K様、N様、へ 先般より大変ご心配をお掛けしておりまして誠に申し訳ありません。
先日のH社長の手紙をご覧になり大変驚かれていらっしゃるのではと思い、私どもとしてもきちんと現在の考えを述べさせて戴きたく書面をしたためた次第です。
H社長との見解の相違はともかくとしても事実に反する内容の事柄等が記載されていることについては、以下のとおり事実に基づいて述べさせて頂きます。
尚、今回の件につきましては、本来であればこのような問題は施主の方に持ち込まれるべきものではないのですが、私までもが不愉快な思いをさせてしまいますことをお許し下さい。
第一段目の文面(外装材の施工不備)について
安易に「・・・メーカーは保証をしてくれません」と記載されていることについて、ではメーカーが保証をしない理由は何なのでしょうか。外装材は何十年も外部に曝されている場所です。言うまでもなく、そこに施工不備が存在していれば不具合が発生し易いからです。その重要性についてKK住宅さんと一般社会(消費者)との間には格段の意識の違いが窺われます。
第二段目の文面(外装材の施工不備)について
当方が指摘を行ったのは本年7/30のことであり、H社長がホームページに掲載をしたのは8/31~9/1頃のことです。
「完成間近の建物については施主の方にはきちんと一軒一軒説明をした上で引き渡します、信用して下さい」とまで言っておきながら、何の説明もせずに黙って5棟程度の建物を駆け込み引き渡しをした後なのです。何故今になって慌ててHPで説明を行うのでしょうか。その間に駆け込み引き渡しをされた一部の施主の方は何も知らされずKK住宅に感謝をしながら引き渡しを受けたのでしょうが、後から知らされたならどのような思いがするのかH社長は考えも及ばないでしょう。そのホームページで説明している内容も社長は自ら考察を述べていますが、素人になら納得させることができてもプロには通用しない内容です。尚、手紙の文面には「建築基準法に違反をしていなければ瑕疵ではない」とも取れる表現がありますが、瑕疵というものに対する意識の低さには呆れるばかりで言葉もありません。
第三段目の文面(外装材の施工不備)について
通気胴縁の保護を優先するからなどと勝手な解釈によって、一番外側のサイディング板のそり・浮き・ずれ・亀裂・劣化の促進に繋がる施工不良をしてよいということにはなりません。同社建物の胴縁の厚みは21㍉で、他社の胴縁厚みは15~18㍉厚の胴縁で施工されていますが、外装材各社メーカーは適切な樹種が使用され適切な施工がなされておればきちんと製品保証をしてくれます。H社長の建築に関する知識不足であることが窺えます。
第四段目の文面(外装材の施工不備)について
外装材の保証規定に基づく施工要領は、ほんの20項目余りです。他社では製品保証の取れる施工をしているのに、自社では『免責事項が多く、保証事例が限られる・・・』などと言って、その外装材施工チェックリストに記載された内容すら守れないようでは他人の財産を預かる(築く)建築会社としては失格です。
また、「メーカーが保証書を発行するのは施工会社に対してのみだから」という言葉には唖然とするばかりですが、外装材メーカーが1カ月の保証ですらしてくれないものをKK住宅がどのようにして建築主に保障するというのでしょうか。
次に、「外装材メーカーその他もKK住宅が責任ある行動を取るなら何の問題もないという見解(外装材メーカーの担当者)です」などと記載されていますが、外装材メーカーの一担当者がKK住宅の行動や保証体制についてまで言及することがあり得るのかを尋ねたところ、KK住宅のH社長に呼びだされたクボタ松下電工外装材の担当者は「“そのようなことは言っていない、言うはずがない”と言っている」と管轄支店の所長が断言しています。また、仮に自社の施工方法にそれほど自信があるのなら外装材メーカーの一担当者の言ったとされる見解などを持ち出す(頼る)必要はないはずです。
第五段目の文面(外装材の施工不備)について
「山﨑氏はあくまでも保証書を優先すべき云々・・・」と記載されていますが、製品の「保証書」ではなく何故「保証を優先すべき云々・・・」と記載しないのでしょうか。保証という言葉ではイメージとして何かまずいことでもあるのでしょうか、コメントのしようがありません。
次に、「山﨑氏の指導はあくまでも施主の方の指示であると解釈し・・・」と記載されていますが、KK住宅としては“だから責任は負えない”とでも言いたいのでしょうか。間違った施工を指摘されたら「施主の責任でしたことだ」と言っているようなものであり、H社長の人格が疑われます。
第六段目の文面(防蟻・防腐処理)について
K邸の土台側面部に設置された断熱材の受桟(断面30㍉×45㍉の部材)についてのことを言っているのですが、K邸については防蟻・防腐処理剤の使用は一切指示はしておらず、担当のS氏に9/12に確認したところ『「KJSの山﨑氏よりこの辺に以前は白蟻がいたことがあると施主が言っていた」とのアドバイスを受けて「自分の判断と配慮で大工に防腐・防蟻剤の塗布をさせた」』との回答(証言)がなされています。しかし、「当社では原則使用禁止としている白蟻駆除剤も、一部使用する旨の指導があり・・・」とまで記載するなど、自社の方針に沿わない防腐・防蟻剤の使用はKJSの山﨑の指導によるものとして責任転嫁をしたいのであろうが、同社の施工方針に沿う対処法としては檜材を使用することも出来たはずです。
