、一般消費者をも愚弄した話は無い。
また、S取締役は塗料商業組合のM専務理事に「“ほうっておくことにしました”と言ったそうであるが、それは本当か否か」と尋ねられた折り、「そんなことは言っていない」と返答をしたとのことであるが、約束した日から既に1カ月を経過しても、未だに知らぬふりをしていることこそが、嘘の返答であることの何よりの証であろう。

貴(株)Y塗料店が持参した書面の信頼性について、上記のとおり、社印の押印までした書面の約束と(株)Y塗料店の代表として約束した施主への謝罪について最低限のことすら反故にする者等が持参した「社内調色の見直し」と「詫び状」の書面は、周囲を欺き、事の終息を図るためだけに作成したものと見ざるを得ない。しかるに、貴社においては事の重大性が認識されておらず、業務改善の実効性及び信頼性に乏しいことに加え、実際に迷惑(被害)を受けた施主への謝罪の意思すら無いものと判断される。
従って、貴社が当事務所に届けた書面の「社内調色の見直し」と「詫び状」には、不誠実な行為を過去にも行ってきたことを示唆した内容となっている為、これらの書面と、SK化研殿に当事務所が頂いた「調査報告書」を、公表するに至った経緯と理由を付して、何れについてもそのままに当事務所のウェブ或いはメディア等の協力にて掲載(公表)する所存です。併せて、各関連業界団体や各塗料メーカーへの周知徹底を図るとともに、再発防止に向けて業界へ襟を正して頂くよう要請をしていく所存です。

本件につき、当事者である(株)Y塗料店として施主への謝罪の件、社会的責任についての方針と見解を代表取締役社長殿自らの意思によって再度、本年10月15日迄に書面にてご回答願います。誠実な回答がなされない場合又は何らのご回答無き場合等は、本書の内容につき全てを認めたものと解釈して即日公表する準備をしております。
尚、これらの書面等の掲載等の目的は、あくまでも、貴塗料店の所業につき、これまで実際に行われてきた不誠実行為があるにも関わらず、被害を被害として認識していない一般消費者等や、これから建物の塗り替えなどを行う皆さんへ警鐘を鳴らし、同じような不祥事の抑止に繋げていこうとするものです。
当事務所としては業種柄、本件に限らず、今後この度のようなご相談を受けた場合、手抜き工事による施工不良、或いは異種(他種)塗料の混合や調合による不具合・発注者との契約違反等が明らかになった場合・悪質かつ相当数の建物に及んでいる場合など社会性のある問題と判断した場合には、関係団体との連携を図り、全容を一般消費者の皆さんに公表(発信)していく方針です。

*追記
本件に関する一連の事柄を公にすることが、当事務所の不利益となる部分があったにしても、敢えて公に情報の発信をすることが消費者の皆さんの役に立つのであれば、何ら躊躇するものでは有りません。
尚、当事務所の責任において既に補償塗り替えが終わっていると言えども、F様に対して当事務所は、W塗装店及び貴Y塗料店と同じく、ご迷惑とご心痛を掛けた立場にあるため、当事務所への謝罪や先日ご持参されていたような金員等の配慮は一切無用に願います。

敬具

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