尚、N邸に関しては確かに“K邸では防腐・防蟻剤が使用されているのに何故N邸ではしてあげないのか”と言って処理を促したことは確かであり、担当者のO氏は当該設計士であるS氏とH社長に相談した上で処理することを決めてハチクサン20WE(乳剤)という薬剤が使用されたとのことでした(9/10)・・・。
第七段目の文面(外装材の施工不備)について
(1) 「私は貴社建築のその他の物件や過去の物件についてまで言う権利者ではありませんが、過去500棟程の建物についてはどのようにされるおつもりですか」とお尋ねしたことは確かですが、その時にH社長は、『過去のお客さんには御説明をしたいと思っておりますが、まだ、そこまで行っておりませんが・・・』などと思わせぶりな事を言い、現在建築中の十数棟の建物についてどのようにするつもりかを尋ねると『皆さんに私自らが一軒一軒説明をして回って了解を得たいと思っています』という返答がなされた事実があります。(このことについてはその場に同席していたS氏の証言が得られています。) そのことを基に「貴方は過去500棟のお客さんに対して説明をして回ると言っていたではないですか(9/4)」、また、「実際にできるはずもないことを何故言ったのですか」などのことは確かに言いましたが、しかしながらH社長の文面にみられるように「過去500棟の全てについて改修工事をするように強硬に申し入れを・・・」などという大げさな要求は一切しておりません。それは私どもがそのようなところまで言える立場にないからです。何故にこの様な事を誇張してH社長が言うのか、自分達が被害者であるかの如くアピールしたいのでしょうか。
(2) 確かに外装材を使用した建物ではI邸2005.7竣工、S邸2006.6竣工の建
物について検査の依頼を受けた建物があり、透湿防水シートの設置位置については、KK住宅としての施工方法であろうとして今回指摘を行った外装材の施工不備を見過ごしていたことも事実でありますが、今回発覚した外装材の施工不備に関してI様には即日連絡し、S様には日を置いてガラス張りの報告を行っております。
今回、外装材下地施工の不備について指摘を行った経緯については、N様並びにK様ともに建築契約時に外装材メーカーからの製品保証書の発行を要請していた為、施工不備であることが特段に発覚したものです。文面には「10年間の施工物件の中には・・・」などと大げさに記載されていますが、問題は「山﨑氏の指導のもと、通気胴縁の外側に透湿防水シートを施工した物件も含まれている」と記載されていることですが、当時の其々の現場監督に私が実際に指導を行ったのか否か確認を行ったところ(9/12)、両者共に「そのような指示や指導を受けた事実は一切無い」と断言的に証言がなされました。従って、H社長が私どもにも責任があるかの如く言っていることは単なる責任逃れか、“同罪だ”とでも言う思惑があるのでしょうが、請負者としての瑕疵担保責任は逃れられません。
第八段目の文面(H社長からの指摘事項)について
私どもに確かに行き過ぎた行動があったことは確かであり、その建築主に無断で建築中の写真を外部(道路)より6枚ほど撮影したことは事実です。従って、建築主の方に面談のうえ直接正式な謝罪を申し上げるのが当然であり、社会人としての常識であると考え、指摘のあった当日(9/12)にKK住宅のS建築士へその旨の申し入れを行っております。(その後にも謝罪の申し入れを行うも、写真撮影のことを施主は知らない為、時期を見合せてくれとの返答があっている)
次に、H社長から当方が指摘をされていることについて、確かにS建築士とO氏に対し『9月の連休に○○町で開催される予定の「体感○○○(見学会)」に行って来場者や施主がその時に偶然来ていたら聞いてみますよ、』と言ってしまったことは紛れもない事実です。勿論、そのようなことを実際にすれば法に触れるくらいのことは誰もが招致していることなのですから本当に行くはずはありませんが、そうとは言え、一旦口に出したものは取り返しがつかず、故意に上げ足を取られても仕方がないことです。私の不徳の致すところとして、今後行き過ぎた言動は慎むべきと反省しております。
しかし、私なりの言い訳をすればH社長は自ら「完成間近の建物については施主の方にはきちんと説明等をした上で引き渡します、信用して下さい」とまで言っておきながら、現場監督には「自分が処理するから自分に任せておけばよい」と言って、結果的に口止めのようなことをしたうえで8月だけで5棟の不誠実な引き渡し方がなされたようです。そのことを知った私の腹立たしさから出た言葉であったと思います。
尚、この件では文面の最後に記載されている「社長に伝えておくように」という言葉は私は一切言っておらず、そのことはS建築士・O氏の両氏も認めておりますのでH社長がそのような取り方をしたものと思いますが、更に「通告」などの言葉が使用されていることについてはH社長の思惑や施策が感じられます。
第九・十段目の文面(H社長からの係争の予告)について
私どもはこのような決まり文句の牽制球などに決して怯むものではありませんが、N様とK様に対してこのような文面の書面を送りつける意図は何なのでしょうか。仮に前段にいう営業妨害等を盾にとったとしても問題が違っていますので私どもに対する牽制なのでしょう。それより、KK住宅を信頼して家を建てて下さった方々のことを本当の意味で考えて差し上げるべきですし、製品保証すらしてもらえない施工であることを知っていたのですから、何故そのことを契約前にお客様に説明をしてこかなかったのか疑問ですが、何れにしても企業としてのモラルと責任を追及されるのはKK住宅そのものであるはずです。
過去の外装材下地の施工不備がそのような事で公に瑕疵と認定されてしまえば、そのことが波紋となって風評的な影響も考えられるのですから、誠意をもって対処して頂きたいと思っております。そして、このような不愉快な脅し文句を並べた書面を自社で建築中のお客様へ送りつけるような行為が、逆にKK住宅としての看板に傷をつけることにならねば良いがと思うばかりです。
第十一段目の文面(H社長からの係争の予告)について
利害関係者であるなどとして何故、N様とK様へお伝えしなければならないのでしょうか。既に解決済みである物件に対して、その改善要請を行った建築主の代理人への単なる中傷的な内容の手紙(書面)を社員に届けさせるH社長の真意は図れません。本当に安心安全な建物を引渡す気持ちがあるのであれば、現在建築中の施主の方へ不安を煽るような書面をいたずらにお届けすること自体が常識では考えられないことと思います。支離滅裂な言動を理解することができません。
第十二段目の文面(外装材の施工不備に関する瑕疵修補請求の協議)について
「会社と社員をなぜ守ってあげないのですか」とは、今回の件に際し私がH社長へ言った言葉でしたが、間違った解釈をなさったようです。会社や社員を守るということは、既に直接的には関係のない建築中の施主の方へ対して第三者検査(消費者サポート)を行っている者への不愉快な中傷文を送りつけることではなく、すべきことをして完成建物をきちんと引き渡すという義務責任を果たすことだと思います。
次に、私どもに「欠陥住宅だ、詐欺だと罵倒され・・・」と単に記載されていますが、確かにそのことは私どもがI様に同行しKK住宅の事務所へ9/4に瑕疵修補請求の協議に行った時に発した言葉です。しかし、何故その前後の言葉が削除されているのでしょうか。
建物の瑕疵つまり欠陥というものは品確法において「目的物が契約に定められた内容や社会通念上必要とされる性能を欠いていること」と定義されており、外装材の施工不備については製品保証すらしてもらえないのであれば、そのような建物を注文者が発注契約をするはずがないからです。
また、「それじゃ詐欺じゃないですか」と言ったことに関しては、H社長いわく『過去に引き渡した客にはパンフレット(当該外壁部分の防水シートの設置位置が示された説明図)を見せて契約しているから問題ない』との発言がなされていたため、『一般消費者の方がそのパンフレットを見たからと言って、それが正しいか正しくないかが分かるはずもなく、更に“外装材メーカーの製品保証はしてもらえない施工をします”などと、不利益なことはどこにも書いていないものを渡しておいて“パンフレットを見せて契約をしていたから問題ない”などというのは詐欺と同じじゃないか』と言ったのです。
*H社長が自身の正当性を主張したいのは分かりますが、一部の言葉のみを抜粋して相手方を落としめたからといって真実を曲げることはできません。逆効果になるくらいのことは悟っておいて頂きたいものです。
≪最後に≫
以上のように大きな見解の相違はありますものの、幸いにもKK住宅側としては、N様とK様の家づくりに対しては責任をもって完成させる旨のお約束がなされていることです。また、当方としても外装材施工不備に関する諸問題とN邸・K邸の建築とは当然に切り離して解決すべき問題と考えており、建築中の建物の完成が最優先であることには違いありませんし、今後もご依頼を頂いている建築検査の業務を適切に行い、同社より安心して完成建物の引き渡しが行われるよう業務に邁進してまいる所存です。
今回、H社長より手紙と称して届けられた書面は、あくまでも私どもが消費者サポートの一環として行うかもしれない社名公表等(公表については直接H社長の了承済)の情報発信や、I様や他の方との瑕疵修補請求等に係る紛争を提訴に発展させないようにする為の対抗策や稚拙な牽制であると解釈しておりますが、何れにしてもN様とK様に対して出すべき内容の書面ではなかったことだけは確かであると思います。しかしながら、私どもの不徳の致すところがあったことも確かであり、N様とK様に対して大変なご心配やご迷惑をお掛けしたことを心より深くお詫び申し上げます。
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以上
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平成20年9月13日 |
KJS九州住宅検査システム
(住生活エージェント)
代表 山﨑 亮一 |
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